会社登記とは?登記までの流れを徹底解説
会社を立ち上げる時には、会社の登記が必要です。登記について詳しく内容や費用など、わからないことが殆どだと思います。会社登記について準備から登記後まで、必要な書類や費用、登記簿謄本の記載内容変更など、詳しく説明していきます。
会社登記とは?
会社の登記は社名や住所・代表者など、会社の概要を法務局に登録し、一般に公開することを言います。登記をすることによって、取引先や取引銀行などに対しての信用が増します。また法人としての登記は、法律で義務づけられているものです。登録されている会社の概要は登記簿謄本で確認できます。
会社登記と会社設立はどう違う?
会社の設立はまず定款を作成し、出資者を募り設立のための資金を準備します。その後役員を選出して、公証役場で公証人に認証してもらいます。細かく分けるとここまでが会社設立です。その後書類を整え、法務局に提出することが会社登記です。
会社の登記までに行うこと
会社を登記するまでには準備が必要です。まずは定款の作成ですが、一人で会社を設立する場合でも必ず必要になります。これから登記までに必要なことを解説いたします。最近インターネットで少ない費用で簡単に書類の作成ができるようになりました。そちらも参考にしてください。
会社の登記までに行うこと①会社概要の決定
会社概要とは商号(会社名)・本社の所在地・目的(事業内容)などの事項のことです。ほかにも事業年度や取締役なども決定します。 商業登記法第27条 により、同一商号で同一本社所在地の場合には登記ができません。確認は法務省オンライン登記情報サービスでできます。
会社の登記までに行うこと②定款の作成
定款は前項で決定した事項を記載した書類で、絶対記載事項は以下の6項目となります。また定款の作成についてはインターネット上に、無料のテンプレートが多数用意されていますので活用してください。完成した定款には発起人の割り印をして、3部同じものを用意します。
記載内容
1.商号(会社の名前)
2.目的(事業内容)
3.本店の所在地
4.設立に際して財産の価格またはその最低額
5.発起人の氏名または名称とその住所
6.発行可能株式総数(株式会社設立時のみ)
会社の登記までに行うこと②実印を作る
会社登記には会社の実印が必要となります。実印を作る際には、一緒に銀行印・社印・ゴム印、などを作っておくといいでしょう。また発起人や取締役の実印と印鑑証明書も必要になりますので、まだ実印がない場合には実印を登録し、印鑑証明書を用意しておきましょう。
会社登記の必要書類
会社登記にはたくさんの書類を用意しなければなりません。会社の概要によって必要なものと不必要なものがありますので、それぞれについてご説明していきます。なお作成する書類は、すべてA4サイズで作成します。定款と同じく各種書類については、テンプレートの利用が可能です。
会社登記の必要書類①登記申請書
登記申請書は法務局ホームページの 商業・法人登記申請手続 からダウンロードできます。株式会社や合同会社、社団法人などの区分に分かれて用意されていますのでご確認ください。記載例についても申請書と一緒に用意されていますので、確認しながら記入することができます。
会社登記の必要書類②発起人会議事録または発起人決定書
発起人が複数の場合には、発起人会を開催し発起人会議事録を作成します。また発起人が1名のみの場合には、発起人決定書を作成します。決定した会社概要を記載して、発起人全員の住所と氏名を記載します。こちらもテンプレートがありますので、参考にして作成できます。
会社登記の必要書類③取締役の就任承諾書
取締役就任承諾書は文字通り、会社の役員に就任することを、承諾したことを証明するための書類です。代表取締役を選任したり、監査役を選任した場合にも、それぞれの就任受諾書が必要となります。但し定款に取締役や代表取締役の選任の記載があって、それらが発起人の場合には承諾書は不要です。
会社登記の必要書類④資本金の払込証明書類
資本金を振込した証拠書類を用意します。会社名義通帳の表紙をコピーします。表紙の裏側には再度会社名の記載と、取引先の銀行名支店名が記載されているので、こちらもコピーします。最後に振込金額が記載されている通帳記帳欄をコピーし、3枚を閉じ合わせ割り印をします。
会社登記の必要書類⑤その他書類
会社印を実印登録するために、印鑑届出書が必要です。こちらも法務局 印鑑証明書等の交付請求書の様式 からダウンロードできます。また登記に必要な印紙も白紙のA4用紙中央に貼付します。金額は下限15万円で資本金×0.7%ですので、事前に郵便局で購入します。 その他取締役全員分の印鑑証明も必要です。
会社登記の必要書類⑥登記すべき事項を保存したCD-R
上記までの書類については、紙媒体での登記の場合に必要なものでしたが、申請書の記載に変えてCD-Rなどに、必要事項を保存して提出することもできます。その場合のCD-Rの規格や記載について、細かい決まりがありますので法務省の電磁的記録媒体の提出についてで確認しましょう。
会社登記の手順
では実際に会社を登記する際の手順についてご説明します。会社の登記にあたっては、用意する書類が多岐にわたるため、個人で行うには手間がかかります。費用はかかりますが専門家に任せたり、インターネット上のサポートサイトを利用するのも良い手段と言えます。
会社登記の手順①まずは名前から!
会社を始めようとしたとき、事業内容は大まかに決まっている場合が殆どです。次に決めるのは会社の名前です。誰かに相談して決める場合もあるでしょうし、事業内容に沿ったものにするのもいいでしょう。さて名前が決まったら次は事業内容です。
事業内容を具体的に決めていきます。事業内容については制限がありませんので、何件でも登録は可能です。 今始めようとしている事業が回り始めたときに、今後始める可能性がある事業も、一緒に登録しておけば追加する手間がかかりません。
会社登記の手順②事務所の場所や取締役を決める
本店所在地を決めます。事務所や店舗を借りてその住所を登録したり、場合によっては自宅を事務所として登録する場合もあります。但し事務所を移転する場合には定款の変更が必要となりますので手間も費用も掛かります。先を見据えた計画も必要です。また取締役会を設置する場合は、代表取締役を選出します。
会社登記の手順③定款の認証
以前の項目でご説明した通り、会社の概要を決定し定款を作成します。登記予定所在地の管轄法務局を調べ、その管轄に登録している公証人役場へ定款を持参し、公証人に認証してもらいます。公証役場の検索は日本公証人連合会のホームページで調べることができます。
認証の際には費用が必要です。費用は以下の通りとなります。
1.公証役場認証手数料 5万円
2.定款の謄本作成手数料 枚数×250円
3.印紙代 4万円(電子定款の場合は不要)
会社登記の手順④資本金の振込
資本金の振込は定款が認証された日以降に行います。金額が大きい場合には注意が必要です。個人口座から会社名義の口座へ振り込むのであれば問題ありませんが、10万円以上の金額を現金で振り込む場合には、銀行窓口でかならず本人確認書類(来店者)が必要になります。忘れずに持参しましょう。
会社登記の手順⑤法務局で登記手続き
ここまでの手続きが済むと、管轄の法務局で登記の手続きを行います。登記は発起人全員で行いますが、もし全員で当日法務局へ行けない場合には、不在発起人の委任状が必要になります。書類に不備がなければ10日前後で登記が完了し、登記簿謄本を発行してもらえます。法務局へ持参する書類を、改めて以下に記載します。
1.登記申請書
2.登録免許税印紙を貼ったA4用紙
3.定款
4.発起人決定書又は発起人会議事録
5.取締役就任承諾書
6.代表取締役就任承諾書(*)
7.監査役就任承諾書(*)
8.取締役全員の印鑑証明書
9.資本金の払込証明書類
10.印鑑届出書
11.登記するべき事項を保存したCD-R
*は選任しなければ不要
会社登記の後に行うこと
すべての手続きが終わり会社が無事に登記されても、登記完了後にも必要な手続きがあります。税金の手続きは税務署と地方自治体への届け出が必要です。また社会保険の手続きは年金事務所へ届出をします。手続きには登記簿謄本が必要な場合が多いので、取り寄せておきます。
会社登記後の手続き①税務署
会社の概要を登録するために、法人設立届出書を提出します。国税庁ホームページの内国普通法人等の設立の届出から、書式をダウンロードできます。代表者の氏名・住所や事業内容などを記入して提出します。
また青色申告をする場合には青色申告の承認申請書が必要となります。こちらも国税庁ホームページ青色申告の承認申請書からダウンロードできます。 届け出の際は添付書類として登記簿謄本などが必要です。
会社登記後の手続き②地方自治体
地方自治体は都道府県と市町村の両方へ届け出が必要になります。各自治体宛に法人設立届を提出します。この際添付書類として、登記簿謄本が必要となりますので、会社登記が終了したら、登記簿謄本を取り寄せておきましょう。提出期限などは自治体によって違います。
会社登記後の手続き③年金事務所
社会保険に加入するためには、年金事務所への届け出が必要です。社員が一人だけでも必ず届け出をしなくてはなりません。年金事務所の届け出も、登記簿謄本などの添付書類が必要です。またすぐに社員を雇い入れるのであれば、労働基準監督署とハローワークへの届け出も必要になりますので注意しましょう。
会社の登記で変更が生じた場合はどうする?
会社の登記事項に変更が生じたときには、決められた期間内に登記事項変更についての届け出が必要です。期間を過ぎてしまった場合には、罰則もありますので必ず届け出をしましょう。また変更には費用が必要です。以下に変更が多い届け出について詳しくご説明します。
本店移転登記
本店の住所が変わった場合には、2週間以内に住所の変更について本店移転登記が必要となります。もし住所が変わることによって、管轄の法務局が変わってしまう場合には、新旧両方の法務局への届け出が必要となります。書式のひな形が法務局のホームページにあります。
役員変更登記
会社の変更登記の中で、一番多いのが役員の変更登記です。役員の変更登記は役員個人の氏名の変更や、代表取締役個人の住所が変更になった場合にも、届け出が必要となります。役員変更登記についても変更後2週間以内の届け出が必要です。
商号変更登記
会社は定款に記載のある事業目的以外は、事業を行うことができません。事業内容を変更したり、新たな事業を始める時には、目的変更登記が必要となります。目的変更届を提出するためには、定款の変更も必要になり、定款を変更した日から2週間以内に届け出をしなければなりません。
会社の登記まとめ
ここまで会社登記についてご説明してきました。会社の登記やその後の変更については、様々な決まりがありますので、その都度確認が必要です。会社登記はWEBを使って簡単に行うこともでき、その際には定款の印紙代4万円は不要となります。
ご案内した手続き書類はほとんどがインターネット上でダウンロードしたり、ひな形を入手したりできます。また登記簿謄本や印鑑証明書はインターネットから請求もできます。これから会社設立をお考えのでしたら、ぜひ参考にされてください。
この記事のライター
naoC
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