今更聞けない!株式会社設立に必要な資金とは?資本金額を決める際の注意点も徹底解説
株式会社の資本金について解説していきます。 基本的に資本金は多いほど安定した経営を行うことができますが、株式会社の設立時では多すぎても問題があります。 この記事ではそうした注意点や資本金額を決めるための方法を紹介していきます。
資本金とは?
株式会社における「資本金」とは株主が事業が行うために必要なお金を出資したものであり、開業後すぐなら創業者が自分のお金を出資することがほとんどです。
開業時に1株100円の株式を1,000株発行したら10万円の資本金になります。
貸借対照表でみると「資産の部」から「負債の部」を差し引くことで「資本の部」が計算されますが、この部分が資本金になります。
資本金は返済する義務がないお金なので資本金があればあるほど、余裕ある経営で安定した事業運営が可能になります。
一方で資本金が少ないほど、取引先への支払が厳しくなったり、返済の見込みがないと判断されて金融機関からの融資を受けにくくなったりします。
開業当初から資本金が豊富にありすぎるのもそれはそれで問題ですが、基本的には経営の味方をしてくれる指標と言えます。
株式会社設立に必要な資本金の理想金額
株式会社を設立するときに「理想の資本金額はいくらなのか」と悩まれる方が多いと思います。
しかし、業種によっても必要とされる資本金は異なるので、理想の資本金額は一概には言えません。
まずは情報を整理するために「必要最低限、この程度は欲しい」という資本金額の決め方をお伝えさせてもらいます。
一般的に事業を行うための資本金は「初期投資額+3ヶ月分の見込売上高」が必要になると言われています。
店舗の改装やさまざまな備品の購入、HP作成依頼などの初期費用だけでなく、さらに見込売上高を3ヶ月分を用意するのはハードルが高いように思えます。
しかし、正直に言ってこれでも足りないくらいかもしれません。
なぜなら、開業当初はお客さんも売上もほぼ0なことが多く、お金が入ってこないにもかかわらず、人件費や家賃などの固定費はドンドン出ていく状況だからです。
そうしたなかで状況を改善させようとするとさらにコストが掛かります。
私もいち事業主ですが、開業してから3ヵ月は売上が0でした。
とくに2020年に流行した新型コロナウイルスのように長期的に売上が減少することも考えられるので、「資本金が多いかな?」と感じるくらいが資本金の最低基準といえるかもしれません。
株式会社設立の資本金を決める際の注意点
ここでは株式会社の資本金を決めるときの注意点をお伝えしていきますが、無理なく用意できるのであれば、1,000万円未満なら資本金は多いほど良いといっても良いかもしれません。
株式会社設立の資本金を決める際の注意点①資本金は会社の信用に関係する
資本金はある程度の額がなければ、ステークホルダーからの信用を得ることが難しくなります。
先ほどお伝えしたように、「資本金」=「資産の部」-「負債の部」で計算されますが、資産の部が10億円あったとしても負債の部が9億9,500万だったら資本金は500万円になり、企業規模に対して資本金がかなり少ないと判断されます。
「資本金が少ない」ということは今後継続した経営を行うことができるか不安に感じ、取引を行ったとしても支払をしてもらえるか疑問に思う取引先がでてきます。
株式会社設立の資本金を決める際の注意点②融資を受けるために一定以上の額の資本金が必要となる場合がある
同じ理由で金融機関からの融資も受けにくくなります。
融資先が倒産・破産する可能性があるなら、元金の返済はもちろん、利子の支払いも怪しくなるためです。
日本政策金融公庫が実施している「新創業融資」であっても、必要な資金の1/10程度は自己資本から資本金を出資できなければ利用できないとされているので、株式会社を設立するときでもそれなりの資本金を用意しなければなりません。
将来的に資本金を増やす増資を行うとしても、株価の値下がりが起こりやすく既存の株主からの反発が予想されますし、第三者に株式を保有されることで経営に介入されたり経営権を奪われる可能性があります。
株式会社設立の資本金を決める際の注意点③株式会社を設立するだけでかなりの費用が必要
平成18年以前は株式会社を設立するには最低1,000万円の資本金が必要でしたが、会社法が改正されたことで1円から事業を始めることができるようになりました。
しかし、株式会社を設立登記するための費用が結構必要です。
設立登記の手続きを行うだけで最低20万円~24万円程度が、運転資金として数百万円が、初期投資として百数十万円が必要なケースが多いと言われています。
「え!?1円じゃ会社始められないじゃん」と思われるかもしれませんが、株式会社だとそうなんです。
株式会社を設立するときの費用については「事前に抑えておきたい株式会社を設立する際にかかる費用とは?」にくわしいので、ぜひご確認をお願いします。
株式会社設立の資本金を決める際の注意点④資本金が多すぎると税金の負担が大きくなる
このように資本金は少なすぎると不利になることが多いため、それなりの金額を必要としますが、一方で資本金が多すぎると税金の負担が大きくなるので考えものです。
例えば、株式会社を設立したときに資本金額を1,000万円以上にしてしまうと設立1期目から消費税を納めなければなりません。
仮に消費税の納税義務事業者になると、110円の商品を売り上げたら消費税10円を収めることになりますが、免税事業者だと10円をそのまま手元に残しておけるようになります。
「たかが10円でしょ」と思われるかもしれませんが、「塵も積もれば山となる」で、すぐに1,000円、1万円、数百万円と納税しなければならない金額が増えて行きます。
会社を設立したからといってすぐに順調な経営ができる企業は少数なので、合法的に消費税を納めなくて済むなら、それに越したことはありません。
法人にかかる住民税も資本金1,000万円を基準に大きく変わります。
例えば東京都なら1,000万円を境に納付額が年間11万円変わります。
住民税は赤字でも納付しなければならないので、できるだけ負担を抑えるためにも資本額は高すぎるのも考えものです。
株式会社設立の資本金を決める際の注意点⑤チャンスを逃しやすい
金融機関や取引先から資本金額をチェックされることがありますが、個人のお客さんをメインに事業を行うなら、株式会社を設立するための資本金はそれほど気にしなくても大丈夫です。
確かに金融機関から資本金額のチェックはされますが、個人のお客さんであれば資本金額を調べて「このお店は資本金額が少なすぎるからヤバい。行かないでおこう。」とはなりにくいです。
むしろ過剰な資本金を用意するために働くことで、他の人に先を越されてビジネスチャンスを逃すほうが問題です。
最低でも初期投資と見込売上高3ヶ月分を目安に資本金を用意できたら株式会社を設立しても良いのではないでしょうか?
許認可を受けるのに一定以上もの資本金が必要なケースとは?
会社法が改正されて「1円」から事業を始めることができるようになりましたが、特定の業界で事業を行うためには許認可が必要なものも多く、一定以上の資本金が求められることもあります。
例えば建設業の許可を得るためには500万円の資本金が、労働者派遣業を行うための許認可も一定以上の資本金が求められます。
株式会社資本金まとめ
株式会社を設立したいなら知っておきたい資本金についての基礎知識をお伝えしてきましたが、会社法が改正されたことで1円から事業を始めることができるとはいえ、株式会社だとかなりの資本金と費用が必要とわかりました。
株式会社設立時の資本金は多すぎても少なすぎても問題が発生するので、慎重に決めてみてください。
この記事のライター
U11
この記事へコメントしてみる
コメントは運営が確認後、承認されると掲載されます。