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今更きけない!資本提携の意味と業務提携との違いは?

この記事では「資本提携」と「業務提携」の違いについて解説しています。 「資本提携」は「業務提携」と比較して関係性がより深まった関係であり、その分メリットだけでなくデメリットも大きくなりますので慎重に検討しなければなりません。

今更きけない!資本提携の意味と業務提携との違いは?

目次

  1. 資本提携とは?
  2. 資本提携の手法
  3. 資本提携のメリット
  4. 資本提携のデメリット
  5. 業務提携とは?
  6. 業務提携の手法
  7. 業務提携のメリット
  8. 業務提携のデメリット
  9. 資本提携と業務提携の違いは?
  10. 資本提携まとめ

資本提携とは?

「資本提携」とは一種のM&Aであり、2社以上の企業がそれぞれの株式を保有するなどして協力体制の構築、関係性の強化を行うことを指します。

自分も相手の株式を保有できますが、相手企業も自社の株式を保有し経営に介入する権利を持っているため慎重に検討しなければなりません。

出資する比率としては発行済株式の1/3を取得して拒否権を行使できるまでの影響力は持たない3~10%程度が多いようです。

この記事では「資本提携」の基礎知識と資本提携と似た言葉の「業務提携」の違いを解説していきます。

資本提携の手法

資本提携を行う主な手法としては以下のものがあります。

資本提携の手法①株式譲渡

企業もしくは個人が保有している株式を資本提携先の企業に譲渡・売却する方法です。

まずは株式の買い手と売り手の間で株式譲渡契約を交わし、株式に対する支払いが完了すると売り手が株式を譲渡します。

取締役会を設置している企業であれば株主総会の開催や決議が不要なのでスムーズに売買が完了します。

ただし中小企業は株式の譲渡に対して制限をかけていることが多いので、取締役会を設置している場合よりは難しくなります。

資本提携の手法②第三者割当増資

企業が特定の第三者に募集株式を割り当てて発行することで資本提携先の企業に株式の習得・保有をしてもらう手法です。

こちらも取締役会を設置している企業であれば、株主総会の開催や決議が不要なのでスムーズですが、新規株式を発行することになるため、その分株式が値下がりしやすく、既存の株主から抗議される可能性があります。

資本提携のメリット

資本提携のメリットには具体的にはどういったものがあるのでしょうか?

資本提携のメリット①シナジー効果が生まれやすい

お互いの資本を保有しあうため、企業間の関係性が深まり、資本提携先の経営資源やノウハウの共有が可能になります。

仕入れや販路・販売などの分野で協力することで、リスクを減らしつつ組織や設備の最適化がされ、競業他社よりも有利に経済活動が行われます。

資本提携のメリット②コストを抑えることができる

資本提携はお互いに同程度の株式を保有し合うことが多いため、資本提携の前後の資本金は実質的に0円になります。

例えば、資本金が3,000万円のA社と資本金が5,000万円のB社がお互いに500万円の資本金を投入して資本提携を行うとします。

このときA社はB社に500万円支払うもののB社から500万円を受け取り、B社はA社に500万円支払うものの同様に500万円を受け取ります。

つまり、お互いの企業の株式を購入したにもかかわらず、実質的に0円で資本の共有が行われます。

A社

B社

資本提携前の資本金額

3,000万円

5,000万円

資本提携金額

500万円

500万円

資本提携後の資本金額

3,000万円

(3,000万円-500万円+500万円)

 5,000万円

(5,000万円-500万円+500万円)

資本提携のメリット③株価値上がりが見込める

コストを抑えながらもシナジー効果を得ることができるため、業績向上が見込まれ、資本提携の発表後は株価が上がることが珍しくありません。

資本提携のデメリット

資本提携のデメリット①資本提携を途中でやめにくい

一方で資本を投入しているため、業務提携と比べて関係性が深まり、資本提携を中止することは簡単ではありません。 

資本提携のデメリット②経営に介入される可能性が高まる

3~10%とはいえ、相手企業に自社株式の保有がされるため、さらに株式を保有されると拒否権の行使や買収などの手段によって経営に介入される可能性が高まります。

それだけでなく、社外秘の情報やノウハウにアクセス可能な立場になるかもしれません。

経営に介入されたり情報の流出をさせたくないのであれば、株式の保有率を下げることである程度防ぐことができますが、保有率が低すぎると資本提携を行う意味がなくなります。

まずは大前提として、資本提携先を慎重に選定し、資本提携を行うための交渉で自分たちの独立性に対してどの程度妥協できるのか、資本提携を行う目的を達成するためにはどの程度の資本提携が適切なのかを見極めながら交渉を進めていきます。

業務提携とは?

「資本提携」と似た言葉として「業務提携」がありますが、これらの違いとはなんでしょうか?

「業務提携」とは資本の移動や共有は行わないものの、複数の企業が業務上の協力体制を築くことで、各社とも独立した経営を行うことができます。

相手の株式を保有しないので資本提携やM&Aとは異なり、一定の交流はあるものの厳しすぎない関係性を構築できるので、ブランドを維持したままの活動が行われますし、資本提携と比較して関係性を業務提携前に戻すのも簡単です。

一般的に技術開発や人事交流などの特定の分野・業務に限定して業務提携が行われ、シナジー効果のような反応を得ることができます。

そのため、将来的な資本提携やM&Aを見込んで業務提携が行われることも珍しくないです。

業務提携の手法

業務提携は独立した企業がノウハウや技術、設備を共有・協力していくことを指し、その手法は業務提携を行う目的によって変わります。

業務提携の手法①技術提携

「技術提携」では業務提携先が持つ技術を自社の技術開発や販売活動に活用していく方法です。

技術の提供先が提供元に対して契約の範囲内で自由に使用することを認める「ライセンス契約」のほか、協力して研究開発を行う「共同研究開発契約」といったものがあります。

業務提携の手法②生産提携

生産・製造工程を委託することで生産力の向上を目指す業務提携の手法です。

トラブルとして考えられるのは、生産物の品質の低さや欠品といったものにありますので、事前に業務提携の交渉段階の時点で低品質な生産物や欠品が出たときの受取拒否や支払額の値引きなどの対応を決めなければなりません。

業務提携の手法③販売提携

販売力の強化を目的に行う業務提携の手法であり、提携先が保有している販路やブランド、人材などを活用します。

「フランチャイズ契約」や「代理店契約」「販売店契約」「OEM契約」などがあります。

業務提携のメリット

業務提携によって自社にない他社の経営資源を活用できるので新規事業や販路拡大に役立てることができます。

また、買収や合併のように多額の資金が不要でゆるい関係性のため、当事者間の合意があれば比較的容易に業務提携を終了させることができます。

業務提携のデメリット

一方で情報の流出が問題視されます。

業務提携先に技術やノウハウといった情報を提供するため自社外に情報が流出してしまいます。

業務提携中はその分の対価をもらいますが、業務提携が終了後には情報が相手側に残るだけでなく、業務提携先からさらに社外に情報が流出し、訴訟問題に発展することもあります。

よって、情報の管理には気をつけなければなりません。

資本提携と業務提携の違いは?

資本提携と業務提携の違いをまとめると、「関係性の深さ」が異なります。

業務提携は契約した業務の範囲内でノウハウや技術を提供し合い、資本提携はお互いの株式を保有し合い、財務的な支援をしながらも一定以上の経営への介入権を与えています。

このことから資本提携のほうが企業間の関係性が深いと言えます。

資本提携まとめ

資本提携と業務提携のそれぞれのメリット・デメリットから違いについてまとめてきました。

資本を共有するのが資本提携で、単純に契約で協力するのが業務提携といえます。

当然関係性が深まるのは資本提携なので、メリットだけでなくデメリットも大きくなるので慎重に検討しなければなりません。

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