知って得する!資金繰りの意味とは?資金繰りの改善方法も徹底解説
「資金繰りをしていますか?」 数カ月先の収入と支払いを把握しておかなければ、いざというときに支払いが難しくなり、「黒字倒産してしまった!?」なんてことになりかねません。 資金繰り表とキャッシュフロー表を活用して資金繰りをしていませんか?
目次
資金繰りの意味とは?
「黒字倒産」という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。
帳簿上は黒字であっても資金が不足していると支払いができずに倒産してしまうことを指します。
黒字であってもそういったリスクがあるので、赤字ならなおさら資金が不足しないように資金を管理していかなければなりません。
「資金繰り表」とは、現金やすぐに現金化できる普通預金、当座預金、通知預金をはじめとした資金の収支を管理するための表のこと。
あらかじめ数カ月先までの収入と支出に対して見込みを立てて、支払ができなくなる事態を避けるために作成します。
資金とキャッシュフローの違いって?
資金繰りと似たようなものに「キャッシュフロー」と呼ばれるものがあります。
キャッシュフローとは資金繰りと同じように「資金の流れを把握するためのもの」ですが、資金繰りは将来的な資金の流れを、キャッシュフローは過去の資金の流れを記録します。
一般的に売上や経費は前の年の同じ時期と比較して大きく変わらないことが多いです。
例えば、夏なら冷房にエアコンを利用するので、他の月よりも電気代がかかったり、季節製品が売れて売上が増えたりします。
今までのキャッシュフローを確認することで今年も同じくらいの収支になると予測することができますし、企業規模が拡大したならそれに見合った収支に調整をした金額を資金繰りに入力すればいいだけです。
資金繰りが悪化してしまうそのワケとは?
資金繰りが悪化するということは支払いが必要なときに支払いが難しくなることを指します。
そういった事態に陥る理由としてはどういったものがあるのでしょうか?
資金繰りが悪化してしまうそのワケとは?①売上が減少することによる赤字
収入としての売上が減ってしまうと、仕入先や固定費の支払い、借入金の返済などが難しくなり、資金繰りが悪化します。
資金繰りが悪化してしまうそのワケとは?②入金と支払いのタイミングのズレ
黒字倒産のように、入金と支払のタイミングがずれることでも資金繰りが悪化します。
今までは月1,000万円の売上が多かったにもかかわらず、急に5,000万円の依頼が来てそれに対応するために仕入れや外注を増やしたところ、普段の支払に加え、突発的な支払も増えるため、支払が難しくなります。
最終的には利益が残りますが、一時的に支払いが難しくなるので資金繰りが悪化します。
また、売掛金としての売上をあげた場合、入金が数カ月先になることも珍しくないので、資金が不足します。
資金繰りが悪化してしまうそのワケとは?③資金調達ができない
売上が減ったりして一時的に資金不足になった場合、銀行から資金調達をして支払いが可能になることがあります。
しかし、売上減少が続き、赤字が常態化していたりすると、銀行も融資を断ることが多く、さらに資金繰りが悪化します。
資金繰り表の項目と意味とは
資金繰りを把握するためにも資金繰りで使われる項目は知っておきたいです。
以下では資金繰り表の項目とそれぞれの意味について解説していきます。
資金繰り表の項目と意味とは①営業収支
本業においてどれだけ現金を生み出しているかについて示しています。
営業収支は「売上総利益」(売上高-売上原価)から「販売費及び一般管理費(販売するために必要な費用のうち仕入原価を除いたもの)」で収支を求めることができます。
利益が出ているなら黒字ですが、仕入原価や広告費、人件費などの各種経費が売上高よりも多いと赤字になります。
この収支が一時的なものか、中長期的なものかで今後の資金繰り計画を考えていきます。
資金繰り表の項目と意味とは②財務収支
銀行からの借入金による収支を指します。
財務収支がプラスなら借入金が増えており、財務収支が減っているなら借入金を返済していることになります。
つまり、財務収支の値が大きいほど借入金額が多いので、返済が大変だと考えることができます。
資金繰り表の項目と意味とは③経常収支
本業以外の活動による収支を示しており、営業収支に財務収支が関係していきます。
つまり、事業が順調で営業収支がプラスであっても、借入金の返済や利子の支払いの負担が大きいと経常収支がマイナスで示されることがあります。
よって、その企業の経営成績の実態を最も表した書類と考えることもできます。
資金繰り表の項目と意味とは④経常外収支
設備投資や税金などは経常外収支として扱うことがあります。
工場を新設すると巨額のお金が必要になるので、経常外収支が大きく赤字になることも。
資金繰りの改善方法
企業を倒産させないようにするためにも資金繰りを改善しなければなりませんが、具体的にどういった方法で資金繰りを改善させていくのでしょうか?
資金繰りの改善方法①資金の把握
まずは資金繰り表とキャッシュフロー表を作成します。
実は資金の流れを把握していない経営者も多いと言われています。
数カ月先の入金額や支払額を把握していなければ、支払ができなくなってもおかしくありません。
なので、数カ月先までの収支を予測した資金繰り表と今までの収支を記録したキャッシュフローを作成します。
これらを活用することでいつ資金が足りなくなりそうか予測することができ、資金繰りが悪化しそうな場合、銀行から資金調達を受けたり、取引先への支払期限を伸ばしてもらったり、入金タイミングを早めてもらったり交渉することができます。
必ずしも資金繰りがうまくいくとは限りませんが、直前になって資金繰りが悪化していることに気づくよりもよっぽど柔軟に対応できます。
せっかく作成した資金繰り表やキャッシュフロー表であっても、経営者が資金の流れを把握しなければ意味がないので、必ずチェックするようにしてください。
資金繰りの改善方法②資金化していない資金の見直し
最初にでてきましたが「資金」とは現金やすぐに現金にできるものを指します。
売掛金はしばらくしないと入金しませんし、固定資産や有価証券も保有しているだけでは資産化することができません。
つまり、資金以外のお金があったとしても支払いに当てることが難しいなら資本化できるものがないか見直ししていきます。
例えば、資金繰りが悪化した際には今まで放置していた売掛金を回収したり、在庫として眠っている商品を処分品として販売したり、使われていない固定資産を売却したりします。
すぐに資金化できるとは限りませんが、やっておいて損はありません。
資金繰り表の作成方法・書き方
さて、ここまで資金繰りと資金繰り表をはじめとした資金管理について解説してきましたが、実際に資金繰り表を作成して活用しなければ今までの内容は意味がありません。
ぜひ導入してみてください。
といっても、具体的にどうやって資金繰り表を作成したり書いたらいいのかわからないという方も多いと思いますので、日本政策金融公庫のHPで公開されているテンプレートを紹介させてもらいます。
日本政策金融公庫の資金繰り表は簡易版と詳細版の2種類があり、それぞれに作成手順と記載例をエクセル形式でダウンロードできます。
ほかにも日本政策金融公庫に借入を申し込むための各種書類も同じページで取得できるので、ぜひチェックしてみてください。
資金の具体的な調達方法は何がある?
資金調達の方法については「中小企業が資金調達する方法とは?各方法のメリットやデメリットも徹底解説!」の記事でくわしく解説していますが、かんたんに解説すると、主に次の方法があります。
資金の具体的な調達方法は何がある?①デットファイナンス
簡単に言うと、金融機関から融資を受けます。
メジャーな資金調達の方法なので、多くの方がこちらをイメージするのではないでしょうか?
「でも、ファイナンスはともかく、なんでデット?」と思われるかもしれませんが、借入をすると貸借対照表の負債(デット)部分が増えるため、デットファイナンスと呼ばれています。
デットファイナンスの1番のメリットといえば、経営に介入されにくいこと。
後述するエクイティファイナンスでは、株主に経営権を奪われることがありますが、デットファイナンスでは、借入金とその利子を返済してさえいれば基本的に経営体制は維持されます。
財務収支が悪化し、負債の負担が大きくなりますが、資金繰りが一時的に厳しくなっただけなら、問題なく借入と返済ができると思われます。
といっても、相手も利子をもらって利益を得ているので、借入金とその利子が返ってこないような、赤字企業は難しいです。
あらかじめ融資先に資金繰りや返済計画を説明して納得してもらわなければなりません。
資金の具体的な調達方法は何がある?②エクイティファイナンス
株式を発行し投資家から資金を調達することで、自己資本比率も高めることができます。
具体的には株式市場で資金調達をする「時価発行株式」のほか、既存の株主に対して新しく株を購入する権利を与える「株主割当」といったものがあります。
返済義務のない資金を無担保で集めることができ、財務成績も改善できる、株主の意見を聞くことで経営の立て直しができるのは大きなメリットです。
しかし、経営権を奪われたり、株主の意見を尊重したり取り入れなければならないときがあったり、場合によっては株価が下がり、逆効果になってしまうこともあります。
資金の具体的な調達方法は何がある?③補助金・助成金の活用
国や自治体が中小企業向けの補助金や助成金制度を実施していることがあります。
制度の要件を満たしていたり、提出する書類を新たに作成しなければならないことがあるため負担は大きいですが、その過程で事業計画と改めて向き合うことができたり、審査担当者から経営に対してアドバイスをもらえることがあります。
経営を見直しできるだけでなく、補助金、助成金によって資金調達ができるのでやって損はない資金調達方法と言えます。
お住まいの自治体や企業のある自治体にピッタリの制度が実施されているかはわかりませんが、「補助金ポータル」で検索すると一覧でヒットしますのですぐに調べることができます。
資金の具体的な調達方法は何がある?④クラウドファンディングを含む出資を募る
基本的にはある事業に対して出資をしてくれる人を探して何らかのリターンを返すのが一般的です。
元金の返済義務がないことが大きなメリットですが、従来の方法では無担保で出資してくれる人を探すのは、よほどの人脈や魅力ある事業でもなければ難しいと言われていました。
しかし、クラウドファンディングが出現し、状況が変わりました。
クラウドファンディングには「購入型」「金融型」「寄付型」といった方法がありますが、共通するのは少額であっても多数の人から出資を募ることができるという点。
情報発信をしても誰にも注目されなければ資金調達には失敗してしまいますが、逆に言うと注目されることでファンを増やし、事業に必要なコストをまかなえるようになります。
クラウドファンディングは失敗したからといって損失が大きくなりにくいのが特徴です。
資金繰りまとめ
この記事では資金繰りについての基礎知識を解説してきました。
資金を管理するためには資金繰り表やキャッシュフロー表が有効でいつ、どのくらいの収支があるのか把握することができるようになります。
不況で厳しいからこそ、資金繰りの運用は必須とも言えます。
この記事のライター
U11
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