決裁の意味とは?間違われやすい稟議との違いを解説
「決裁?稟議?違いがいまいちわかりにくい」と思っていませんか。「ぼんやりとした意味ならわかるけど…」という人が大半ではないでしょうか。この記事では決裁について&似たような語句について解説しています。3分で網羅的に理解できるので、まずはご一読意を!
決裁とは?
会社勤めの方なら「決裁」という言葉の意味を知っているのではないでしょうか。
「決裁が下りる」「決裁を仰ぐ」という言葉を耳にしたことがある人も多いハズ。
決済とは案件や投資額、支払い額を決定するときによく使用され、何らかの案が許可 or 却下されることを意味します。
たとえば他社と契約を交わしたいとき。
居酒屋なんかで「ったく!どうなってんだよ!うちの上司…。決裁がおりないと話が進まねぇじゃねーかよ!」というテレビドラマの光景が思い浮かびませんか。
ときには努力が必要な決裁。
申請しても却下される可能性があるためです。
またあるときには「大切な案件なんですよ!」と上司に熱弁する必要があります。
決裁によって許可されたときは「決裁がおりた」と言うのが一般的です。
(決裁の使用例)
・上司の決裁を仰ぐ。
・決裁がおりれば、この案件は終わったも同然です。
・企画を決裁するため、部下に意見を聞く。
・上司の決裁なしに話を進める。
決裁と稟議の違い
決裁とよく似た使われ方をするのが稟議です。
「決裁と稟議の違いは何ですか?」この質問に答えられる人はいないと思います。
「え?やだ。コワい。考えたこともない。寝たい…」ってなりますよね。
決裁と稟議の大きな違いは目的です。
稟議の目的は「会議を開催する手間を省く」というところにあります。
また稟議は決裁の方法のうちの一手段です。
決裁は決定権を持つ人の承認が必要で、稟議は複数の関係者からの承認が必要です。
そのため一般的に、決裁は軽重問わず使用されるのに対し、稟議は重要事項を決める際に使用されます。
会社の重要な決定をするのに、決裁者が一人だと失敗するキケンがあります。
権限が集中している状態はリスクが高いです。
そういったリスクを分散するために、会社にとって重大な意思決定はみんなの意見を考慮する稟議が用いられます。
(稟議の使用例)
・予定通り稟議する
・ダメかと思ったが稟議が通った
・稟議がおりる
決裁と決済の違い
決裁と稟議は似ているのに対し、決裁と決済はまったく違う意味です。
決済とは売買時に、金銭の支払いでその取引を終了させることを指します。
またパソコン入力時は注意しましょう。
決裁書と記載するところを決済書としてしまったり、文字の変換機能は便利ですが、誤字に気づきにくかったりします。
(決済の使用例)
・現金で決済する。
・銀行振込での決済は可能ですか?
・契約書に記載されているように電子決済です。
決裁と承認の違い
承認とは決裁の前段階におけるOK予備軍のことです。
たとえば稟議書の承認の場合。
まず直属の上司に渡して承認をもらいます。
そこからさらに上の決裁者へと進んでいき、承認の積み重ねの上に決裁があります。
(承認の使用例)
・国会で予算が承認された
・上司の承認待ちだ
・そのプロジェクトには承認が必要だ
決裁者/決裁書/決裁権とは?
決裁と似た言葉の違いは何となくイメージできましたか。
ここでは「決裁者」「決裁書」「決裁権」についてお話したいと思います。
決裁者とは
決裁者とは、決裁時の最終的な意思決定者のことです。
アメリカ大統領みたいに意思決定権を持った人のことを指します。
決裁者は案件によって変わります。
たとえば100万円以下の決裁は課長以下の判断でOK、5,000万円以上の決裁は社長のみというように。
決裁書とは
案件の採否時に伴って作成された資料や書類を決裁書といいます。
重要な決裁をしたときに発行される書類も決裁書といいます。
決済した日付と最終決裁者の署名や電子証明が付与された書類で、銀行や監査法人に提出したりします。
決裁権とは
最終的に意思決定する権限のことです。
決裁権は役職を持つ個人だけが持っているものではありません。
たとえば社員の人事異動は人事部が持っていたりします。
とくに会社経営に関わる重要な案件は、経営会議や取締役会が決裁権を持っています。
決裁権の権限委任
時と場合によっては決裁権が委任される場合があります。
決裁権限者による決裁を受けて、権限委任が認められます。
合併や子会社化などで会社の仕組みが変わる場合は、決裁権限者による決裁で内容を変えます。
裁断とは
裁断には「型に合わせて布・紙・皮革などを切ること」という意味がありますが、ここでいう裁断は「善悪&賛否の判断」という意味です。
決裁は部下が提案した案件について「OK」または「NG」の2択のみしか権限が及びません。
一方、裁断は決裁以上の権限が与えられています。
たとえば裁断する人自身で考え、案件の善悪・適否を判断したうえで、決定することができます。
決裁の流れ
決裁までの流れをご紹介したいと思います。決裁の細かい決まりは会社により違いますが、大まかな流れは同じです。
決裁の流れ①企画書作成
たとえば企画書を作成して起案します。
A社と契約を交わしたいと思ったら、プロジェクトの企画書を作成します。
会社の規定によりますが、他社と業務提携をするときは、会社の決裁が必要になるからです。
そういった際に企画書を作成します。
「今後△△市場は急激に拡大します」のように会社のメリットを提示するのがポイントです。
また一目でわかりやすいように「誰が」「いつからいつまで」「何のために」「なぜ」「どのように」「予算はいくらか」など5W1Hの観点で簡潔に説明しましょう。
決裁の流れ②企画書提出
企画書を提出します。
その際、参考資料などを添付したり、口頭で補足したりして企画内容を理解してもらえるよう努力しましょう。
どんなにしっかり作成した資料でも、書類を読んだだけでは伝わりきらないときがあります。
最終目標は「決裁がおりること」です。
書面だけでなくそれとなく企画内容を知らせておくと、企画が通りやすくなります。
また上司から意見を仰ぐと決裁がおりやすくなります。
意見を仰ぐということは暗に「あなたは優秀なので、意見をお聞かせください」と伝えることができるからです。
決裁の流れ③決裁がおりる
決裁されると文書により決裁内容が保管されます。
通常は社内規則で保管年数と保管要領が決められています。
決裁がおりたら話を進めます。
却下される可能性があるということを忘れず、綿密に準備して決裁がおりるよう努力しましょう。
決裁の意味まとめ
いかがでしたか。
決裁について網羅的に理解できましたか。
ビジネスでは切っても切り離せない決裁。
「出世間違いなし!」と思っていたプロジェクトが、社長の一言で白紙になんてしゃれになりません。
会社や上司から理解されないこともあるかと思いますが、諦めたらそこで試合終了です。
熱い想いは伝播するので、諦めずに頑張ってみてください。
この記事のライター
松田佳祐
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