目標管理で成果は上がる?メリット・デメリットと導入の流れを徹底解説
目標管理すると社員のモチベーションが上がり社内環境が改善されるので、結果的に会社の業績が上がります。この記事では目標管理についてご紹介しています。上手に運用することでかなりの効果が期待できるので、じっくり読んでみてください。
目次
目標管理制度(MBO)とは?
目標管理制度(MBO)とは、人材育成のしくみのことです。
MBOは〝Management By Objectives〟の略でピーター・F・ドラッカーが広めました。
ドラッカーは本質を見抜く力がズバ抜けていたことで有名です。
その才能は各国の首相が認めるほど。
たとえば「聖域なき構造改革」で有名な元首相の小泉さんが推し進めた郵政民営化。郵政民営化の火付け役はドラッカーです。
元イギリス首相のチャーチルからも賞賛されていました。その証拠にチャーチルはドラッカーの処女作「経済人の終わり」を、イギリス陸軍の幹部候補生全員に贈っていました。
そんなドラッカーが会社の経営で成果を上げる方法として考案したのがMBO、すなわち社員の育て方です。
目標管理制度(MBO)のポイント
MBOのポイントを5つご紹介します。
目標管理制度(MBO)のポイント①目標は具体的に
目標設定は具体的に決めましょう。
曖昧な目標は評価しづらいからです。
たとえば15%売り上げを伸ばす、というような目標管理シートであれば数字で比較できるので評価しやすいです。
もし去年より頑張ります、という目標管理シートならどうでしょう。
また目標が具体的だと、具体的な行動を設定することができます。
できる限り具体的な目標にしましょう。
目標管理制度(MBO)のポイント②適度な目標設定
適度な目標が必要です。
目標が簡単だと成長できないからです。
とはいえ逆に、難しすぎても意欲が湧きません。
いきなり「ドーバー海峡を横断して来い!」って言われて「よし!やってやる!」って思う人はいません。普通は「いやいや、無理!」ってなります。
目標は今のレベルより少し難しいくらいがベストです。
目標管理制度(MBO)のポイント③期間を決める
期間を決めましょう。
1か月以内に新規契約を3件取得という目標管理シートと1年以内に新規契約を3件取得という目標管理シートでは、目標達成の難易度と取り組み方が変わってきます。
「○○までに○○する」という目標設定にしましょう。
目標管理制度(MBO)のポイント④具体的な行動内容
具体的な行動内容について明記しましょう。
たとえば1か月以内に新規契約を3件取得、という目標管理シートであれば営業が必要になるケースがあるかと思います。
毎日営業に行くのか?1日何回営業に行くのか?営業のためのアプリやツールは?といった新規契約獲得に向けた行動を具体的に考えましょう。
目標管理制度(MBO)のポイント⑤自己目標と経営目標を一致させる
自己目標と会社の経営目標を一致させることも大切です。
たとえばアプリ作成のプログラミング言語を習得という目標管理シート。
アプリ作成のプログラミング言語を習得という自己目標は、会社の利益になりません。
プログラミング言語を習得してアプリを開発する、という目標であれば会社に貢献することができます。
目標管理制度(MBO)のメリット
メリットを3つご紹介します。
目標管理制度(MBO)のメリット①人事評価
ボーナスの支給額を決める査定などの評価時に役立ちます。
MBOに記載されている実績をもとに評価することができます。
MBOを導入していれば、触れ合う機会が少ない人であっても、成果や数字で適切な評価をすることができます。
目標管理制度(MBO)のメリット②人材育成
目標は人を成長させます。
目標達成に向けて努力するからです。
たとえば「どうしたらもっと早く仕事が終わるのか?」とか「目標達成に向けて仕事の精度を上げるには?」と考えるようになります。
考えて試行錯誤して達成しようとします。
その結果、スキルやノウハウが蓄積されていき成長します。
目標管理制度(MBO)のメリット③モチベーションの向上
見えないゴールに向かって走るのは辛いですが、見えているゴールに向かって走ると想像以上に楽しかったりします。
達成感を感じることができるからです。
MBOを導入すると、仕事にやりがいを感じ、成長している自分に喜びを感じます。
そうなるとモチベーションが向上するので、自発的に行動する社員が増え、職場がより生産的な環境へと変化します。
目標管理制度(MBO)のデメリット
魅力的なメリットがある一方でデメリットもあります。
目標管理制度(MBO)のデメリット①簡単な目標設定
デメリットのひとつめは、目標設定を低く設定しがちという点です。
ボーナス査定のときの評価基準が、MBOだからです。
誰もが高い評価を受け多額のボーナスを欲しいと思っています。
となると「頑張っても達成できない目標」より「頑張らなくても達成できる目標」のほうが都合が良いのは言うまでもありません。
良い評価を得るために、達成しやすい目標にしがちです。
目標管理制度(MBO)のデメリット②目標にない業務がおろそかになる
デメリットのふたつめは、目標にない業務がおろそかになる、という点です。
たとえば売り上げに直結する接客は丁寧に対応し、直結しない接客は雑に扱うといったケースが考えられます。
この場合、売り上げは伸びても会社のイメージは下がります。
目標管理制度(MBO)のデメリット③モチベーションの低下
モチベーションが向上するメリットがあるという話をしましたが、逆にモチベーションが下がる場合があります。
目標を達成できなかったときです。
たとえば受験に失敗したら落ち込みます。
合格に向けて猛勉強してきたのに、結果が不合格だと気が滅入ります。
受験ほどのダメージはなくとも、目標達成に失敗すると「自分はダメなのかな…。」と自信をなくします。
MBOはモチベーションを変動させるので、運用時は心のケアが必要です。
目標管理制度(MBO)のデメリット④事務職の目標
事務職の目標管理には向いていません。
事務職はあまり変化のない仕事だからです。
「ほとんど変化がない事務職…。事務職の目標って…?」とか「事務職だから毎回同じ目標にさせてほしい」と思っている人も少なくないようです。
目標設定シート記入時期になると苦しむ事務職。
事務職が多い職場でのMBO運用は注意するのが良さそうです。
目標管理シートのテンプレートサイト紹介
テンプレートサイトを3つご紹介します
目標管理シートのテンプレートサイト①bizocean
bizoceanのテンプレートサイトです。
目標管理シートのテンプレートサイト②Microsoft
Microsoftのテンプレートサイトです。
目標管理シートのテンプレートサイト③Magic Logic
Magic Logicのテンプレートサイトです。
目標管理制度(MBO)の導入手順
MBOの導入手順をご紹介します。
目標管理制度(MBO)の導入手順①適切な目標設定
まずは目標設定からです。
目標設定するときは、前述したように具体的&適切な目標を設定することが重要です。
なので今できることは目標にはせず、「今はまだできない具体的な目標」を目標管理シートに記入しましょう。
期間も大切です。「○○までに○○する」という目標が理想です。
そして「会社の利益につながる目標」から逸れた目標になってないか確かめつつ、目標達成に向けた具体的な行動内容も考えておきましょう。
目標管理制度(MBO)の導入手順②会社のビジョンを明確にする
会社のビジョンが明確でないと、自己目標と経営目標を一致させることができません。
会社のビジョンを明確にしておくとは、どういうことなのか。
それは「どういった事業なのか」「顧客は誰なのか」「会社の進むべき方向性」などの問いに言葉で答えることができる状態のことです。
社員が設定する目標は、会社のビジョンに沿ったものでなければいけません。
またみんなで1つの目標を共有すると、一体感が生まれチームとして団結しやすい、という嬉しい側面もあります
目標管理制度(MBO)の導入手順③自発的に目標設定させる
目標は主体的に設定させましょう。
車の運転に例えると、助手席に乗っているだけでは、運転技術を身につけることはできません。
同様にハンドルを握っていたとしても、助手席からの指示で運転している状態では成長できません。
勉強もスポーツも仕事も一緒で、やらされている状態では成長が止まってしまいます。
主体的に行動させることが成長の一歩です。
目標管理制度(MBO)の導入手順④同じ目標達成を共有する
本人と上司で評価基準を共有しておきましょう。
というのは目標達成の基準が本人と上司で違っていると、評価するときに自己評価と上司評価で不満が生まれるからです。
たとえば思っていたより評価が低いとき。「こんなに新規契約を取ってきたのに評価されないなんて…。もう新規契約をとってくるのはやめようかな…。」となります。
こうならないためにも、評価時の基準を本人と上司で一致させておきましょう。
目標管理制度(MBO)の導入手順⑤目標から具体的な行動計画を立てる
目標達成はPDCAで行います。
PDCAとは、計画(Plan)、実行(Do)、確認(Check)、改善(Act)のことです。
当たり前の話なのですが、目標だけでは目標達成できません。
具体的な行動計画があるからこそ、目標達成することができます。
目標管理制度(MBO)の導入手順⑥定期的な状況調査
定期的な状況調査が必要です。
相談しない人がいるからです。
そういう人は上手くいっていない状態でも、弱みを見せたくないとか自分だけでやれるという理由で、一人で悩みを抱えて問題解決を図ろうとします。
一人より二人。二人より大勢の方が問題の解決が容易です。
また本人はどうしようもないと思っていても、他人の何気ない一言で打開策が生まれることがあります。
こういったことに気づかせることで、問題解決能力に優れた人材を育てることができます。
目標管理制度(MBO)の導入手順⑦評価
立てた目標の達成度を評価します。
まずはそれぞれの社員に自己評価をさせ、それから上司が評定を行います。
努力量ではなく客観的なデータで評価をしましょう。
また目標達成できなかった場合は、モチベーションが下がらないようにフォローしましょう。
たとえば「よく頑張ったな」とか「おまえならできる」といった承認欲求を刺激する言葉は、社員のやる気を奮い立たせることができます。
目標管理制度(MBO)の運用の注意点
注意点をいくつかご紹介します。
目標管理制度(MBO)の運用の注意点①適切なフォロー
適切なフォローを行いましょう。
目標達成度によってモチベーションが上がったり下がったりします。
そのため最初から最後までコミュニケーションをとる必要があります。
たとえば、適切な目標設定なのか、行動計画に無理はないか、具体的な評価基準の設定など随時アドバイスしましょう。
目標管理制度(MBO)の運用の注意点②本来の業務が圧迫される
目標管理ツール作成や面接は、本来の業務を圧迫するキケンがあります。
上手に運用すれば成果の出るMBOですが、目標設定や行動計画を言語化するときに、思ったより時間を消耗します。
そこでおすすめなのがアプリなど目標管理システムツールの活用です。
無料で使用できるアプリツールもあります。
こうしたアプリツールを利用すれば、目標管理シートに費やす時間を大幅にカットできます。
そしてアプリツール導入で浮いた時間を、本来の業務に当てることができます。
MBO運用時は、より少ない時間で効果を実現できるアプリツールを導入してみてはどうでしょうか。
目標管理制度(MBO)まとめ
MBOとは主体的に目標設定や行動計画を立てさせ、目標達成に向かって努力することにより、従業員のスキルアップやモチベーション向上を狙った経営手法です。
社内環境を良くして業績を伸ばしたい方や、自発的に行動する人材を育てたいという方に適しています。
ツールそのものに良し悪しはなく、原子力爆弾と原子力発電所のように使い方次第です。
MBO運用時は原子力発電所と同じように、建設的な運用を心がけてください。
この記事のライター
松田佳祐
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