失敗しない年賀状の書き方~年賀状の基本ルールとマナー~
日本で生活をしていると皆さん一度は年賀状を書いたことがあるのではないでしょうか。日本人には馴染みのある年賀状ですが、正しいルールやマナーをご存じでしょうか。ここでは基本的なマナーから喪中の対応など、年賀状を書くうえで押さえておきたいポイントを紹介します。
そもそも年賀状は何のために出すの?
年賀状は奈良時代より続く「年始回り」という文化を起源とした日本独自の文化です。友人や親戚、日頃お世話になっている方に感謝の気持ちをこめて新年のお祝いのメッセージを添えて挨拶状を送ります。 年賀状は普段挨拶することができない遠方に住んでいる方へ挨拶をするために始まったもので「礼儀」という意味合いの強い文化でした。現在では近況報告やお世話になった方への挨拶としても利用されています。社会人ともなるとマナーの一環として取引先や上司に年賀状を書く方も多いようです。SNSやメールなどの進歩によって年賀状を書くことが少なくなっていますが、年賀状はSNSやメールにはないリアルなコミュニケーションをとることができる素晴らしい文化なのです。
年賀状の基本ルール
皆さん何気なく年賀状を書いているかと思いますが、年賀状には必ず3つの項目を書く必要がございます。
新年を祝う言葉「賀詞」
賀詞とは年賀状に限らず使われるお祝いの言葉です。「あけましておめでとうございます」「謹賀新年」などの言葉を指します。年賀状では、この賀詞を必ず最初に書かなければなりません。
挨拶やお礼「謝辞」
相手の健康と幸福を祈る言葉を記します。不快に感じる文章や表現は避け、相手への感謝や尊敬、思いやりをもって、新年を明るい気持ちで迎えられるような言葉を選びましょう。
日付
最後に日付を記載しなければなりません。「令和○○年 元旦」「○○○○年 元旦」と書くのが正しい使い方です。元旦とは新年最初の朝という意味です。「一月元旦」「一月一日元旦」は重複表現となってしまうので注意しましょう。
宛名の書き方
宛名の書き方も重要です。宛名面には何を書けばいいのか、連盟や肩書の表記方法など細かいルールがございます。「一般」と「ビジネス」で分けていい例、悪い例を画像を含めて紹介いたします。
宛名には何を書けばいいのか
宛先の住所
郵便番号が正しければ市町村まで省略しても届きますが、目上の方や取引先へ送る場合などは都道府県から記載しましょう。
番地などの数字は、漢数字を使用しましょう。
会社名・部署名・役職名
会社宛てに年賀状を送る場合、会社名を省略して記載してはいけません。 (株)や(有)は使用しないようにしましょう。部署名や役職名も事前にチェックして間違いの内容に記載しましょう。
宛名・敬称
世帯主を一番右にして、配偶者、子供の順番に書きます。子供の名前を省略して、夫婦の名前だけで送ることもできます。敬称は2重にならないようにしましょう。〇〇先生様の表記はNGです。また会社宛の年賀状では役職は名前の後ろではなく前に記載してください。
差出人名・住所
はがきの裏面に差出人名や差出人の住所を記載している場合は、宛名面に差出人名・住所は不要です。
年賀状はいつ出せばいいの?
元日に届けるにはいつ投函すればいい?
郵便局での年賀状の受付開始は、毎年12月15日となっています。注意しなければいけないのは、受け付け開始前に投函してしまうと元日前に届いてしまうので、必ず12月15日以降に投函してください。また元日に届けるための締め切りも設定されております。元日に確実に届けるには、12月25日までに投函をすれば元日に相手へ年賀状を届けることができます。例年12月15日に受付開始され、元日に届けるための締め切りは12月25日となっておりますが、今後変更されることがあるかもしれませんので、詳しい情報は郵便局のホームページでチェックするようにしましょう。
年賀状の発送が年明けになってしまったら?
年末年始は忙しいものです。年賀状を出し忘れて書き漏らしてしまう場面もあることでしょう。年賀状の発送が年明けになってしまった場合は、「松の内(1月7日)」までに送ることがマナーとされています。年賀状を出せる期間を「松の内」と呼ばれ、元日から7日までと定められています。地域によってこの「松の内」の期間が違いますが、郵便局では1月8日に差し出されたものからは、消印が押されてしまいます。年賀状には消印が押されないのが一般的です。12月15日~1月7日までに投函された年賀状には消印がないため、この期間の間に送るようにすると良いでしょう。
年賀状NG行為
前述でも記載がありましたが、年賀状は「礼儀」を重んじる文化です。そのためいろいろな決まりごとがあります。知らず知らずのうちに失礼な行為となってしまうこともあるので注意しましょう。
忌み言葉を使わない
年賀状では忌み言葉を使用してはいけません。忌み言葉とは縁起の悪い言葉、それを連想させる言葉などが忌み言葉とされています。 「消える」「失う」「滅びる」「去る」「絶望」はNGワードです。「去年」は避けて「昨年」「旧年」を使うとよいでしょう。
挨拶分に句読点はいらない
年賀状も含め、挨拶状には句読点は必要ありません。句読点は明治時代までは使用されておりませんでした。学校で子供たちに文章を読みやすくするために句読点が使われるようになりました。そのため句読点を付けた文章は相手を子ども扱いしている事となってしまい失礼にあたるため、使用しません。 また慶事に区切りをつけないという「縁起」を担ぐ意味もあるそうです。
目上の人への2文字の「賀詞」
賀詞には「迎春」「賀正」「寿」などの1文字や2文字のものが多くありますが、これらはお祝いの言葉に変わりはありませんが、丁寧さや敬意を表す言葉が含まれていないので敬語としては不十分です。取引先や上司への年賀状には「謹賀新年」「恭賀新年」や「新年おめでとうございます」など賀詞を使用しましょう。
喪中の対応
喪中はがきはいつまでに出せばいいか?
喪中はがきは年賀欠礼の挨拶ですので、年内に届けば問題はございません。ただ、受け取った方も年賀状を送れなくなるので、お相手が年賀状の準備をする前の11月中旬から、遅くとも12月初旬には届くように出すのがマナーです。年末に不幸があった場合、急いで喪中はがきを出しても相手に届くのが年末ギリギリや年始になってしまいます。その場合は形式上喪中はがきを出すという考え方と、喪中はがきは出さずに、松の内(1月7日)が明けてから「寒中見舞い」を送るという方法があります。寒中見舞いでは、年末に不幸があったため、新年の挨拶を失礼したことをお伝えします。
喪中はがきを受け取ったらどうする?
喪中はがきを受け取ったら年賀状は差し控えるのが一般的なマナーです。 「それだけでは心苦しい」「お悔やみやの気持ちを伝えたい」という場合の対応として「喪中見舞い」があります。「喪中見舞い」は、はがきや手紙でお気持ちをお伝えするのが一般的ですが、一緒に香典やお供え物を送る場合もあります。
ビジネスの場合の喪中対応
法人には喪中という概念はありません。社長や役員が亡くなった場合に年賀状を送ってもいいのだろうかと悩むことがあるかと思いますが、会社の代表や役員が亡くなったとしても、会社自体が喪中になることはありません。そのため、会社に対する年賀状は基本的には通常どおり出しても差し支えありません。しかし例外もあります。同族会社や、家族経営の小さな会社などでは個人と同じように法人に対しても同様に年賀欠礼となることもあります。会社として喪中はがきを受け取った場合は、年賀状を控え、寒中見舞いを送るようにしましょう。
まとめ
「失敗しない年賀状の書き方」や「年賀状の基本ルールとマナー」を紹介いたしました。日本人なら誰しも書いてきた年賀状ですが、さまざまなルールや意味を再確認できたかと思います。この機会にぜひ年賀状を書いてみてはいかがでしょうか。年賀状の魅力を紹介した記事もあるので、そちらもあわせてチェックしてみてください。
この記事のライター
中原陵
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