事前に抑えておきたい株式会社を設立する際にかかる費用とは?
この記事では株式会社を設立するための費用に注目して解説していきます。 規制緩和がされ、株式会社を設立するハードルは下がりましたが、それでも数百万円が必要でなかなか厳しいと言えます。 そうした費用を節約する方法も解説していますので、ぜひご確認ください。
目次
そもそも株式会社とは?
そもそも「会社」とは利益を追求した組織を指しますが、そのなかでも「株式会社」はさまざまなメリットを受けることができます。
例えば、株式会社は情報を公開しなければならないので、ステークホルダーからの社会的信用が得られやすく、金融機関からの融資額も個人事業主に比べて増額されます。
また、個人事業主や合名会社の場合は、無限責任のため出資額以上の責任を負うことがありますが、株式会社なら出資額の範囲内で責任は負うことになります。
ほかにも、株主は配当や株価の値上がりを期待して株式を購入するため、自己資本比率が高まり、経営を安定化することが可能です。
これらのメリットがあるので、多くの方が株式会社を設立しようと考えていますが、実はけっこうな費用が必要になってしまいます。
この記事では株式会社設立に必要な費用をメインに解説していき、アナタの事業を陰ながらサポートさせてもらいます。
株式会社設立に必要な期間
株式会社を設立するには事前の準備から設立登記まで2週間程度の期間が必要です。
期間を延ばさないようにするためには十分な事前準備をしておく必要があるので、あらかじめさまざまな情報を集めておいてください。
株式会社設立にかかる費用とは?
以前は株式会社を設立登記するには1,000万円以上が必要でしたが、平成18年に会社法が施行・規制緩和され、今では1円から起業が行えるようになりました。
とはいっても株式会社を設立するためには、設立登記手数料や各種備品や運転資金を確保するなど、ある程度のお金が必要なので注意が必要です。
ここからは株式会社を設立するために必要な費用の解説を行っていきます。
株式会社設立にかかる費用①設立登記
1円あれば起業できるといっても個人事業主ならともかく、株式会社を設立したいなら設立登記にかなりの金額が必要となり、具体的には以下の費用を支払います。
- 5万円:定款の認証手数料
- 4万円:定款に貼る収入印紙(電子定款の場合、不要)
- 約2,000円:定款の謄本代
- 15万円(もしくは15万円以上):登録免許税
定款を認証してもらうためには公証人に手数料として5万円を支払わなければなりません。
「公証人」とは元々判事や検事を長く経験した方が多く、経験だけでなく、法知識も豊富なため、それだけ手数料も高くなってしまいます。
定款に貼る収入印紙として4万円が必要ですが、電子定款にすることで収入印紙が不要になるので4万円を節約できます。
とはいっても別の手数料がかかる場合もあります。
くわしくは「株式会社を設立する際の費用を安くするための秘訣②手続きを外注する」で後述するのでそちらまで読み進めてください。
謄本は1冊1,000円ほどですが、2冊購入することになるので2,000円を目安に支払うと考えてください。
登録免許税とは、法務局で設立登記を行うために必要な費用のことで、株式会社なら最低金額が15万円からになります。
もしも、資本金額×0.7%の額が15万円以上なら、資本金額に応じて登録免許税を支払わなければならなりません。
ちなみに登録免許税が15万円以上になるのは資本金額が約2,143万円からになるため、よっぽどの資本金が必要な株式会社でない限り、15万円の登録免許税になります。
以上のことから、電子定款で登記を行うなら印紙が不要になるため、20万円ほどで済みますが、それでなくても24万円ほどで多くの株式会社は設立するだけならできると考えてください。
株式会社設立にかかる費用②資本金
先程もお伝えしたように、現在では規制緩和が行われ、1円から会社を設立できるようになりましたが、総合的なことを考えると1円では心もとないので、ある程度の資本金を用意しておきましょう。
総務省・経産省によると、株式会社の資本金で一番多いのは1,000万円未満の企業です。
もちろん業種や規模によって異なるので、1,000万円ギリギリの企業もあれば、100万円の企業もあるので、目安として考えてください。
ですが、ある程度の資本金を確保しておいたほうが数カ月分の運転資金として活用できたりするので望ましいと考えられています。
運転資金があると、仮に新型コロナウイルスなどの影響で休業したり売上が少なくても多少持ちこたえることができます。
経営者はその間に融資を受けたり補助金・助成金制度を利用したり、新規の販路を開拓したりして一過性のトラブルをやり過ごすだけの時間を稼ぎます。
設立当初は顧客獲得に苦労するため、資本金は多いほど良いですが、1,000万円以上にすると1期目から消費税を納めなければなりません。
1,000万円以下なら1期2期の消費税は免除される期間が設けられているため、基本的には適度な資本金にしたほうが無難と言えます。
株式会社設立にかかる資本金や設立登記以外の費用は?
設立登記の手数料や資本金だけでもかなりの金額が必要になりますが、家賃や人件費、HPづくり、各種備品などの購入に+150~180万円ほどがさらに必要と考えてください。
株式会社を設立する際の費用を安くするための秘訣
株式会社を設立するにあたり、必要とされるお金はかなりの金額になりますが、これをできるだけ抑えるためにはどういった秘訣があるのでしょうか?
株式会社を設立する際の費用を安くするための秘訣①個人事業からスタートする
個人的には個人事業主として事業をスタートさせると、費用とリスクを抑えることができるのではないかと感じています。
株主会社のメリットはあまり受けられませんが、個人事業主なら設立登記が不要なので20万円~24万円を、一定額までの税率も低いので設立時だけでなく、長期的にも節約できる可能性があります。
小規模な事業を検討しているのであれば、まずは個人事業主から始めて、事業が拡大したり売上が増加してきたら株主会社化してみるのも一つの手だと考えます。
ちなみに個人事業主でも設立登記を行い、信頼性を高めたり、屋号を商業登録できるので柔軟に検討してみてください。
株式会社を設立する際の費用を安くするための秘訣②手続きを外注する
設立登記の手続きを専門家に外注することで費用を抑えることもできます。
例えば、電子定款で提出することで印紙代が不要になるとお伝えしましたが、そのためには「Adobe」ソフトや電子カードリーダーが必要となり、4万円ほどかかります。
これらのツールを設立登記1回でしか使わないなら費用はほぼ変わらないといっていいでしょう。
一方で設立登記に関わる専門家の多くがそれらのツールを保有しており、手数料1万円ほどで代行してくれる場合があります。
節約しつつ時間を有効活用できるので、コスパを重視する方にもおすすめです。
専門家も電子定款の代行をキッカケに顧客を獲得し、顧問契約を結ぶことを視野に入れているため、長い付き合いを始めることになります。
もしもそういったことを煩わしいと感じるのであれば、クラウド会計ソフトの「freee」などのツールで費用をさらに安く抑えることも可能です。
株式会社の設立費用まとめ
平成18年以前と比較すると株式会社を設立するのは比較的簡単になりましたが、それでも運転資金などでかなりの金額が必要になると言われています。
多くの方にとってなかなか大変ですので、できるだけ節約しながら株式会社を設立してみてください。
この記事のライター
U11
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