企業におけるレジリエンスの意味とは?レジリエンスの基礎的な知識を徹底解説
「レジリエンス」とはどういった意味で使われているかご存知でしょうか? 元々「弾力」といった意味でしたがビジネスの場では「適応力」といった使われ方をされるようになりました。 変化が大きくなっている今だからこそ知りたい「レジリエンス」の基礎知識を解説します。
レジリエンスの意味とは?
「レジリエンス」とは「弾力」「回復力」といった意味で使われている言葉ですが、最近のビジネスシーンでは「適応力」「対応力」として使われることが増えてきました。
個人や企業、組織といったものが目標に向かって行動すると、想定外のことや大きな変化が起きることがあります。
そうしたトラブル・変化に適応・対応することで成長し、目標に向かって行動し続けることができるようになります。
例えば、バブル崩壊やリーマンショック、東日本大震災、最近だと新型コロナウイルスの世界的な流行といった影響で社会や個人、経済活動に大きな変化が起きました。
しかし、これらの大きなトラブル・変化に対応・適応できるように心理学や経営学、組織論、リスク管理能力、危機管理能力といった分野で注目され始めました。
組織レジリエンスとは
「組織レジリエンス」とはビジネス環境の変化や社会危機に対して組織を存続・成長させるための適応力・対応力を指します。
あらかじめ起きる、もしくは起きる可能性が高い事案に対して準備したり、リスク分散したりして対処し、想定外に対処するための柔軟性などが求められます。
組織レジリエンスを高めるには、労働環境の整備などによって従業員が働きやすい職場にして企業一丸となってレジリエンスしていかなければなりません。
ビジネスにおけるレジリエンスが必要な理由とその意味
ビジネスの場でレジリエンスが必要とされ始めた理由の1つに「環境の変化」があります。
主な環境変化として挙げられているのは
- 職務上のストレス
- 市場環境の変化のスピードが早まっている
といったものです。
これからもビジネスにおける環境が大きく変化し続けると考えられるので、レジリエンスを身につけて対応・適応していかなければなりません。
ビジネスにおけるレジリエンスが必要な理由とその意味①職務上のストレス
厚生労働省の平成30年「労働安全衛生調査(実態調査)の概況」によると、仕事で強いストレスを感じていると答えたのは全体の58%でここ3年の間50%後半を推移しています。この理由として、仕事の内容や仕事量、職務上のミスとそれに伴う責任の追求のほか、セクハラ、パワハラといったハラスメント、コミュニケーション関連のものが挙げられています。
これからの企業組織にはリーダーシップが求められるので、周りを引っ張っていくような人材が不可欠で、失敗や責任を負うことを恐れずにチャレンジしていくことが大切です。
また、上司は部下を引っ張っていくことになりますが、成果を出すために部下とのコミュニケーションを円滑にして一丸となって取り組まなければなりません。
失敗したり、責任を負うことになってもそれを反省し、いち早く行動を修正・対応していけるかが求められています。
ビジネスにおけるレジリエンスが必要な理由とその意味②市場環境の変化のスピードが早まっている
以前の日本は「終身雇用制度」「年功序列制度」が採用されていることが多かったため、入社してしまえば安心して暮らすことができました。
しかし、昨今の終身雇用制や年功序列の廃止、少子高齢化、グローバル化、情報化社会への突入など、年々変化のスピードが早まっています。
これにより、大規模な組織改革やM&A、業界再編といったものに社内教育の充実やIT機器の導入、人材の確保などの方法で対応していかなければならなくなりました。
レジリエンスのメリット
レジリエンスのメリット①ストレス・困難をバネに成長
「職場におけるストレス」というと心身に悪影響を与え、ウツになったり自殺してしまったりとマイナスなイメージばかり想像するかもしれません。
しかし、適度・適切なストレスとプレッシャーを与え、それを乗り越えたとき、成長や自信・仲間との信頼関係などを得ることができます。
ただし、そうした効果を狙ってあえて高いストレスを与えると、ストレスの悪い面ばかりが発生することもあるので注意してください。
レジリエンスのメリット②人間関係の改善
先ほどお伝えしたとおり、職場におけるストレスの原因の多くは「対人関係」といってもいいでしょう。
レジリエンスを身につけることで思い込んでいたこと、もしくは決めつけていた思考・考え方を柔軟に見直すことができるようになるので、職場の人間関係を適切なものにしていくことができます。
レジリエンスのメリット③多様性の受け入れがしやすくなる
今まではないがしろにされがちだった、女性従業員の活躍やLGBTへの理解。
今後もグローバル化や少子高齢化、労働力不足、情報化社会といった課題に対応・適応するためには、さまざまな性別や人種、価値観などの多様性のある人を受け入れなければなりません。
そのための方法がレジリエンスであり、専門家による研修を受けるなどして高めていかなければなりません。
レジリエンスのメリット④評価の指標として利用される
急激な市場変化が起きることが珍しくなくなったため、どの程度レジリエンスに対応しているかによって企業が評価される社会になりつつあります。
変化に対応することはつまり、リスクを下げたり、新しい分野に挑戦することであり、投資家は利益を得やすくなります。
このように投資家をはじめとしたステークホルダーはレジリエンスを企業評価の方法として採用するようになっているため、企業イメージを高めるためにもレジリエンスを身につけなれければなりません。
レジリエンスが強い人材の特徴
レジリエンスを身につけている人の特徴として以下のものがあります。
レジリエンスが強い人材の特徴①精神的に安定している
目標に向かって行動してものの挫折したり、ミスが続くとネガティブになり辞めてしまう人が多いですが、それだと目標を達成するどころか成長自体できなくなります。
どんなに小さなことでもいいので、自分なりの目標や意味を掲げて取り組み、達成することで徐々に自信に繋がり、挑戦し続けることができます。
精神的に安定することは楽観的に取り組む事ができ、改善点を見つけレジリエンスしやすくなります。
レジリエンスが強い人材の特徴②柔軟な行動ができる
ある目標を掲げたとして、それが達成することが難しいとわかったとき、アナタはどう対応しますか?
そのままの目標に向かって行動することも大切ですが、一方で達成できない目標に向かって行動し続けることはムダとも考えられるので、達成できる水準まで目標を変更することも大切と言えます。
レジリエンスを身につけている人は事実を受け止め、柔軟に目標・行動を変化させることができるので、レジリエンスが高いとされています。
レジリエンスが強い人材の特徴③ポジティブ思考できる
レジリエンスを身につけている人は楽観的な思考を持つ人が多いと言われています。
課題・問題が判明しても「なんとかなる。なんとかなる。」という考えが行動力に繋がり、進むべき道や改善点を見つけやすくなります。
楽観的な人は
- ネガティブな言葉を使わない
- できる理由を探す
- 他の人の長所を見つけやすい
といった傾向にあり、悲観的・ネガティブな思考にならないようにしています。
物事を楽観的に捉えるので、困難な状況・状態なほどチャンスと考えたり、割り切って長期的な視点で考えたりします。
ムダに心身を弱らせないのでストレスからの回復も早く対応・適応することができます。
レジリエンスの意味まとめ
この記事ではレジリエンスの基礎知識を解説してきました。
昨今の社会はグローバル化や情報化社会などの影響で年々変化のスピードが早まっているため、それらに適応・対応するための「レジリエンス」が注目され始めています。
レジリエンスが強い人の特徴として次のものがあります。
- 精神的に安定している
- 柔軟な思考ができる
- ポジティブ思考ができる
レジリエンスは変化が大きい社会において企業が生き残っていくためには必要不可欠なものといえるのでぜひとも身につけていただきたいと思います。
この記事のライター
U11
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