顧問契約とは?企業が顧問契約を結ぶメリットや注意点を解説
皆さんは顧問契約という言葉を聞いたことはありますか?顧問契約は、より企業を成長させるために重要となる契約でもあり、同時に自社にはない知識やスキルを得ることもできます。今回は、そんな顧問契約の基礎的な内容と契約を結ぶまでの流れについて解説していきます。
顧問契約とは?
顧問契約とは、より高い専門的な知識や技術を有する専門家を活用し、企業全体に対して技術的な指導やアドバイスをしてもらうための契約のことを指します。
顧問契約で代表的な人材としては、弁護士などといった士業の方が挙げられますが、作業に限らず高度かつ専門的な知識やスキルを有する者であれば顧問として依頼されることもそう珍しくありません。
本記事では、そんな顧問契約のメリットや注意点といった基礎的な知識から実際に弁護士などを顧問として雇うまでの流れについて詳しくご紹介していきます。
顧問契約と業務委託契約の違い
顧問契約と業務委託契約の決定的な違いは、業務を委託する対象者にあります。業務委託契約の場合も委託したい業務をこなしてくれる人材を雇いますが、この場合業務に関する専門的な知識やスキルを有するものでなくても一定の業務をこなすことができればその対象者と契約を結ぶことになります。
一方、顧問契約の場合は業務委託契約とは違い、一定の業務に関する専門的な知識及び技術を有する者に限定して契約を締結するので、業務を委託するという意味では共通しているものの、このように委託する対象者の質が異なってくるのです。
企業が顧問契約を結ぶメリット
顧問契約と業務委託契約の違いを抑えたところで、早速企業が顧問契約を締結して弁護士などを顧問として雇うメリットについて触れていきます。もちろん、冒頭でも説明した通り、弁護士といった士業だけを対象としたものではなく、あくまで専門性の高い知識やスキルを有する者と契約を結ぶ全体から見たメリットをご紹介していきます。
企業が顧問契約を結ぶメリット①緊急時の迅速な対応が可能
企業が顧問契約を結ぶメリットとして第一に挙げられるのが、緊急を要するトラブルへの迅速な対応が可能ということです。弁護士を顧問として雇う場合、法に関わるトラブルでも柔軟に判断し、適切な指導をしてくれます。
また、そういった法に関わるトラブルを未然に防ぐため、顧問の助言の元対策を行い、トラブルが生じてしまうリスクを最低限に抑えることも可能ですので、緊急を要するような予期せぬ問題を防止することが可能です。
企業が顧問契約を結ぶメリット②会社の成長につながる
顧問契約を締結することで、自社にはない技術や知識の指導や助言をしてくれる顧問を雇えるため、ミスマッチを起こして解除通知書を記入し、契約を解除しない限りその分会社の成長にも繋がります。
後で注意点として説明しますが、顧問を雇ってしまえば絶対に会社が成長するとは限らず、いくつかの注意点に注意しながや契約を結ばなければいけません。自社の成長を望むのであれば、そうした注意点をよく確認しておくと良いでしょう。
企業が顧問契約を結ぶメリット③コスト削減
さらに、顧問契約ではより高度なスキルや知識を持ち、専門性に優れた人材を雇うことができるので、弁護士を雇ってしまえばわざわざ法務部を設けるよりも断然安く業務を委託することができます。
相場としては月に15万円が相場ですが、法務部を設置してかかる人件費と比較すると相場がかなり安く、より小さな会社の顧問を雇えば相場はさらに安く済むので、相場的にも考え法務部を設置するよりかは顧問契約を締結する方がコストも大きく抑えられます。
顧問契約をする際の注意点
弁護士などを顧問として雇う顧問契約は、いくつものメリットが考えられますが、実際に顧問契約を締結して報酬を与えるまでいくつか注意しておかなければならないことがあります。ここからは、そんな顧問契約を結ぶ上で抑えておきたい注意点について確認していきます。
顧問契約をする際の注意点①説明がわかりやすい専門家を選ぶ
弁護士やその他専門的かつ高度なスキルや知識を持つ者であれば、説明そのものが難しく、社員があまり理解できず、契約途中で解除通知書を書いて契約を解除してしまうというケースも珍しくありません。
途中で解除通知書を書いて契約を解除してしまえば、顧問のために用意したあらゆるものへの損失が生じてしまいますので、極力説明が分かりやすく相手の身になってより具体的かつ簡潔に助言してくれる顧問を選ぶことを強くおすすめします。
顧問契約をする際の注意点②迅速な対応ができる専門家を選ぶ
顧問がいくら高度なスキルや知識を有していても、レスポンスが極端に遅ければ業務に遅れが生じてしまう可能性も出てきてしまうので、顧問を選ぶ際は迅速な対応ができる専門家を選ぶことをおすすめします。
先ほども説明しましたが、契約を締結したのちに解除通知品を提出して契約そのものを解除してしまうと企業にも損失が生じてしまうこともあり得るので、説明がわかりやすくかつ迅速な対応ができる専門家に厳選して契約を結ぶようにしましょう。
顧問契約をする際の注意点③自社の文化を理解できる専門家を選ぶ
さらに、説明が分かりやすく、対応がスピーディーな専門家であれば後々解除通知書をわざわざ書く必要もなくなるのかと言うと、必ずしもそうとは限りません。さらにミスマッチを回避するためには、自社の風習といった独自の文化をしっかりと理解してくれる専門家を選ぶことも必要です。
そのためには、事前に専門家に対して自社の暗黙から明文化された風習までを全て伝えておくことが重要ですので、漏れなく顧問として雇うであろう相手に事前に具体的な文化を伝えておきましょう。
顧問契約をする際の注意点④印紙の有無
顧問契約を締結する場合、基本的には印紙は必要ありませんが、印紙税法で定められている文書を用いる場合は印紙が必要となります。例えば、税理士を顧問として雇う場合は、印紙が必ず必要となりますので、印紙が必要な書類とそうでない書類の区別をしっかりとしておきましょう。
ちなみに、印紙の金額は報酬によって変動してきます。報酬額が1万円以下の場合はそもそも印紙は必要とはなりませんが、仮に報酬額が1万円を超え、その報酬金額が100万円以下の場合は印紙代が200円です。
このように、報酬によっても印紙の有無や金額が変わってくるので、今一度報酬額と印紙の有無を確認しておきましょう。
顧問契約をする際の注意点⑤源泉徴収の必要性
顧問契約を締結し、報酬を支払う場合は必ず源泉徴収が必要となってきます。源泉徴収とは、いわゆる所得税など報酬から差し引く項目の税金を国に納めることをいいます。
例えば、契約した顧問に対して報酬を支払うとしましょう。当然この際も源泉徴収が必要となり、元々の報酬から源泉徴収した金額分を顧問に報酬と支払います。ここで差し引いた源泉徴収分の金額は、税務署へ届けて国に収めます。
源泉徴収のメカニズムは一見難しそうにも思えますが、案外源泉徴収から国に納めるという流れは簡単な仕組みとなっているので、源泉徴収を忘れないようにだけ注意してください。
顧問契約を結ぶまでの流れ
ここまで説明した注意点は全て把握できましたか?報酬を与えるまで意外と簡単に進められるようにも思えますが、これらの注意点を意識するだけでなく、これから解説する顧問契約を締結するまでの流れもしっかりとインプットしておかなければなりません。
もちろん、それぞれの段階で注意すべき点もあるので、ここからは契約までの流れと注意すべき点について触れていきます。
顧問契約を結ぶまでの流れ①顧問契約の問い合わせ
顧問契約を締結する場合、まず初めに顧問契約の問い合わせを会社に電話等でしなければなりません。なお、この問い合わせでは具体的な面談の日時を決定させるためのものですので、顧問契約をする際まずは会社に問い合わせをしましょう。
なお、電話での問い合わせではリアルタイムで顧問契約に関する相談を一切費用がかからず完全無料で受け付けてくれるので、その場で分からないことなどがあればしっかりと確認しておきましょう。
また、これは社会人であれば常識なことでもありますが、メモをできる準備や事前に自社が都合の良い日時の把握、相談しておきたい内容なのをノートなどに事前に記入しておくと、よりスムーズにこの段階を終えることができるので、上記の項目を今一度把握しておくことをおすすめします。
顧問契約を結ぶまでの流れ②面談
問合せにて指定した日時で面談を行う段階では、自社の委託したい業務の具体的な内容やその他求めているものなどを伝え、具体的な顧問契約の内容についてお話を聞きます。
実際に直接会って面談をする際は、確定申告書や自社の登記もしくはパンフレットを持参していくとよりスムーズに面談を終えることができるので、もし持参が可能であれば上記の書類を持参していくそとをおすすめします。
ただ、このご時世直接お会いして面談をするのは難しく、会社の中にはオンラインでの面談というスタイルを適用している会社もありますので、その際もパンフレットや自社の登記、確定申告書を忘れず、zoomであれば事前に音声及びカメラが正常に起動するかどうかをチェックしておくと良いでしょう。
顧問契約を結ぶまでの流れ③契約締結
面談が一通り終わり、顧問契約の内容が具体的に決まりましたら顧問契約の締結の段階へと移ります。締結の段階では、会社から自社に2種類の書類が郵送されますので、うち1つは押印して返送し、もう1種は押印して自社にて大切に保管してください。
正式に契約が締結されましたら、契約当日から実際に顧問として人材を雇うことができ、もちろん契約中も会社に対して無料相談も可能ですので、契約途中で不明な点が見つかった場合は会社に問い合わせてみると良いでしょう。
顧問契約を解除する方法
顧問契約を解除する際、急な契約解除はマナーとしても悪い印象を与えてしまうので、契約解除の意思を相手に事前に伝える解除通知書の作成が必要となります。
顧問契約解除通知書を作成し、相手にその意思を伝えましたら、契約解除へと話を進めていきます。流れとしては比較的シンプルではありますが、解除通知書を作成しなければ企業へのイメージが悪いものとなってしまい兼ねませんので、必ず解除通知書を作成して契約解除の意思を相手に伝えましょう。
顧問契約まとめ
ここまで、顧問契約の基礎的な知識について詳しく解説してきましたが、顧問契約の流れやその注意点等はしっかりと把握できましたか?顧問契約は、弁護士等を顧問として雇い、会社の成長につなげるために様々な助言をしてもらう代わりに報酬を与えるという契約のことをいいます。
業務委託契約とは違い、より専門性に優れた人材が対象となり、その分印紙や源泉徴収、解除通知書など様々なことに注意しなければなりません。また、顧問を提供してくれる会社によって相場も変わってくるので、相場が安い会社を選びたい場合は小さな会社を選ぶとコストもより削減できます。
さらに、法務部を設置する代わりに顧問契約を締結して顧問を雇う方が相場的にも考えて断然安く済ませることができるので、よりコスト削減にも繋がります。
この記事のライター
鈴木健太
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