今さら聞けない!インサイドセールスと呼ばれる営業手法とは?
今回はインサイドセールスとは?という話です。インサイドセールスとテレアポは似ていますが、実は顧客となるターゲットの情報を集めているという点が違います。この記事では「今さら聞けない!インサイドセールスと呼ばれる営業手法とは?」を解説しています。
目次
インサイドセールスとは?
インサイドセールスとは、電話やメールでコミュニケーションする営業手法のことです。
営業と聞くとアポなし訪問が頭に浮かぶ人が多いかもしれませんが、顧客のオフィスを訪問する営業手法はフィールドセールスと呼ばれており、インサイドセールスとは全く違うものです。
フィールドセールスは直接的で、インサイドセールスは間接的です。
「インサイドセールスはテレアポのこと?」と思うかもしれません。
似ていますが、テレアポとは少し違います。
どこが違うのか?
それは商品を売り込むか売り込まないかという点です。
テレアポは商品を売り込むセールストークをするのに対し、インサイドセールスは顧客の興味関心について聞きだします。
商品が売れるまでの工程を分けると下記の4段階です。
①認知
②興味
③検討
④購入
認知させる→興味を持たせる→検討させる→購入という工程。
たとえば、Calbeeの「じゃがりこ」が売れるまでの話をしたいと思います。
まずテレビCMで認知を促します。
耳に残るキャッチーな「じゃがりこ!じゃがりこ!じゃがりこ!じゃがりこ!じゃ~がり~こ~♪じゃ~がり~こ~♪」でインパクトのあるCMでしたよね。
そして、コンビニの店員さんに「今、じゃがりこ大人気なんですよ?」という一言を聞いて「よし買おう!」という流れになります。
①認知と②興味はマーケティングの仕事で、③検討と④購入はフィールドセールスやテレアポの仕事です。
フィールドセールスとは、顧客と対面して販売する営業方法のことです。
マーケティングとフィールドセールスの橋渡しをするのが、インサイドセールスの役割となります。
インサイドセールスは、高確率で商談が成立しそうな顧客をピックアップして、その情報をフィールドセールスに流し、効率的な営業を促すのがメイン業務です。
商品に対して強い関心を持っていたとしても、BANTがなければ効率が悪いからです。
「BANTって何?」と思われたかもしれませんが、野球のバントではありません。
BANTとは、Budget(予算)Authority(決裁権)Needs(必要性)Timeframe(導入時期)の頭文字をとった言葉です。
顧客が商品を購入するには関心以外にも、予算内であること、決定権があること、緊急性、必要なタイミングなどの要素が関係してきます。
関心とBANTを持っている顧客でないと商品は売れません。
効率的に商品を販売するには、BANTのある顧客をメインに営業することが肝要なので、インサイドセールスによってターゲットを絞り込みます。
インサイドセールスの目的
インサイドセールスを導入する目的は、営業活動を効率的に行うことです。
インサイドセールスで高感度の良い顧客へ優先的に営業することで、効率的に営業することができます。
フィールドセールスに比べ、移動時間が削減できるのが大きな特徴です。
電話やメールでアピールできるので、少人数&短時間での活動が可能です。
見込み客となる顧客へピンポイントで営業し、コンバージョン率を上げるのが目的です。
インサイドセールスが話題となったワケとは?
2008年9月15日、アメリカの投資銀行リーマン・ブラザーズ・ホールディングスが経営破綻しました。
この出来事がきっかけで、世界規模の金融危機となったリーマンショック。
インサイドセールスはリーマンショック後のアメリカで急速に浸透していき、その勢いは日本の営業手法に影響を与えるほどです。
なぜインサイドセールスが、これほどまでに注目されてきたのか?
その理由を考えてみたいと思います。
インサイドセールスが話題となったワケとは?①インターネットの進化
顧客は商品について詳しく説明できる人から購入します。
「使いやすいですよ、たぶん」と言われて買う人はいません。
商品のメリットとデメリットを具体的に教えてもらうと「この人の話は信用できそうだな。この人が勧めるなら買おうかな。」と購入につながります。
商品を売るには専門的な知識を持った販売員が必須ですが、近年は顧客のほうが商品に詳しかったりします。
ネットの普及で顧客が商品の情報を集めやすくなったからです。機能や性能をはじめ、使い心地や価格まで事細かに知っています。
興味や関心の強い顧客ほど、入念にリサーチしていることが多いからです。
顧客を満足させないと購入してもらえません。
もし販売員に知識がなければ「こんなこともわからないの?この人の言うことは信用できないから、他の店に行こうかな…。」となります。
インサイドセールスを導入していると、知識を豊富に持った販売員を紹介できるため、こういった事態を防げるので話題となっています。
インサイドセールスが話題となったワケとは?②商品の数の増加
前述したように、販売員が商品に詳しくないと売れません。
ですが市場には、数えきれないほどの商品があります。
あらゆる顧客のあらゆるニーズに対応するため、企業が商品を多様化させているからです。
そのため販売員が自社製品を把握しきれないといった事態が…。
1,000点以上ある自社製品を事細かに説明するのは無理です。
家電量販店に買い物行ったときを想像してみてください。
「テレビを探しています」と店員に伝えると「テレビ担当者を呼んでまいります」と言われませんか。
すべての自社製品を覚えるのではなく特定の分野に特化した専門家。
家電全般ではなくコピー機専門販売員、洗濯機専門販売員を揃えておけば、商品の数が増えても対応できます。
専門販売員に顧客を紹介するため、インサイドセールスが注目されています。
インサイドセールスが話題となったワケとは?③訪問販売の衰退
単純に従来のフィールドセールスでは、商品が売れなくなったからです。
ひと昔前は顧客のもとへ訪問し、信頼関係を築いて販売するという営業スタイルがありました。
ですがその営業スタイルは、衰退の道を突き進んでいます。
夫は仕事に行き、妻は家事をする時代がありましたが、今は夫婦共働きが当たり前なので、訪問したとしても顧客がいません。
訪問販売ではコスパが悪いため、インサイドセールスが注目され始めました。
インサイドセールスで期待できる効果とは
インサイドセールスで期待できる効果を紹介します。
インサイドセールスで期待できる効果とは①受注率UP
受注率がガツンと上がります。
インサイドセールスを導入すると、BANTを持っているターゲットへの営業が可能になるからです。
BANTとは、Budget(予算)Authority(決裁権)Needs(必要性)Timeframe(導入時期)のことでしたね。
「今すぐ買いたい」と思っている顧客に対して、専門的な知識を持った販売員が接客するので、必然的に成約率が大きく上昇します。
インサイドセールスで期待できる効果とは②営業業務の効率化
効率的に営業活動することができます。
顧客訪問では移動時間に膨大な時間がかかるからです。
滞在時間5分のために、移動時間30分という話は珍しくありません。
電話であれば再ダイアルするまでの数秒で済みます。
移動時間を年間で計算すると、1,000時間は軽く超えるのではないでしょうか。
インサイドセールスでは、限られた人員と時間を有効に活用できます。
インサイドセールスで期待できる効果とは③潜在的な顧客へのアピール
従来のフィールドセールスでは「売上」という実績が必要なので、成約までに時間がかかりそうな顧客は後回しにしがちでした。
その結果、潜在的な顧客へアピールできず、成約を逃してしまう場合もあったのではないでしょうか。
もしインサイドセールス部門とフィールドセールス部門があれば、潜在的な顧客を後回しにせず成約につなげることができます。
フィールドセールス部門が成約までに時間がかかると判断した顧客であっても、インサイドセールス部門がコツコツと地道にアピールできるからです。
中長期的に考えれば、フィールドセールス部門とインサイドセールス部門を分けたほうが、いい成果が得られます。
インサイドセールスで注意すべき点
インサイドセールスでは注意すべき点がいくつかあります。
インサイドセールスで注意すべき点①商品・サービスの魅力の整理
商品の魅力を知っておく必要があります。
「この商品を買うメリット」「購入後、どう変化があるのか」「他の商品とどこが違うのか」を顧客に説明できなければ、いかにインサイドセールスといえど効果が期待できないからです。
その際、「機能」と「感情」から説明しましょう。
たとえば、掃除機のダイソン。
まずは機能。吸引力の変わらないただ一つの掃除機と説明していました。
次に感情。ダニの拡大写真を見せて嫌悪感をアピールしていました。
機能で納得し、感情が動けば商品は勝手に売れていきます。
機能と感情の両方から商品価値をアピールできるよう、自社商品の強みや他社製品との違いを整理しておきましょう。
インサイドセールスで注意すべき点②統一した対応を行う
統一した対応を心がけましょう。
インサイドセールスは電話やメールでのコミュニケーションが、メイン業務となります。
コミュニケーションが上手い人や口が達者な人は成果が出せますが、そうでない人は成果が出せません。
それでは業績が安定しないので、マニュアルを作成します。
個々のコミュニケーションに任せるのではなく、マニュアル化された統一した対応を行います。
マニュアルがあれば、コミュニケーションが苦手であっても口下手であっても関係なく成果が出せます。
インサイドセールスで注意すべき点③役割分担が重要
インサイドセールス部門の本来の役割は、ターゲットを絞り込んで販売につなげることです。
もしインサイドセールス部門が、本来の役割を見失っていたらどうなると思いますか?
9年前になるのですが、目的を忘れたインサイドセールス部門を見たことがあります。
新婚旅行でハワイへ行ったのですが、そのとき路上で「話を聞くだけで商品券がもらえるけど、どうですか?」と声をかけられたことがあります。
別荘としてマンション購入しませんか?という話だったので「買う気はありません」ときっぱり断ったのですが「それでもOK」とのこと。
嫁と相談して「ちょっと恐いけど…商品券はほしい!」と意見が一致したので、話を聞きに行きました。
そこで待っていたのは、マンション売る気満々の営業マン。
買う気がないのに来るなよという気まずさを味わった後で、商品券をゲットできたのでよかったのですが…。
どうやらインサイドセールス部門が、ターゲットを絞り込まず誰彼構わずフィールドセールス部門に紹介していたようです。
ターゲットを絞らず集客しているインサイドセール部門は、存在している意味がないので注意しましょう。
インサイドセールスの導入方法
インサイドセールスを導入するには、管理システムが必要不可欠だと言われています。
インサイドセールス業務は顧客情報が最も大切です。
なのでインサイドセールスの管理システムには、顧客情報が検索しやすいことやシステムの操作が簡単であること、過去のインサイドセールスやフィールドセールスの訪問や電話した日付と内容がわかることなどが求められます。
インサイドセールスの導入時は、顧客情報と以前にコンタクトしたときの内容が時系列で分かりやすいシステムを選びましょう。
インサイドセールスまとめ
インサイドセールスについてのイメージができましたか?
効率的に営業するためのインサイドセールスなので、いかに顧客となるターゲットを見極めるのかが重要になってきます。
もしターゲットを厳選できる優秀なインサイドセールス部門を作ることができたら、コスパよく営業できるため、驚くほど業績が伸びるかもしれません。
インサイドセールス導入時は、目的や役割をしっかり体系化してから実践してみてください。
この記事のライター
松田佳祐
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