今さら聞けない中小企業の定義とは?抑えておきたい法律上の中小企業の分類もご紹介!
中小企業の定義はご存知ですか? 一言で「中小企業」と言っても法律ごとに範囲が異なっており、共通の「中小企業像」を共有することは難しいと言えます。 この記事では今さら聞けない中小企業の定義と法律上の分類を紹介していきます。
中小企業とは?
2018年の統計調査によると日本企業のうち99.7%が中小企業で、労働者の68.8%が中小企業で働いています。
それだけ中小企業向けの商品・サービスの市場規模が大きいと考えることができ、そうしたものを開発・販売したことがある方も多いのではないでしょうか?
しかし、「うちの商品は中小企業向けだけど、実際のところどのくらいの規模までが中小企業なんだろう?」と思われるかもしれません。
また「中小企業」というとひとによって 「従業員〇〇人くらいまでは中小企業だろう」「いやいや〇〇人以下で資本金が〇〇くらいまでは中小企業でしょう」と人によってイメージする中小企業像が異なることも多いです。
この記事では中小企業の定義と分類、中小企業ならではの強みといった内容について解説していきたいと思います。
せっかく中小企業向けに商品・サービスを開発したのに、想定していたターゲット層とずれていた、もっとターゲット層を広くできたのに・・・ということを減らしていきたいと思います。
中小企業の定義
中小企業の定義は定められていますが、法律や制度によってバラバラといっていいでしょう。
例えば、中小企業基本法では資本金(資本金の額または出資の総額)と従業員数(常時使用する従業員の数)で「中小企業」を次のように定めています。
業種分類 | 中小企業基本法による中小企業の定義 |
---|---|
サービス業 | 資本金の額または出資の総額が5,000万円以下の会社 |
小売業 | 資本金の額または出資の総額が5,000万円以下の会社 |
卸売業 | 資本金の額または出資の総額が1億円以下の会社 |
製造業その他 | 資本金の額または出資の総額が3億円以下の会社 |
他にも「独立行政法人中小企業基盤整備機構法」の中小企業の定義では、中小企業基本法の定義に加えて次のものなども含まれます。
- 企業組合
- 協同組合
- 事業協同組合
- 事業協同小組合
- 商工組合
- 共同組合連合会
また、法人税法では業種に関係なく、資本金が1億円以下なら「中小企業者」と定義されています。
さらに「ゴム製品製造業」や「旅館業」「ソフトウエア・情報処理サービス業」は政令で別途定義されることもあります。
このように「中小企業」といっても法律でさまざまな定義がされているため、自分たちや相手が中小企業に該当するかどうか調べていかなければなりません。
法律上の中小企業の分類
中小企業基本法の定義を基準に中小企業かどうかを判定するとしますが、そのためには「サービス業」「小売業」「卸売業」「製造業その他」のうち、どの業種に該当するのか確認しなければなりません。
中小企業庁に業種の調べ方について記載されているので解説していきます。
法律上の中小企業の分類の調べ方①日本標準産業分類からどの分類に当てはまるのか調べる
総務省で作成している日本標準産業分類で分類されるであろう、おおよその項目名から説明及び内容例示をチェックして、どの分類に該当するのか確認します。
項目は以下のとおりです。
- 農業、林業
- 漁業
- 鉱業、採石業、砂利採取業
- 建設業
- 製造業
- 電気・ガス・熱供給・水道業
- 情報通信業
- 運輸業・郵便業
- 卸売業、小売業
- 金融業、保険業
- 不動産業、物品賃貸業
- 学術研究、専門・技術サービス業
- 宿泊業、飲食サービス業
- 生活関連サービス業、娯楽業
- 教育、学習支援業
- 医療、福祉
- 複合サービス事業
- サービス業(他に分類されないもの)
- 公務(他に分類されるものを除く)
- 分類不能の産業
法律上の中小企業の分類の調べ方②対応表からどの業種に該当するのか確認する
分類から項目を把握したら、下記からどの業種に該当するのか確認していきます。
法律上の中小企業の分類①サービス業
サービス業に該当するのは以下のとおりです。
情報通信業のうち
放送業
情報サービス業
映像情報制作・配給業
音声情報制作業
広告制作業
映像・音声・文字情報制作に付帯するサービス業
不動産業、物品賃貸業のうち
駐車場業
物品賃貸業
学術研究、専門・技術サービス業
宿泊業、飲食サービス業のうち
宿泊業
生活関連サービス業、娯楽業(ただし、旅行業は除く)
教育学習支援業
医療、福祉
複合サービス事業
サービス業(他に分類されないもの)
法律上の中小企業の分類②卸売業
卸売業、小売業のうち
各種商品卸売業
繊維・衣服等卸売業
飲食料品卸売業
建築材料、鉱物・金属材料等卸売業
機械器具卸売業
その他の卸売業
法律上の中小企業の分類③小売業
卸売業、小売業のうち
各種商品小売業
織物・衣服・身の回り品小売業
飲食料品小売業
機械器具小売業
その他の小売業
無店舗小売業
宿泊業、飲食サービス業のうち
飲食店
持ち帰り・配達飲食サービス業
法律上の中小企業の分類④製造業その他
上記以外の全て
これで中小企業基本法における業種が判明したので資本金と従業員数から中小企業かどうかを判定できます。
大企業の定義とみなし大企業の定義
ちなみに大企業やみなし大企業は中小企業基本法をはじめとした法律では定義されていませんので、各種法律の中小企業の定義に当てはまらない企業や個人が大企業やみなし大企業として考えられることが多いです。
中小企業独自の強みとは?
中小企業は大企業と比較して人員や資本などの経営資源に限界がありますが、中小企業だからこその強みもあります。
一番の強みは「意思決定のスピードが早く、フットワークが軽い」ことが挙げられます。
所有と経営の分離がされていることが多い大企業では、企業の今後を決める経営方針に関して株主の意向を無視できませんので、調整と意思決定、実行に時間がかかってしまいます。
しかし、中小企業はオーナーが経営者であるパターンが大半で経営判断を素早く下すことができます。
つまり、それだけ不測の事態が起きても対応しやすくなり生産性も向上します。
また、中小企業は従業員が少なく、市場規模が小さかったり、縮小しても事業に参入・継続することができるため、小回りがききます。
大企業は数千人、数万人の従業員や大規模な設備・施設を抱えていることも珍しくなく、それだけの費用を賄うだけの売上を継続的にあげていかなければなりません。
これでは簡単に経営方針を変更したりすることが難しく、大きなチャレンジが嫌煙されてしまいます。
市場の変化が年々早まっている現代だからこそ、中小企業の身軽さは大きな強みと言えます。
中小企業の定義まとめ
中小企業の定義についてまとめてきました。
一言で「中小企業」といっても、日本企業の大半が中小企業で、70%近くの人が中小企業で働いています。
それだけ中小企業向けの商品・サービスの市場規模が大きいと考えることができるので、そうした市場を相手に仕事をしていく方もいるかと思います。
しかし、イメージする人によって企業規模は異なることが多いですし、法律による定義もさまざまです。
まずは自分たちやターゲット層にしたい企業が中小企業かどうか調べなければなりませんので、総務省などのサイトから業種ごとに確認していきます。
なお、大企業に比べて経営資源に限界がある中小企業だからこそ、フットワークが軽いという強みもあるので、小規模な市場での活動や市場環境の変化にも対応しやすいと言えます。
この記事のライター
U11
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