中小企業における後継者問題の解決策はあるの?今更きけないM&Aの意味とは?
後継者が見つからないという中小企業が増えています。 将来的な経営に不安を感じていたり親族間トラブルを避けたいといった理由が後継者が不足している原因と言われています。 この記事では中小企業の後継者問題を解決するための方法を解説していきます。
目次
中小企業における後継者不足問題とは?
ニュースで取り上げることが増えてきた「中小企業の後継者不足問題」。
中小企業の後継者が減ってきた理由としては、適切な後継者候補が見つからない、親族トラブルの回避、税金の負担が大きいといったものがあります。
そうした理由から、実際のところ後継者を見つけるために、なにをしたら良いのかわからない経営者も多いそうです。
この記事では「中小企業の後継者不足問題に悩んでいる」という方や「今はまだ表面化していないけど、将来的にどうすべきか考えている」という方に向けて、後継者不足問題の解決方法を解説していきます。
中小企業において後継者が見つかりにくい理由
中小企業の後継者がなかなか見つからない理由としては将来性に不安を感じていたり、後継者教育を十分にできなかったり、各種手続きに時間がかかるといった事が挙げられます。
なぜ後継者が見つかりにくいのかについてくわしく解説していきます。
中小企業において後継者が見つかりにくい理由①事業の将来性に不安を感じている
年齢的な問題や健康的な問題の他にインターネットの普及や人手不足、さまざまな分野で機械化が進み、事業を将来的に継続できるか不安に感じている経営者も多いです。
親族や社内に事業を継続したいと希望する人がいてもそうした不安から廃業を選ぶ経営者も珍しくありません。
しかし、経営コンサルタントの見直しとアドバイスによって将来性を高める可能性がありますので、まずは専門家に相談することをおすすめします。
中小企業において後継者が見つかりにくい理由②後継者教育に回す時間がない
中小企業といっても、経営者は仕事が忙しく、後継者教育のための時間を確保できないことがあります。
「いざというときになっても、すぐに後継者は見つかるだろうし、引き継ぎもスムーズにできる」とはならないので、早いうちから後継者候補を探して十分な教育をしていかなければなりません。
中小企業において後継者が見つかりにくい理由③事業継承には手続きの時間がかかる
親族や従業員、第三者に事業を継承してもらうためには各種の法律の手続きや資金調達、経営陣への根回しといったさまざまなプロセスが必要でかなりの時間がかかります。
親族に継承させるなら、親族間のトラブルが起きたり、相続税の負担が大きくなります。
第三者に売却するには、買い手を探し、トップ同士の交渉や契約書の締結などのいくつかの手続きが必要です。
時間が足りない状況で事業を継承してもらうことは難しく、やむなく廃業を選ぶ経営者も多いです。
後継者不足により廃業した中小企業の事例
以下では適切な後継者が見つからないまま廃業してしまった企業の事例を紹介していきます。
後継者不足により廃業した中小企業の事例①梅の花本舗
梅ジャムを製造販売してきた梅の花本舗ですが、肉体労働が原因で膝や股関節を痛め、廃業することを決めました。
第三者が事業継承を希望したそうですが、黒字化は難しいと判断し2017年に廃業しました。
後継者不足により廃業した中小企業の事例②羽衣文具
創業80年を超える老舗の羽衣文具のチョークはその使いやすさから教育現場で支持されてきました。
しかし、体調を崩したことをキッカケに後継者候補を探しましたが、適切な人物を見つけることができず、製造機械や製造ノウハウを譲渡し2015年に廃業しました。
中小企業の後継者不足に対する解決策
後継者不足問題の解決方法を解説する記事ですが、当然、これらの解決方法を試したからといって簡単に後継者が見つかるのはレアケースだと思います。
ですが、試してみないと始まりません。
中小企業の後継者不足に対する解決策①後継者人材バンクの利用
解決策としてはいくつかあるのですが、今後利便性が高まるであろう制度である「後継者人材バンク」を紹介させてもらいます。
「後継者人材バンク」とは後継者を探す企業と事業を引き継ぎたい人材をマッチングさせる制度です。
各都道府県にある「事業引継ぎ支援センター」が運営しており、起業家や起業家志望の人が登録しています。
まだ知名度が低いため、思うようなマッチングは難しいようですが、国の機関なので信頼性が高く、安心して利用ができます。
知名度が高まり、登録者と登録企業が増えることで理想的な後継者探しができる可能性があります。
中小企業の後継者不足に対する解決策②親族間の事業承継
今まではメジャーだった親族間での事業継承ですが、身内に事業を継承したいと希望する人がいなかったり、相続トラブル(とくに相続税の負担が大きい)といった理由もあり、年々減少傾向にあります。
といっても、親族に事業を継承させることは
- 長期的な後継者教育ができる
- 取引先や従業員に受け入れられやすい
といったメリットがあります。
とくに現場で経験を積ませて会社や業務に対しての理解を深めてもらったり、大企業で働いた経験を生かして、事業を継承してもらうことで、能力面や教育面を充実させることができるので安心です。
ですが、後継者候補の当人に事業継承の意思がなければ厳しいでしょう。
後継者不足におけるM&Aとは?
もう一つの解決策として「M&Aによる企業・事業の売却」という選択肢もあります。
自分が育ててきたり、一族が代々継いできた事業を売ってしまうことに抵抗を感じる方も多いですが、メディアにも取り上げられて注目度は急上昇しています。
中小企業の後継者不足に対してM&Aを活用するメリット
M&Aに抵抗を感じる方も多いと思いますが、具体的にはどういったメリットがあるのでしょうか?
中小企業の後継者不足に対してM&Aを活用するメリット①企業の存続
M&Aの一番のメリットとして、事業の継続が可能ということが挙げられます。
どうしても後継者が見つからず、廃業や解散をしてしまった場合、顧客や取引際、なによりも従業員たちに迷惑がかかります。
これは数年計画で徐々に実行したとしても同じことです。
しかし、M&Aによって事業を別企業に引き継いでもらうことで従業員の雇用も技術も名前も同じように続けてもらうことができるかもしれません。
中小企業の後継者不足に対してM&Aを活用するメリット②売却益の獲得
廃業すると多額のお金が必要になることがあります。
工場や店舗を取り壊して更地にするにはかなりの経費がかかりますし、それを補おうと在庫や製品・設備機器を売却しようとしても値引きしなければ売れません。
しかし、M&Aで売却することで利益を獲得できることがあります。
とくに買い手が技術や特許、営業権、将来性、既存の他事業とのシナジー効果を期待しているなら、売却益をさらに高めることができます。
廃業するときと比べて、必ず多く利益を残すことができるかどうかは不明ですが、株式を譲渡することで素早く現金化でき、低い課税になるのはM&Aのメリットです。
後継者候補や売却先が見つからなかったときに対応
親族や従業員、後継者人材バンクに後継者候補やM&Aによる売却先が見つからなかったときはおとなしく廃業するしかないのでしょうか?
いいえ。
そんなときは会計士や金融機関、M&Aアドバイザーなどの専門家に相談してみてください。
お互いの条件が一致する売却先を紹介してくれたり様々な手続きをサポートしてくれることがあります。
もちろん、もっと早い段階で相談しても大丈夫。
無料相談を受け付けている場合もあるのでまずは問い合わせてみてはいかがでしょうか?
中小企業の後継者問題まとめ
この記事では中小企業の後継者不足を解決するための基礎知識を解説してきました。
可能なら廃業は避けたいという経営者が大多数なので、これを機に後継者不足を解決してみませんか?
この記事のライター
U11
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