合弁会社の意味って?抑えておきたい3つのメリットとデメリット
合弁会社という聞き慣れない言葉をご存知ですか。実は外資系企業の多くが合弁会社なんです。そこでこの記事では、合弁会社の意味やメリット&デメリットについて解説しています。5分で合弁会社についてドヤ顔できるので、ぜひ読んでみてください。
合弁会社の意味って?
合弁会社の意味は、法人が海外進出する際に役立つところにあります。
日本には多種多様な企業形態があるのをご存知でしょうか。
たとえば株式会社や合同会社、合名会社、合資会社、特例有限会社など。
合弁会社もそのうちの1つだと思ってください。
思ってくださいとお伝えしたのは、会社法に正式な記載はなく、あくまで便宜上呼んでいるだけだからです。
複数の法人が株式会社を設立すれば合弁会社となり、複数の法人が合同会社を設立すれば合弁会社となります。
複数の法人が共同で設立するのが合弁会社。
会社が作る会社です。
それぞれの企業が資金を出し合い、技術や資源を共有し合います。
またの名をジョイントベンチャーと言われています。
合弁会社とは真逆の設立スタイルに独資会社という会社があります。
1つの企業だけで設立するのが独資会社です。
言葉の通じない海外で、自社だけで会社を設立すると非常に苦労すると思いませんか。
現地の企業と協力する合弁会社スタイルは、海外進出が比較的容易です。
海外企業と国内企業で設立される合弁会社が多いのはこのためです。
一般的にそれぞれの強みを掛け合わせて事業拡大するのが目的で、得た利益は出資額に応じて分け合います。
合弁会社の立ち上げ方法は以下の2パターン。
・新しい会社を共同で立ち上げる方法
・事業や会社を買収して共同経営する方法
合弁会社の設立例
合弁会社についてなんとなくイメージできたかと思います。
そこでもっとイメージできるように、身近にある合弁会社をみてみましょう。
合弁会社の設立例①ビックカメラ×ユニクロ
ビッグカメラとユニクロが設立した合弁会社に「ビックロ」という会社があります。
設立当時、テレビで話題になったので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
ビッグカメラとユニクロは顧客層が似ているので、共同で事業を行おうと作ったのがビックロ。
ビックロは新宿駅の近くにあり、維持費にかかる巨額の費用を、双方が出資することで負担を減らせました。
合弁会社の設立例②ソフトバンク×FindabilitySciences
ソフトバンクとFindabilitySciencesが「Findability Sciences株式会社」を設立したのも有名な話。
FindabilitySciencesはビッグデータやAIを扱うアメリカの企業で、プラットフォームを提供したサービスも展開しています。
日本はAIの技術で乗り遅れているため、FindabilitySciencesとの合弁はソフトバンクからしたら目から鱗だったと噂されています。
まだ成熟していない、日本のAI市場を狙っての合弁契約なのかもしれませんね。
合弁会社の設立例③NEC×シャープ
映像に関連した事業を展開する子会社をシャープと合弁会社化することを決定したNEC。
NECディスプレイソリューションズがNECとシャープの合弁会社となり、NECの株式66%をシャープへ譲渡予定です。
NECディスプレイソリューションズはシャープの子会社となり、NECと共同で経営。していくようです
合弁会社のメリット
「なんで外資系の企業は、現地の会社と共同で合弁会社を設立するの?」と不思議に感じたことないですか。
それはいくつかのメリットがあるからなんです。
そのメリットを紐解いていきたいと思います。
合弁会社のメリット①海外進出が容易にできる
この記事の冒頭で少し触れましたが、海外進出が容易にできるというメリットがあります。
合弁会社設立の理由はさまざまですが、海外進出を考えたとき、現地の会社と合弁会社を設立したほうが海外進出しやすいです。
海外でゼロからビジネスを始めるにはハードルが高いからです。
想像してみてください。国が違うと、文化が違い法律も違います。
しかも何もないところから始めると、膨大な時間とお金が発生します。
ですが現地の会社と協力すれば、人脈や販売ルートを利用できるため、割と簡単にビジネスを展開できます。
売るための服があり販売ルートがない状況で、流通を作るところから始めるのは時間の無駄です。
また国によっては外資規制があります。
日本も導入しており「うちの国でビジネスするときは、国内の企業と共同で行ってくださいね」という制度です。
規制により、その国に進出する方法が合弁会社のみ、というケースもあります。
その他には、現地での従業員募集に有利だったり、現地住民から反発されなかったりといったメリットがあります。
合弁会社のメリット②失敗による損失の軽減
合弁会社のメリットとして考えられるのが、失敗による損失の軽減です。
もし事業に失敗したとしても、損失を抑えることができます。
投資もビジネスもリスク分散が命。
失敗を前提に事業を始めませんが、あらゆる可能性を考慮する必要があり、事業失敗のリスクヘッジとして有効な手段が合弁会社というわけです。
合弁会社のメリット③資源を利用できる
相手企業の資源を利用できるというメリットがあります。
土地や建物、流通、人材、ブランド力など自社にはない技術やノウハウを利用できます。
たとえばA社には商品があり、B社には販売ルートがある場合。
お互い足りない部分を補うことで、利益を得ることができます。
また軌道に乗るまでが早いというのも、合弁会社の魅力のうちの1つです。
合弁会社のデメリット
「合弁会社ってすごい!」という気持ちになりますが、いいことばかりではありません。
残念なことにデメリットもあります。
合弁会社のデメリット①企業間とトラブル
意見が食い違うと激しく衝突します。
「うちの両親の喧嘩すごかった」なんて人も少なくないはず。
共同経営すると経営方針が食い違ったときに揉めます。
海外法人と合弁会社を設立すると文化の違いや考え方、言葉、価値観など同じビジョンを共有できないことが多々あります。
しかも意見が食い違うのは経営が行き詰っているときだったり…。
早急に対策が必要なのにまとまれないなんて最悪です。
揉めた場合のルールを、あらかじめ決めておくといいかもしれません。
また配当方針を巡る紛争もあり、合弁会社設立時は法律を熟知した上で合弁契約を結び、なるべく揉め事の種を排除しておきましょう。
合弁会社のデメリット②独自技術の流出
「よっしゃー!過去最高の売上じゃー!」
お互いの足りない部分を補って共に利益を得るって聞こえはいいですが、合弁契約は揉め事をはらんでいます。
独自技術を提供するわけですから。
「合弁契約が終わったー」ってなったときに「うちが提供した技術を返して―」とはいきません。
長い年月をかけて培ってきた技術やノウハウが流出してしまうのは切ないです。
合弁会社を設立するときは、流出するリスクを心得ておきましょう。
合弁会社のデメリット③パートナーを見つけるのが難しい
合弁契約はお互いの思惑が一致する必要があります。
たとえば、ソフトバンクはAI技術がほしいと思っていて、FindabilitySciencesは日本に事業展開したいと思っていたのかもしれません。
もしかしたら合弁会社の社名にソフトバンクの文字がないのはこのためなのでしょうか。
仮に見つかったとしても信頼できるかどうかは別です。
「技術やノウハウだけいただこう」と考えていないとはかぎりません。
アメリカのような密接な国なら安心できますが、縁のない国はなおさらです。
合弁会社まとめ
合弁会社についての認識は深まりましたか。
総合的に判断して、海外進出なら合弁会社となりそうです。
合弁契約を結ぶ前も後も大変ですが、何もないところから始めるよりは楽なのかもしれません。
海外進出の際は、現地企業と合弁会社を設立してみてください。
この記事のライター
松田佳祐
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