コーチングとティーチングはどう違う?それぞれのメリットやデメリットと使い分けの方法を解説
本や研修でコーチングと比較されるのがティーチングです。この記事ではコーチングとティーチングの違い&それぞれのメリットやデメリットと使い分けの方法を解説しています。3分後にはコーチングとティーチングについて説明できるハズです。
目次
コーチングとティーチングはどう違う?
研修で人材育成のスキルを習ったことあるという人もいるかもしれませんが、人材育成の研修でよく耳にする言葉です。
コーチングとは?
スポーツのトレーニングを行う人のことを、コーチとかトレーナーと言います。
テレビ中継で「なぜこのトレーニングなんですか?」というキャスターの問いに「コーチのトレーニングメニューなんです」なんて光景が目に浮かんできませんか。
コーチは指導者のことを指す言葉で、コーチングは指導方法です。
コーチングでは、すべての答えは生徒の中にあると考えます。
「ゴールや目標、プロセス、手段すべて生徒の中に答えがある」という視点でフィードバックします。
たとえば指導者が「どういったトレーニングがいいと思う?」とか「どのスキルが足りないと思う?」のような問いかけをして、生徒自身に答えさせます。
指導者の役目は答えを引き出すサポート役であるため、正解を知っていても教えません。
ゴールの方角は教えても、ゴールへの行き方は生徒自身に見つけさせます。
一般的に、正解がたくさんある問題は、コーチングが効果的だと言われています。
ティーチングとは?
「Coach(指導する)」に対して、ティーチングは「Teach(教える)」です。
ティーチングとは、答えを教えるという概念です。
なので答えは指導者の中にある、というスタンスで指導します。
自動車学校での訓練はティーチングによる教育方法です。
生徒のレベルに合わせて指導方法を変えたり答えを教えたり、ときには相手が自分で気づくようなアドバイスをしたり。
指導者には、感覚的なことを言語化する能力や、再現性のあることを教える技術が求められます。
一般的に、電話対応などマニュアルのある業務は、ティーチングが効果的です。
カウンセリングとメンタリング
コーチングとティーチングの他にも、似たような言葉があります。
ここではカウンセリングとメンタリングについて、触れておきたいと思います。
カウンセリング
カウンセリングとは心のケアをすることです。
看護と勘違いしている方がいるかもしれませんが、看護ではありません。
看護は主に身体をケアします。
身体の看護、心のカウンセラーです。
カウンセリングを行う人をカウンセラー、カウンセリングを受ける人をクライエントと呼びます。
カウンセラーとの対話を通して、クライエントの悩みや辛さの解消を目指します。
人に話すと楽になったり、スッキリしたりしますよね。
上手く言葉にできないとか誰にも相談できないとき、一人で抱えず相談すると心が落ちつきます。
メンタリング
コーチングとメンタリングは同じ概念で、生徒にフィードバックします。
ただ指導の範囲が違います。
コーチングは仕事内容のみにとどまるのに対し、メンタリングは価値観にまで影響を与えます。
メンタリングの中にコーチングが含まれているイメージです。
コーチングが東京だとしたら、メンタリングは日本です。
メンタリングでは指導者をメンティー、生徒をメンターと呼びます。
スティーブジョブズと曹洞宗の乙川弘文師は、メンティー&メンターの関係であったといわれています。
コーチングとティーチングの違い
コーチングとティーチングの明確な違いをご紹介します。
コーチングとティーチングの違い①誰が答えを持っているのか
生徒が答えるまで待つのがコーチングです。
指導者が答えを教えるのがティーチングです。
たとえば子供が「どうやったらいい点が取れるようになる?」と聞いてきたら、コーチングでは「どうやったらテストで、いい点が取れるようになると思う?」と問いかけます。
一方、ティーチングは「塾にいけばいい点が取れる」とフィードバックします。
答えが「生徒の中にある」と考えるコーチング。
答えが「指導者の中にある」と考えるティーチング。
コーチングとティーチングの違いは、誰が答えを持っているのかという点にあります。
コーチングとティーチングの違い②目的
目的が違います。
コーチングは主体的に考えて行動する人材を育てるのが目的です。
対するティーチングは、従順な人材の育成を目的にしています。
生徒や部下に対して「言わんでもやれよ!」と思うならコーチングを、「言った通りやれよ!」と感じるならティーチングを心がけてみてはどうでしょうか。
コーチングとティーチングの違い③意思の所在
コーチングとティーチングでは、意思の所在が違います。
コーチングでは生徒自身の意思で行動しており、ティーチングでは指導者の意思に従って行動しています。
高校野球の甲子園で、ベンチから指示を出している監督の指導方法は、ティーチングなのかもしれません。
誰の意思で行動しているのかという点が、コーチングとティーチングの違いです。
コーチングとティーチングのそれぞれのメリットとデメリット
コーチングとティーチングのそれぞれのメリットとデメリットをご紹介します。
コーチングのメリット
問題解決スキルが向上します。
指導者から答えを貰えないため、自分で考える習慣が身につくからです。
またモチベーションが向上しパフォーマンスが良くなります。
人は基本的に人からの指図が嫌いです。人からの指示や命令は気が乗りません。
ですがコーチングは言われて行動するのではなく自分の意志で行動するため、内発的動機づけが強くなる傾向があります。
コーチングのデメリット
コーチングのデメリットは、そもそも生徒が消極的だと機能しません。
勉強嫌いな子供に「どうしたらいい点が取れると思う?」なんて言ってもまるで意味なしです。
まず勉強を好きだと思わせるのが先です。
他には依存体質の人には効果が薄いかもしれません。
世の中にはいろいろな人がいて「指示通り動きたい」とか「指示があると安心する」という人がいるからです。
ティーチングのメリット
再現性が可能なことを素早く習得させることができます。
手順書や要領書があり、絶対的な手順を指導するにはコーチングが向いています。
たとえばマクドナルドで、新人にフライドポテトの揚げ方を教えるときに「どうしたら上手く作れると思う?」なんて時間の無駄です。
生徒を早く育てることができるのが、ティーチングのメリットです。
ティーチングのデメリット
生徒の意欲をそぐというデメリットがあります。
やらされていると感じるとモチベーションが下がるからです。
また指導者の意見を優先するあまり、生徒がスキルを活かしきれないというケースも考えられます。
バスケット漫画の名作といえばスラムダンク。
もし安西先生がティーチングをしていたらどうでしょうか。
「流川もっとパス出せ!」なんて安西先生が言っていたら。
ティーチングは、生徒自身の個性を潰してしまうキケンがあります。
コーチングとティーチングの使い分けはどうする?
「自発的」とか「モチベーション向上」と聞くと、コーチングのほうが良い指導方法のような気がしてきます。
ですがこれが正解であれは不正解というわけではありません。
どちらか一方が優れているわけではありません。
コーチングもティーチングも共に素晴らしい育成方法です。
なので時と場合により使い分けましょう。
上手く併用すると、より効果的に育てることができます。
ティーチングのみやコーチングのみで人材育成はできないので、シチュエーションごとに使い分けてフィードバックするのが最も効果を発揮します。
コーチングとティーチングの違いまとめ
コーチングとティーチングについてご紹介しましたが、研修で習ったスキルと比べてどうですか。
どっちが良いとか悪いとかは、一概に言えないということがわかっていただけたのなら十分です。
人を育てるうえで大切なことは、育て方を勉強するより信頼関係を築くことです。
信頼関係を築いたうえで、コーチングとティーチングによる指導を試してみてください。
この記事のライター
松田佳祐
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