企業で申請すべき税金には何があるの?税務の申告で必要な書類とは?
「税務申告」していますか? 起業したてならよくわからない方が大半だと思いますが、申告して納税をしなければなりませんし、税務調査を避けたり各種優遇制度を受けるために必要です。 この記事では企業で申請すべき税金とその書類について解説していきます。
企業が税務に申請する必要のある税金とは?
利益を出している企業なら当然やっていますよね?
「税務申告」。
社会的な責任を果たすためにも必ずしなければなりません。
といっても、起業したてなら「税金のことなんてまったくわかんない」というのが普通だと思います。
私もそうでした。
この記事は企業が申告する税金について解説していきます。
ちなみに税金は年度によって変更されることが多いです。
あくまでも令和2年(2020年)5月18日現在の税率、制度になりますのでご注意ください。
企業が税務に申請する必要のある税金①法人税
法人の所得に応じて支払う税金です。
1事業年度の収益から損失、費用をマイナスした会計上の利益に調整をして出た所得額に法人税率をかけて申告額が決まります。
企業が税務に申請する必要のある税金②消費税
商品券の売買といった非課税取引を除いたほぼすべての取引に課される消費税。
一般人なら支払うだけですが、事業主なら多く受け取った分を原則納める必要があります。
ただし、事業をはじめて2年間は免除され、2年目以降も免除されることがあります。
企業が税務に申請する必要のある税金③都道府県民税および事業税
法人が行う事業に対しての税金です。
法人所得に税率をかけて決まります。
企業が税務に申請する必要のある税金④住民税
個人にかかる住民税もありますが、法人にかかる住民税もあり、市町村民税とも呼ばれます。
以下の2つの方法で税額が決まります。
- 均等割:資本金と従業員数に応じて定額で決定
- 法人税割:法人税率を基準にして税額が決定
企業が税務に申請する必要のある税金⑤源泉所得税
従業員の給与から所得税と住民税の分を引いて、源泉徴収義務者として翌月の10日までに納付します。
これらのうち毎月納付するのは源泉徴収税だけ。
ほかの法人税や消費税、都道府県民税、住民税は決算月から2ヶ月以内に納付します。
税務申告の必要性
さて、法人が経済活動をするとこれだけの税金を支払わなければなりません。
イヤになりますよね。
正直に言って「支払いたくない」というのが本音だと思います。
そもそも税金はなぜ申告して納付する必要があるのでしょうか?
一番シンプルな理由は「法律で決まっているから」。
国も法人と同じように活動するためにはお金が必要なので「納税の義務」を課しています。
ほかの大きな理由としては
- 税務調査を避けるため
- 各種優遇制度を適用するため
といった理由があります。
税務申告の必要性①税務調査を避けるため
経済活動に対して申告した税額が見合わないなどの不審な点があると、税務署に調査されることがあります。
対象になる基準はとくに無いようですが、4,5年に1回程度が多いようです。
赤字の中小企業も対象になることがあり、飲食店や建設業などは調査対象になりやすいようです。
税務署はミスや不正がないかチェックするので、悪いことをしていなくても不安になります。
税務署に指示された資料や書類を用意し、その対応で時間が取られます。
不正を疑われないようにするためにも申告は正確に行います。
税務申告の必要性②各種優遇制度を適用するため
後述しますが、中小企業向けに各種優遇制度があります。
売上を基準にしていたりしますので、適用するためにも税務申告を行います。
くわしくは下記の「中小企業優遇税制による税金の軽減」をご覧ください。
税務申告で必要な書類
法人が税務申告を申告するためには以下の書類が必要です。
用意するのが大変ですので、比較的時間があるうちから書類を準備していかなければなりません。
- 法人税申告書
- 消費税申告書
- 事業税報告書
- 市町村申告書
- 源泉徴収税申告書
- 固定資産税申告書
- 賃借対照表
- 損益計算書
- 株主資本等変動計算書
- 勘定科目明細書
- 法人事業概況説明書
中小企業優遇税制による税金の軽減
中小企業は以下の内容で税金が優遇されます。
かなり負担が軽くなることがありますので、必ずチェックです。
中小企業優遇税制による税金の軽減①法人税率軽減
法人税率は原則で23.2%の税率が課されますが、条件を満たせば年800万円までの税率を19%にすることができます。
この辺りはかなりややこしいので、国税庁のHPで法人税の税率を確認してください。
中小企業優遇税制による税金の軽減②欠損金の繰越控除
法人の赤字額を翌年から10年にわたって所得金額から控除することができます。
青色申告をしている法人なら欠損金が100%控除の対象になりますが、白色申告だと50%しか控除できないので注意してください。
くわしくは国税庁HPをご確認ください。
中小企業優遇税制による税金の軽減③交際費の損金算入
法人は接待をはじめとする交際費を基本的に損金として認められません。
しかし、中小企業なら年間800万円まで損金として算入が認められます。
くわしくは中小機構HPをご確認ください。
中小企業優遇税制による税金の軽減④新品資産の特別償却
「特別償却」とは通常の原価償却費とは別の経費の追加計上ができる制度です。
この制度は中小企業の投資を促進する目的で実施されており、課税ベースの利益から特別償却費を引くことで法人税を減らすことができます。
例えば、設備投資をした初年度に経費として一括計上することで翌年以降は経費の計上額は0円になります。
よって耐用年数をトータルで見ると、納付する法人税は特別償却をする前と同額になり、設備投資した初年度分の納税を先延ばしにすることができます。
くわしくは国税庁HPをご確認ください。
中小企業優遇税制による税金の軽減⑤新品資産の特別控除
こちらも投資促進のために実施されており、取得価格の7%相当を法人税額から直接控除することで法人税を減らすことができます。
特別償却とは違い、減価償却費に計上する取得価額の枠を使わないため税額控除分だけ税金を免除される制度です。
くわしくは国税庁HPをご確認ください。
中小企業優遇税制による税金の軽減⑥少額減価償却資産の特例
パソコンなどの30万円未満の固定資産を300万円まで減価償却せずに経費に一括計上することができます。
ちなみに白色申告者の場合は10万円未満の減価償却資産しか一括で経費計上で来ません。
つまり、10万円以上の減価償却資産については固定資産として計上し、減価償却費として経費計上していきます。
本来であれば、2020年の3月で終了する予定でしたが、令和2年度税制改正によって2年間延長されました。
中小企業優遇税制による税金の軽減⑦消費税免税
前々年度の課税売上高が1,000万以下の中小企業は消費税の納税が免除されます。
これは比較的売上が少ない事業者が消費税処理を省くためこのような制度があります。
中小企業優遇税制による税金の軽減⑧簡易課税制度
前々年度の課税売上高が5,000万円以下で、簡易課税制度の適用を受けると事前に届け出書を提出することで、課税売上高から仕入控除税額の計算をすることができます。
実際の課税仕入などの税額を計算しなくてもよくなります。
仕入控除税額を課税売上高に対する税額の一定割合にすることをみなし仕入率といい、業種によって6つに区分されています。
くわしくは国税庁HPをご確認ください。
税務まとめ
この記事では企業が申告すべき税金と書類、各種優遇制度について解説しました。
かなりの金額を納税しなければなりませんが、優遇制度を適用しながら適切な経営を行ってください。
この記事のライター
U11
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