フリーアドレスオフィスとは?導入のメリットや事例を紹介
フリーアドレスは社内コミュニケーションの活性化やオフィスにある荷物をロッカーに収納するようになるなどのメリットがある一方で、目的を明確にしなければ、失敗する可能性が高いです。 オフィスにフリーアドレスを導入しようと考えている方は今のうちにチェックを。
フリーアドレスとは?
フリーアドレスとは、出勤した従業員たちに固定されたデスクを設けず、自由にデスクを選ぶことができるオフィスのことです。1980年代後半に一時ブームになりましたが、セキュリティ確保などの課題があり、廃れていきました。
しかし、IT技術の普及により、課題が解決できるようになり、再び導入する企業が増えています。
オフィスにフリーアドレスを導入するメリット
フリーアドレスには以下のメリットがあります。
- 社内コミュニケーションの活性化
- 創造性UP
- 主体的行動力向上
- スペースコスト削減
- 収納による美化意識向上
フリーアドレスのメリット①社内コミュニケーションの活性化
デスクを自由に選ぶことができるので、他部署の人間とも交流が増えます。
今まで関わりが浅かった部署の人間とも社内の情報交換ができるので、社内のコミュニケーションが活性化されます。
フリーアドレスのメリット②創造性UP
コミュニケーションの活性化に伴い、社内での意見交換が増えます。
一人や部署内で進めていたアイディアからイノベーションを生み出すことができます。
新しい価値を生み出すことで企業の価値を高めます。
フリーアドレスのメリット③主体的行動力の向上
毎日同じように出勤し、同じような仕事をしていると主体的に行動することが難しくなります。
しかし、フリーアドレスを導入することで、デスクを自由に選べるようになるので、主体的に考えて行動する力が向上します。
フリーアドレスのメリット④スペースコスト削減
企業は全従業員分のデスクを用意する必要がなくなります。
把握した大まかな在籍率を元にデスクを用意することで、オフィスの規模を狭めたり、空いたスペースを使って、隣のデスクとの距離を離すレイアウトにすることで広々働いてもらえるようにすることもできます。
フリーアドレスのメリット⑤収納による美化意識向上
固定されたデスクで仕事をしている人の多くはデスクを散らかしたままにしがいがちではないでしょうか?
収納しきれない書類だけでなく、荷物やグッズなどの私物などなど・・・。
フリーアドレスを導入することで、翌日は違う人が使うことになるので、デスクを片づけるようになります。
書類や荷物、グッズなどは専用のキャビネットやロッカーに収納したり、収納できない荷物やグッズは持ち帰ったりすることで、社内の美化意識が改善します。
オフィスにフリーアドレスを導入するデメリット・課題
80年代に導入が始まった頃はセキュリティの確保などの課題がありましたが、近年のIT化によって、ハードルが下がりました。
フリーアドレスのデメリット・課題①コミュニケーションが取りにくい場合もある
従業員が全員自由なデスクを選ぶので、同僚がどこにいるのかわかりにくいことがあります。
例えば、上司に直接会って相談したいときでも、社内を探し回ったり、チャットなどで場所を確認する必要があります。
どの人がどのデスクにいるのかわかるような仕組みを採用しなければ、コミュニケーションが取りにくいという課題があります。
フリーアドレスのデメリット・課題②集中しにくい
フリーアドレスの特性上、関わりが薄い従業員が近くのデスクを利用することが多いです。
その人の電話や仕事内容などが気になったり、抵抗を感じたりする従業員も多く、集中しにくい事が考えられます。
そういった従業員のためにも個室やブースを設けなければなりません。
フリーアドレスのデメリット・課題③セキュリティ確保
中小企業であれば、社内と社外の人員の区別は簡単です。
しかし、大企業になってしまうと、区別が難しくなるため、部外者が入り込む可能性が高くなります。
社内に出入りできる人員を制限するためにセキュリティ対策を強化しなければならない課題があります。
フリーアドレスのデメリット・課題④導入コストがかかる
これらのデメリットを踏まえると、導入するには次のコストが追加でかかってしまいます。
- インターネットの無線LAN化
- レイアウト変更コスト
- セキュリティ対策
自由な場所で働くためには、社内のどこでも仕事ができるように無線LANを利用できるようにしなければなりません。
個室やブース、荷物やグッズなどを収納するロッカーを新たに設ける場合、レイアウトを変更するための工事にかかる費用も無視できませんし、入社ゲートや許可証などのセキュリティ対策にかかるコストもバカになりません。
フリーアドレスのデメリット・課題④目的を明確にしなければならない
1980年代と比較して、導入のハードルが下がったとはいえ、導入を中止している企業も多いです。
その理由がフリーアドレスを導入する目的が明確になっていなかったため。
単純に「コミュニケーションの活性化」だけでなく、その先にある「生産性向上」や「創造性向上」などの目的をハッキリさせなければなりません。
曖昧なままでは、目的にあったフリーアドレス化を実行しにくく、効果測定も難しいです。
導入してからではレイアウトの変更が容易ではないので、導入前に確かな計画を立てなければなりません。
オフィスにフリーアドレスを導入した事例
フリーアドレスを導入したことで、成功した事例と失敗した事例を紹介させてもらいます。
フリーアドレスを導入した事例①Yahoo株式会社
2016年の本社移転をキッカケに、全社員を対象にフリーアドレスを導入しました。
特徴はデスクのレイアウトをあえてジグザグにした点。
こうすることで社員同士のコミュニケーションが2倍に増えたといいます。
フリーアドレスを導入した事例②パーソルキャリア株式会社
2017年まで「株式会社インテリジェンス」だったパーソルキャリア株式会社は、転職支援や求人情報、各種アウトソーシングを提供しています。
2018年に採用したフリーアドレス制度の特徴は、グループ単位で採用したということ。
グループ内であれば自由にデスクを決めることができ、目的に応じてカウンター席やソファー席も利用します。
これなら、誰がどこにいるのかわかりやすいですね。
フリーアドレスを導入した事例③森ビル
森ビルが従業員のコミュニケーション量を独自のセンサーによって計測したところ、社内の20%を占めるオープンスペースは活用されず、社内コミュニケーションの多くが部内・チーム内のものと判明しました。
こうした点を踏まえて、森ビルは試験的にフリーアドレスを導入したところ、部署外の交流が増えた一方で部署内の交流を減らすことに成功しました。
部署外の従業員ともコミュニケーションが取りやすくなったため、課題の解決速度が高まり、30分以上の会議を減らすことができました。
一方で、上司を飛び越えた部署間のやり取りによって、不適切な処理が増え、クレームが増加しました。
課題解決のために会議を活用していた従業員は会議が減ったことで、他の従業員とのコミュニケーションをとり、集中力の低下や疲労感を感じるようになり生産性が低下しました。
試験結果を踏まえて、森ビルはフリーアドレスの導入を中止し、元々あったオープンスペースの規模も縮小させることになりました。
オフィスのフリーアドレスまとめ
フリーアドレスは社内コミュニケーションの活性化やロッカーへの収納など多くのメリットがある一方で、導入する目的を明確にしなければ、失敗する可能性が高いです。
フリーアドレスに興味がある方は今のうちにぜひチェックを。
この記事のライター
U11
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