【新型コロナ】雇用調整助成金を活用して状況を打破しよう!
国内でも新型コロナウイルス感染症が猛威をふるい、大企業、個人事業主や中小企業への経済的ダメージが懸念されています。新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、雇用調整助成金の特例措置が実施されました。ここでは雇用調整助成金について、要件から申請まで解説します。
雇用調整助成金とは?
雇用調整助成金とは、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、雇用調整(休業・教育訓練・出向など)することにより、事業主が支払った休業補償などの費用の一部を助成する制度です。今までも台風や地震などの災害時には特例措置が設けれらました。東京、大阪などの大都市圏だけでなく、新型コロナウイルス感染症の全国的な影響をふまえ、休業する事業主も増えることから、特例措置が講じられたのです。
新型コロナウイルス感染症に係る雇用調整助成金の特例措置一覧
厚生労働省のHPに今回の特例措置の一覧が掲載されています。
- 生産指標要件の緩和(1ヶ月10%以上低下→5%以上低下)
- 雇用量要件の撤廃
- クーリング期間の撤廃
- 雇用保険被保険者でない労働者の休業も助成の対象に含める
- 被保険者期間要件の撤廃(継続して雇用された期間が6ヶ月未満の者も対象とする)
- 助成率を4/5(中小企業)、2/3(大企業)(解雇等を行わない場合は9/10(中小)、3/4(大企業))とする(従前は 2/3(中小企業)、1/2(大企業)
- 教育訓練の加算額を 2,400 円(中小企業)、1,800 円(大企業)とする(従前1,200 円)
- 過去の受給日数に関わらず支給限度日数まで受給可能
- 支給限度日数とは別に緊急対応期間(4/1~6/30)中の休業等の日数を使用できる
- 事業所設置後 1 年未満の事業主についても助成対象とする
- 計画届を 6 月 30 日まで事業提出することができる
- 短時間一斉休業の要件の緩和
- 自宅での教育訓練等を可能とする
- 残業相殺は行わない
- 半日教育訓練と半日就業を可能とする
- 休業規模要件の緩和
- 風俗関連事業者も限定なく対象とする
雇用調整助成金の対象事業者
雇用調整助成金の対象となる事業者は、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主で、全業種の事業主が対象です。特例では、事業所設置後1年以上を必要とする要件を緩和され、事業所設置後1年未満の事業主も助成対象となりました。また、対象外とされていた風俗営業等関連事業主への支給も可能となっています。
ただし、雇用保険被保険者となる労働者を雇用しているにも関わらず未適用だった場合には、適用の手続きの必要がありますので、最寄りのハローワークへお問い合わせください。
生産指標が要件として定められています。生産指標とは、販売量、売上高等の事業活動を示す指標のことで、特例では直近1ヶ月の売上高などが同5%以上減と定めらました。
雇用量についても、雇用保険被保険者数及び受け入れている派遣労働者数が、最近3か月の雇用量が対前年比で増加していても助成対象となりました。
過去に雇用調整助成金を受給していた事業主に対する受給制限を廃止になりました。制度の連続使用を禁止するため、1年間のクーリング期間を設けていましたが、特例では申請が可能となっています。
休業規模については、休業等の延べ日数が対象労働者に係る所定労働日数の1/20(中小企業)、1/15(大企業)以上としていましたが、これを1/40(中小企業)、1/30(大企業) 以上に緩和されました。
今回の特例では対象となる従業員が拡大されました。加入期間が6ヶ月未満や被保険者でない人であっても適用となりました。春からの新規学卒採用者などは、雇用保険被保険者として継続して雇用された期間が6か月未満になりますが、特例では助成対象としています。パート、アルバイト(学生も含む)等の労働者で、週20時間未満の労働者も対象となりました。
雇用調整助成金の支給額
支給額は、大幅に引き上げられました。助成率を見ると、中小企業が4/5に、大企業が2/3になりました。さらに、事業主が解雇を行わない場合には、中小企業で9/10、大企業で3/4となります。
また、雇用保険被保険者のみが対象ではありますが、教育訓練を実施した場合は、中小企業に2,400円、大企業に1,800円に助成金の加算が増額になりました。教育訓練では、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、自宅でインターネット等を用いた教育訓練も該当になります。
雇用調整助成金は、実施した休業等の日数に応じて助成金が支給されるわけではありません。支給限度日数が設けられていて、雇用調整助成金の支給限度日数は、通常時は1年間で100日、3年間で150日となっています。
特例措置では、支給限度日数に上乗せできます。1年間であれば、100日+4/1~6/30の緊急対応期間に実施した日数、3年間であれば、150日+4/1~6/30の緊急対応期間に実施した日数という計算になります。緊急対応期間は、休業等を実施した日数がそのまま支給の対象となるわけです。
雇用調整助成金の申請手順
特例措置の緊急対応期間は、2020年4月1日から6月30日までとなっています。特例措置に関する申請書類等については、大幅に簡素化され、事業主の申請手続きの負担軽減と支給事務の迅速化が図られました。また、特例措置の緊急対応期間については、この6月末の期限が近付いてきた段階で、感染状況等を見極め、必要な対応を検討するとされています。
新型コロナウイルス感染症特例措置の適用日は、2020年1月24日まで遡ることができます。通常であれば、休業計画の届出を行ってから、休業を実施するという流れでしたが、2020年6月30日までは、休業計画の届出は事後提出が可能となりました。
厚生労働省のHPに、雇用調整助成金の支給までの流れを一覧が掲載されています。
雇用調整助成金の申請手順①労使間協定
経済上の理由で事業の縮小が生じた場合、休業等の計画を立てます。この休業等の計画が事業主からの一方的なものではなく、労使間の協定に基づくものであることが必要です。ですから、まずは休業等の計画にあたり、労使間の協定から着手します。
雇用調整助成金の申請手順②計画届出
休業等の計画を作成したら、一旦、計画の届出を行います。申請、問い合わせは、事業所の所在地を管轄する都道府県労働局かハローワークです。東京に本社があり、大阪に支社がある場合には、大阪の支社で雇用保険の適用事業所番号がれば、東京の本社でなく、支社で申請が可能です。
厚生労働省のHPに、雇用調整助成金のお問い合わせ先一覧が掲載されています。
雇用調整助成金の申請手順③休業等実施
届出が受理されたら、休業等を実施します。今回の特例措置では、6月30日までの間、計画の事後提出が認めらています。新型コロナウイルス感染症の感染拡大の防止には、緊急性が高いことから、労使協定、休業等実施の後、届出することが可能です。
雇用調整助成金の申請手順④支給申請
休業等の計画の期間終了後、2ヶ月以内に支給申請を行います。特例措置では、計画届出の事後提出が認められているため、事後提出の翌日から2ヶ月以内に支給申請します。通常は支給申請後2ヶ月を目処に支給されますが、緊急対応期間は、原則1ヶ月とされています。
雇用調整助成金まとめ
雇用調整助成金はニュースになっていますので、問い合わせも増えています。地震、台風などの自然災害で特例措置が実施されることはありましたが、一部の地域での限定的なものでした。今回の新型コロナウイルス感染症は全国的に影響を及ぼすことが考えられることから、東京、大阪などの大都市圏だけでなく、全国一律に拡充されたものです。雇用調整助成金を活用して、状況を打破しましょう。
この記事のライター
sugahara michiaki
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