360度評価のメリット・デメリットとは?導入手順とポイントもあわせて解説
360度評価といえば「破天荒フェニックス オンデーズ再生物語」の著者である田中修治さんが取り入れたとして有名です。この記事では「360度評価のメリット・デメリットとは?導入手順とポイントもあわせて解説」を紹介しています。
目次
360度評価とは?
あらゆる角度から評価する仕組みが360度評価です。
一般的な事例として、会社のボーナス査定は上司が行いますよね。
上司のコメントをもとに、人事担当者がさらにコメントする形がオーソドックスです。
360度評価では、いろんな立場の人が従業員の評価を実施します。
たとえば先輩や同僚、部下、ときには関わり合いの少ない社員でさえも。
上司と部下という関係だけでなく、多くの関係者の視点で評価することで、公平で客観的な評価が実現しました。
360度評価の目的
360度評価の目的は、適切な評価を行うためです。
上司だけの評価では、偏った評価で失敗するからです。
たとえば、部下を雑に扱う上司を想像してみてください。
そういった上司は部下に対しては冷たい態度ですが、上司には愛想よかったりしませんか。
評価をするのは上司なので、仮に部下を雑に扱っていたとしても評価には影響しません。
また、与えられた評価に納得しやすいという特徴があります。
納得しやすいとはどういうことなのか?
たとえば選挙の事例。失敗したからと有権者に抗議する人はいません。
「失敗か…」と諦める人が大半です。
大勢の意見には納得するもの。
選挙と同じように、多くの人から集計した評価には説得力があります。
360度評価が普及しているわけ
人事評価の見直しをする企業の事例が増えています。
従来の評価では、立ち行かなくなっているという事例があるからです。
世の中が、年功序列から成果主義へと変化しました。
なので役職や勤続年数での評価は、時代にマッチしていません。
人手不足や人件費削減でプレイングマネージャーが増えている事例からも、360度評価が普及している事例を知ることができます。
プレイングマネージャーとはスポーツで例えると監督兼選手のことで、自ら率先して会社の売上に貢献するプレーヤーとして働きながら、人材育成を行う管理職のことです。
現場を理解しているので部下の気持ちに寄り添えるというメリットがありますが、仕事量が多くなりがちなので、部下を適切に評価する時間が持てないというデメリットもあります。
こういった事例を加味した上で、さらに人材の流動が多い時代というのも相まって、従来の評価制度では、適切に評価するのが困難と言えるのではないでしょうか。
360度評価のメリット
数多くの事例から共通したメリットが存在しますが、中でも特徴的なのがこの3つ。
①客観的なコメントで失敗しない
②コメントに対しての満足度が上がり失敗しない
③改善点が見えてくる
360度評価のメリット①客観的なコメントで失敗しない
従来の評価制度だと、上司の主観的な評価や部下と過ごした時間で、評価が左右されます。
評価担当者に気に入られると高評価を貰えるため、公平性に難ありな制度でした。
コメントに不満を抱いたことがある、という人も少なからずいるのではないでしょうか。
ひと昔前であれば、定年まで同じ会社に勤め上げるという価値観を持った人が大勢いましたが、今は転職して当たり前という風潮です。
人事評価の不満が転職のきっかけになることも…。
給料と時間を費やして育てた人材がいなくなるのは、企業にとっては痛手です。
上司の主観や感情に影響されず評価できると客観性を保つことができ、それが従業員の満足となり雇用維持につながる、という点が360度評価のメリットです。
360度評価のメリット②コメントに対しての満足度が上がり失敗しない
評価が客観的で公平であれば、従業員の満足度が上がり失敗しません。
常にサボっている人が高い評価を受ける職場では、誰だって一生懸命働こうという気にはなれませんよね。
反対に頑張った分だけ評価される職場であればどうでしょう。
また評価に納得できると不平不満が起きにくく、結果的に職場の満足度が向上します。
人は自分に対してネガティブな意見は、受け入れにくいものです。
たとえば「接客が悪い」「仕事が遅い」と言われてもなかなか受け入れにくいです。
誰かに指摘されると「そんなことない!」とか「自分よりもひどい人がいる!」と反発心が芽生えることがあります。
ですが、多くの人から同じことを指摘されると「気づかなかったけど、実はそうなのかな…?」と受け入れることができます。
一人のコメントに不満を抱くことはあっても、大勢のコメントに不満は抱かない。
正当に評価される&不平不満が起きにくい職場となりやすいので、従業員のモチベーションが上がります。
360度評価のメリット③改善点が見えてくる
改善点が見えないと成長できないし、間違った改善をしても効果は得られません。
「コミュニケーションできてないから本を読めって…本当?」と上司のアドバイスに自信が持てないのも仕方がありません。
従来の評価は上司の意見しか反映されていなかったからです。
もしかしたらそれは上司の主観的な意見で、一個人の偏ったアドバイスの可能性があります。
時代は変化しているので、その上司のアドバイスが時代遅れ、なんてこともあるかもしれません。
ですが360度評価のような、みんなが口を揃えて言うことには説得力があります。
僕が「重力によって、時間の進みは早くなったり遅くなったりするんだ!」と一人で叫んでも説得力はありません。
ですが1万人ならどうでしょう?
1万人が同じこと言っていたら「…信じられないけど…そうなの?」と受け入れるはずです。
客観的な評価は、人材育成のフィードバックに活用できます。
受け入れがたい評価は行動を改めるきっかけとはなりませんが、360度評価は行動を改めるきっかけとなりえます。
360度評価のデメリット
多くのメリットのある360度評価。ですがデメリットも…。
360度評価のデメリットをいくつか紹介します。
360度評価のデメリット①人間関係が評価に影響する
業績に関係ない人間関係や感情が評価に影響する可能性があります。
たとえばホリエモンこと堀江貴文さん。
新型コロナのパンデミックで、狭い場所に人が密集するのはNGなことになりました。
そんなとき堀江貴文さんが言った一言です。
「なんで記者会見やってんの?ZOOMとかあるのに。」
「そう言われれば確かに…」と思った人も多いはずです。
的確な指示が必ずしも評価されるとは限りません。
好きとか嫌いの感情で評価する可能性があるところがデメリットです。
360度評価のデメリット②部下に甘くなる
ある2人の上司がいたとします。
「仕事を教えるために厳しい上司」と「高い評価のほしい優しい上司」。
どちらが部下の成長にいいと思いますか?
当然、前者ですよね。
褒められたほうが伸びるのは事実ですが、「いいよいいよ。その仕事はやっとくから。」と部下を甘やかしていては成長しません。
部下を育てるためには言いたくないことも言う必要があります。
評価がほしいために、部下のためにならない行動だと知りながら甘くするというデメリットがあります。
360度評価のデメリット③不正に評価する可能性がある
不正な評価をする可能性があります。
同僚や同期と手を組んで「おまえの評価を良くするから、俺のも頼むな」と馴れ合いで評価するかもしれません。
もしくは、出世したい人同士の足の引っ張り合いで不当な評価をするかもしれません。
さまざまな感情や思惑が入り混じる可能性があります。
360度評価の運用のポイント
運用に当たっていくつかポイントがあります。
最低限意識してほしい項目は3つ。
それぞれのポイントについて適切に対応することで、公平性&客観性を保てます。
360度評価の運用のポイント①評価基準の明確化
マニュアルを作成して評価基準やルールをバチッと決めておきましょう。
もし手順や仕組みが曖昧だと、360度評価導入時に混乱するかもしれません。
手順があると落ち着いて対応できます。
マニュアルで決められていない箇所は、評価者の裁量で判断するため、評価者の主観が入り適切な評価になりません。
360度評価を運用するときは、評価基準を明確にしましょう。
360度評価の運用のポイント②360度評価への理解
360度評価の運用のポイントのふたつめは、360度評価への理解には時間がかかるという点です。
研修を開いて、360度評価についての認識を深めさせましょう。
また今まで人事評価をしたことがない従業員が大半なので、客観的に評価するとはどういうことかを教育する必要があります。
理解に時間をかける、評価のやり方を教えるということが必要です。
360度評価の運用のポイント③フィードバック
評価対象者に評価内容をフィードバックしてPDCAするとより効果的です。
Plan(計画)Do(実行)Check(評価)Action(改善)のことで、正しく運用すれば業務の改善を促すことのできる仕組みです。
なのであらかじめ、フィードバックとフォローについても考えておくのがおすすめです。
評価して終わりではなく、フィードバックとフォローまでを360度評価としましょう。
360度評価の導入手順
360度評価の導入手順を解説します。
デメリットを少なく活用するためには、ルール作りが重要になってきます。
上手く設計して正しく運用しましょう。
360度評価の導入手順①説明会を開く
理解を深めるため、説明会を開きましょう。
人には変化を嫌う習性があるからです。
わからないまま新しい仕組みを導入すると、不安が大きく混乱も大きくなります。
丁寧に説明すると従業員の支持を得ることができ、導入をスムーズに行うことができます。
個人面談、グループミーティングどちらでもOKですが、以下の点をしっかりおさえて説明します。
・今の評価基準の説明
・今の評価基準の問題点
・今後の課題
・360度評価導入の目的
・今後の具体的な予定
丁寧に伝え理解を促しましょう。
不安を和らげるためにも、質疑応答を忘れずに。
360度評価がすばらしい仕組みだと認知されれば、導入に意欲的になる従業員も増えるはずです。
360度評価の導入手順②個別対応
質問を随時受け付ける個別対応をしましょう。
説明会だけでは不十分な人、説明会だけでは不安が解消されない人、大勢の前での発言に躊躇した人がいるからです。
個人相談を実施し、丁寧なフォローを行います。
中には人を評価するのに抵抗を感じて、それがストレスになる人もいるほどです。
社員の協力を得るのが、成功のポイントだと覚えておくといいかもしれません。
360度評価の導入手順③評価項目の作成
・挨拶
・勤務態度
・チームワーク
・業務遂行
・社内での様子
上記のような項目のある評価項目を作成します。
項目は客観的にわかるよう数値化したものが好ましいです。
システムで一括管理すると効率がいいです。
中でも評価項目を選べるクラウドサービスがおすすめです。
評価項目を選べるクラウドサービスを利用すると、労務管理の手間が減る、評価時の負担が減るというメリットがあります。
評価項目を選べるクラウドサービスを選ぶときは、入力が簡単なものを選びましょう。
360度評価に使えるツール
「どの人事評価システムがいいかわからない」「おすすめの360度評価システムを知りたい」という方のために、360度評価に使えるクラウドサービスのシステムツールを紹介します。
360度評価に使えるツール①カオナビ
使いやすいシステムをお探しの方にピッタリなクラウドサービスシステムです。
入力が簡単なツールです。
360度評価に使えるツール②HRMOS評価
細かい評価ができるシステムをお探しの方はこちら。
チームの成長に役立つツールです。
360度評価に使えるツール③あしたのクラウドHR
豊富なシステム性能、カスタマイズをお探しの方は、このクラウドサービスシステムはいかがですか。
まさに「納得」のツール。
360度評価のメリット・デメリットまとめ
360度評価について紹介しましたが、いかがでしたか。
導入時は、メリット・デメリットを十分考慮して360度評価を運用してください。
この記事のライター
松田佳祐
この記事へコメントしてみる
コメントは運営が確認後、承認されると掲載されます。