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今更聞けない残業時間の上限は?規制を守らないと罰則はある?!

今回は残業時間の上限についてです。実は、36協定の特別条項であっても従業員に100時間を超える残業をさせると違法になるんです。この記事では残業時間の上限や罰則について解説しているので、ぜひ読んでみてください。経営者は要チェックです!

今更聞けない残業時間の上限は?規制を守らないと罰則はある?!

目次

  1. 残業時間の上限規制って?
  2. 残業時間には2種類ある
  3. 具体的な残業時間の上限
  4. いつから残業時間の規制が始まるの?
  5. 残業時間の規制がない職種
  6. 残業時間の上限規制を守らなかった場合罰則はあるの?
  7. 残業時間の上限規制に向けて企業が見直すべきポイント
  8. 残業時間の上限まとめ

残業時間の上限規制って?

安倍首相が推進してきた働き方改革では、労働者の働き方を見直す動きを軸に残業についての法整備がなされました。

残業時間を法律で制限し、そこで定められた時間を超えたら罰則が設けられています。

今まで残業時間にルーズだった会社では、社員の労働時間の見直しが急ピッチで進められているのではないでしょうか。

2018年7月に働き方改革関連法が成立し、残業時間の上限規制が変わり罰則が強化され、2019年4月に施行されました。

残業時間の上限規制とは、法律によって労働者の残業時間の上限を管理して、時間外労働を制限する取り組みのことです。

残業時間には2種類ある

残業時間は2種類あります。

所定時間外労働と法定時間外労働です。

所定時間外労働

所定時間外労働とは、会社ごとに決められている規則による残業のことです。

就業規則などで定められた所定時間を超えた場合、残業として処理されます。

たとえば就業規則で18時以降が残業扱いと決まっていたら、18時以降は所定時間外労働として残業手当が付きます。

法定時間外労働

法定時間外労働とは、法律で決められた労働時間を過ぎた場合の残業のことを意味します。

労働基準法では週40時間、1日に8時間となっているので、もし超えてしまった場合は法定時間外労働としてみなされます。

もちろん会社の就業規則より労働基準法のほうが強い効力があります。

具体的な残業時間の上限

法定時間外労働は違法です。

法定時間外労働とは法律で定められた労働時間のことで、会社ごとに規則で定められている所定時間外労働より遵守すべきものです。

ただし、36協定の残業時間であれば違法とはなりません。

36協定とは、企業と労働者が結ぶ時間外労働についての取り決めのことです。

対象期間によって、残業時間の上限が決まっています。

以下の表が、対象期間と36協定の上限となる残業時間を表したものです。

対象期間

36協定の残業時間

1週間

15時間

2週間

27時間

4週間

43時間

1か月

45時間

2か月

81時間

3か月

120時間

1年間

360時間

36協定で、いくらでも残業可能になるわけではありません。

商品の受注が大量に入ったなど、緊急で残業が求められる場面があります。

そうなると経営者は困ってしまいます。

そこで残業時間を一時的に延長できる、36協定の特別条項が役に立ちます。

36協定の特別条項は、1年のうち6か月限定で残業時間の上限がなくなるというもの。

残業の上限が無制限と聞くと、ちょっとゾッとしませんか。

政府公認のもと一定期間、奴隷のように働かせることができるんですから。

そこで働き方改革関連法が成立したんです。

1年のうち6か月限定とはいえ、残業時間が無制限になるのは問題視されていたので、働き方改革関連法で規制が強くなりました。

36協定の特別条項に上限制限が設定されるなど、いろいろと見直した働き方改革関連法。

改正後の36協定の特別条項では、1か月の残業時間の上限が100時間となりました。

特別条項でも100時間超えたら違法となるので、経営者の方は要注意です。

いつから残業時間の規制が始まるの?

働き方改革による残業規制は2019年4月からです。

ただし大企業に限りです。

中小企業の適用は2020年4月からです。

職種によって中小企業の定義は違います。

資本金または従業員数のどちらかを満たすと中小企業に該当します。

 ≫ 厚生労働省サイト 

残業時間の規制がない職種

特定の業種は、2024年まで規制されません。

医師や自動車運転業務、建設事業は、例外的に残業時間の規制がない職種です。

2024年以降に、それぞれの業種に合った規制が導入される予定です。

残業時間の上限規制を守らなかった場合罰則はあるの?

残業時間の上限規制を守らなかったら、どんな罰則が適用されるの?と疑問に思いますよね。

罰則の内容は、半年以下の懲役、もしくは30万円以下の罰金です。

1か月45時間、1年360時間の上限規制を守らないと罰則が適用されます。

残業時間だけでなく罰則を強化したのが今回の目玉です。

「もしかしたらうちの会社では残業時間を超えてるかも」という方は、従業員の残業時間を見直してみてはいかがでしょうか。

残業時間の上限規制に向けて企業が見直すべきポイント

残業時間の上限規制に対して、企業が見直すべきポイントをいくつか紹介します。

残業時間の上限規制に向けて企業が見直すべきポイント①仕事の割り振り

仕事の割り振りを見直しましょう。

たとえば、残業時間が多い人は仕事を減らします。

他の人へ仕事を割り振るとか外部委託するなどの対策をする、などしてみてもいいかもしれません。

仕事量が適正になっているかを確認し、仕事の量が偏らないようにしましょう。

残業時間が多くなっている原因を探り、仕事そのものを見直すと作業効率が上がり生産性向上となります。

残業時間の上限規制に向けて企業が見直すべきポイント②業務の質

業務の質を上げて、仕事の効率化を考えてみてはどうでしょうか。

無駄な作業、不必要な作業、多すぎる会議などなど。

会議の時間を制限するのもいいかもです。

時間があるからと、いいアイディアが生まれるわけではありません。

制約がイノベーションを生むこともあります。

ソフトバンクのテレビCMでおなじみ「犬のお父さん」は、納品までの時間があまりにもなかったから、タレントではなく犬を使うしかなかったという話です。

何かが制限されたとき、それを改善しようとして、新しい何かが生まれます。

また小さな改善を積み上げると、業務内容を見直せるだけでなく従業員の意識も「もっとテキパキ仕事を処理しよう」というふうに変わります。

残業時間の上限規制に向けて企業が見直すべきポイント③残業時間の把握

そもそも社員の残業時間を把握していますか?という話です。

残業時間が多いのであれば対策が必要ですし、残業していないのであれば対策は不要です。

対策する前に現状を把握することが第一です。

36協定には締結してから1年と有効期限があるのをご存知でしょうか。

「え?そうなの?」と思った方は、締結できているか再度見直して速やかに対応してみてください。

残業時間の上限規制に向けて企業が見直すべきポイント④仕組みを導入

ノー残業デーなど仕組みを導入してみてはいかがですか。

残業時間を減らそうとする会社の姿勢で、社員のモチベーションが高まるかもしれません。

「やったー。久々に早く帰れる。」とテンションが上がれば、日頃から早く帰りたいと思っていた従業員ほど、仕事の処理スピードが格段に上がります。

ただし、仕事のやり方や業務時間を制限すると、自由な発想が生まれにくくイノベーションが起きにくい環境になるので導入時は慎重に。

外部委託や作業を仕組化するという方法もあります。

マクドナルドのポテトのように、誰がやっても同じ時間で作れ、同じ味になるマニュアルを準備すれば、人材育成にも役立てることができます。

残業時間の上限まとめ

「残業時間?なんで今さら?」という意見がありますが、従来の生産方式では経済成長できないという背景があります。

海外の人件費の方が安くモノが普及しきった今、従来のモノつくりの人材ではなくIT産業でクリエイティブな人材が求められるようになってきました。

経済産業省によると、10年後には約80万人ものプログラマーが不足するらしいです。

過酷な労働環境ではクリエイティブなプログラマーは育ちません。

クリエイティブな人材を育成したいという方は、労働環境を見直してみてはいかがでしょうか。

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松田佳祐

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