出典の書き方と抑えるべきポイント!シーン別の出典書き方も解説
書籍でも、Webでも、パワポでも、引用、出典のない文章はほとんどありません。読んでいるときは、気になりませんが、さて出典の書き方となると、即答するのはなかなかできないものです。 ここでは、パワポ、ワードの資料から、論文まで出典の書き方を解説します。
そもそも出典とは?
まずは、フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』から、引用してみました。
参考文献(さんこうぶんけん、英: reference, works cited, bibliography など)は、記事や書籍・学術論文執筆など、著述を行う際に参考にした図書や文献、新聞記事、または、その書誌事項を記したもの。また出典(しゅってん、英: source, citation など)は、故事、引用語などの出所(でどころ)、ないしそれと考えられる本などのこと。
つまり、出典は、引用された文章、資料の出所を意味します。レポート、論文、新聞もそうですし、グラフや画像もそうです。
「出典」と「引用」の違いは?
なんとなく、引用と混同してしまいがちなキーワードですが、引用は他の書籍や記事に書かれている、文章、画像、データ等を、自分の文章に引くことを意味します。
引用することで、自分の文章の裏付けとしたり、詳しい説明を省略することができます。
上の例だと、
が、引用、
が、出典です。
引用というと、論文やレポートのイメージが強いですが、パワポやワードで作る資料も対象です。グラフや画像にも出典が必要になります。
出典が必要となるシチュエーション
引用することで、自分の文章のよりどころとしたり、論理の客観性を担保することができますし、説明を省略することもできます。
しかし、引用にはルールがあります。そのルールを守らないと、盗用になるおそれがあるのです。つまり、著作権侵害です。
引用した文章が、引用したものだと明示しないと、それは自分の文章となります。しかし、あくまで引用した文章ですので、それだと盗用になってしまいます。
これは、レポートや論文だけでなく、パワポやワードで作った資料だったり、Web上の記事やSNSもそうです。
著作権とは、知的財産権ですので、他人に無断で利用されない権利です。
利用するには著作者の了解を得る必要がありますが、引用については、著作物を例外的に無断利用することが認められています。
引用のルール
・すでに公表されている著作物であること
・引用部分が明確になっていること
・引用部分が必要最小限であること
・出典が明示されていること
つまり、引用するには、必ず出典が必要となります。
論文やレポートに出典を書く意味は?
引用をしないで、自分の言葉だけで、論文やレポートを書けないわけではありませんが、論文やレポートにおいては、特に客観性が求められます。
独りよがりの主張ではなく、学説や、データに基づいた議論を進めなくてはなりません。引用することで、論理の根拠を示す必要があります。他人の考えを引用して、自分の考えの補完するのです。
引用はとても便利なツールではありますが、自分の考えと、他人の考えを明確に分けなくてはなりません。
これはパワポやワードで作る資料でも同様です。
出典を正しい書き方で記載するポイント
出典の正しい書き方については、細部まで見ると、たくさんの方法があります。
論文での書き方や、Webでの書き方は違います。国によって違いもありますし、英語のルール、論文であれば学会のルールがあったりします。ですが、出典の正しい書き方で記載するポイントは2つあります。
- ・著作者
- ・文献等へのアクセス
です。
著作者
著作者は、著作権の保護のため、必ず明記します。
翻訳については、訳者も必要です。
ただし、著作者がわからない、または明記されていない場合もあります。その場合は、省略しても差し支えありません。
文献等へのアクセス
これは、読者が引用元の情報へのアクセスを確保するためです。ただ出所を示せばいいというものではなく、読者が同じ情報を入手できることが必要です。
著作名、出版社、記事であれば、雑誌名、Web上の記事であれば、URLを明記します。
パワポやワードで作る資料や、SNSなどでは、ついつい忘れがちですが、この2点は抑えましょう。
出典の書き方
出典の書き方は、たくさんあると説明しましたが、ここでは、一般的なパターンとして、例をあげて、いくつか紹介します。
論文やレポートでの出典の書き方
論文やレポートでは、特に注意が必要です。盗用が疑われないように、出典についても書き方が少し細かくなります。
メディアによって内容がかわりますので、メディアごとに説明します。
書籍
著者名(編者名、訳者名)、書名(版、シリーズ、巻数)、出版社名、出版年、ページ、ISBNを表示します。書名は『 』で囲います。
英語などの洋書からの引用であれば、英語の表記のまま載せます。下の英語論文での出典の書き方も参考にしてください。
ISBN は「国際標準図書番号」といって、1冊の本に1つ与えられた番号です。
例)
唐松毅、R .ドーンブッシュ、S .フィッシャー『マクロ経済学 改訂第4版 日本版(上)』、マグロウヒル出版、1989、p.334、(ISBN 4-89501-315-4)
皆川弥『フィンランドの金融危機と国家マネジメント ー21世紀に向かって脱皮した銀鉱群ー』リーベル出版、2003、p.95(ISBN 4−89798−637−0)
久保正敏(1996)『マルチメディア時代の起点:イメージから見るメディア』日本放送出版協会.
BankEcon,European Market-Key Characteristics 2001.
Webページ
ウェブページで特徴的なのが、最終アクセス年月日です。ウェブページではコンテンツの更新が行われ、内容が変わることがありますので、明記する必要があります。
著者名(運営主体)、「ウェブページのタイトル」、<URL>、(最終アクセス年月日)
例)
科学技術振興機構「科学技術情報流通技術基準―参照文献の書き方―」
<http://www.jst.go.jp/SIST/handbook/sist02/sist02.htm>(最終アクセス 2004 年 4 月 12 日)
雑誌
著者名「論文・記事のタイトル」『雑誌名』、巻数、号数、発行年月、該当ページを表示します。
例)
高橋正治「源氏物語 D 系統本の系統」『秋田県立大学紀要』通号 43,1999.12,p.9-20.
新聞
「記事のタイトル」『新聞紙名』発行年月日、朝夕刊の別、版数、面数を表示します。記事の著者があれば、著者名も明記します。
例)
「インド、企業活動停止」『日本経済新聞』2004 年 3 月 26日, 朝刊,13 版,13面.
岩本文枝「バンクシー描く社会問題」『日本経済新聞』2018年3月28日、朝刊、13版、36面
画像
画像については、イラストや写真については、引用が難しくなります。出典を明記したとしても、引用のルールに当てはまらない場合は、著作権の侵害のおそれがあります。引用が許可されていないものについては、著作者の同意が必要になりますので、画像の引用は注意してください。
画像の出典は、予め貼り付けられている場合もありますが、それでもクレジットは入れておくべきです。写真であれば、撮影者、イラストであれば作者を明記します。スクリーンショットなどは、下のWebでの出典の書き方を参照して下さい。
例)
photo:CorVos
新聞での出典の書き方
基本的には取材してから記事を書くので、新聞での出典はあまり例がありませんが、外国通信社からの記事は、次のような書き方があります。
- 記事の初めに、大がっこをつけて、発信地・クレジットを入れます。解説、企画、特集では、記事末尾に丸かっこで入れます。
例)
【パリ共同】
【ロンドン共同】
(ローマ共同=津村一史)
英語論文での出典の書き方
英語論文でも、出典の書く内容は同じです。書名、雑誌名をイタリックにします。英語の表記に注意してください。
例)
Wilga Rivers, “Teaching Foreign Language Skills”, (University of Chicago Press, 1981), p.82
T. A. Knightley, “Emma Woodhouse and Her Rival Characters”, English Literary Review, No.133 (1914),p.1-15.
グラフでの出典の書き方
グラフでの出典は、データの出所です。自身で調べたものであれば、日時と場所の情報を、データを引用したのであれば、引用元の情報を表示します。
グラフを画像として引用するだけでなく、データからグラフを作成する場合も、出典が必要になります。ただし、自分でグラフを作成するからといって、極端な印象を与えるような操作はやめましょう。あくまで、数字から読み取れることをグラフで示すことが目的です。
例)
2010年10月調べ
総務省統計局「国勢調査」
国立がん研究センター「都道府県及び生活習慣病検診等管理指導協議会(各がん部会)の活動状況調査」
Webでの出典の書き方
WebからWebに引用する場合は、出所を明確にするため、URLの表示が必要です。URLをそのまま載せてもいいですし、サイト名にリンクを貼ってもいいです。ほとんどのウェブサイトでは、後者になっています。パワポやワードで作る資料も、この形式が多いです。
例)
出典の書き方まとめ
- 出典は引用元を明示すること
- 引用のルールを守らないと、盗用になる
- 出典のポイントは、著作者と文献等へのアクセス
- 英語の著作名はイタリック体で表示
- 引用すれば、パワポやワードで作る資料も対象
- 画像、グラフも出典を明示する
引用のルールを守らないと、著作権侵害になりかねません。
出典の正しい書き方で、スマートな引用にしましょう。
この記事のライター
sugahara michiaki
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