念書とは？覚書、誓約書との違いと書き方まとめ

念書は約束した内容を書面に表したものです。法的な拘束力や強制力は持っていませんが、後日約束の内容について、確認が必要な場合には証拠となります。半面双方の同意のもとで作成されるものではないため、一方的であるという一面も持ち合わせています。

念書の内容に合理性がなければ、裁判になった場合に証拠にするのは難しくなります。また内容によっては、逆にトラブルになってしまうケースもあり、作成する時には注意が必要な書類です。安易な作成はやめましょう。

契約を交わす前の話し合いで決まった内容などを、契約の前に念書として作成し、約束した内容を証拠として残す場合などに使われます。また社内でも退職の際や就業違反などで始末書の変わりとして使われます。

事故を起こしたときに支払いに対しての約束、金銭を借りた時の返済に関しての約束、離婚した場合での養育費についての取り決めなど、広く使われています。

念書と同じように使われているものは他にもあります。「覚書」と「誓約書」です。どちらも念書と同じように、約束を守るために作成する書類ですが、それぞれに違いがあります。３つの書類の違いを理解して、最適な対応ができるようにしておきましょう。

念書は一方が相手側に差し入れるものですので、署名や押印も差し入れる側だけで、相手側の署名捺印はありません。タイトルが念書となっていなくても、「借用書」など一方だけが約束の証拠として作成したものは念書とみなされます。念書はなにかトラブルが起きたときに、証拠として作成されるケースが殆どです。

念書とは違い覚書は双方の合意で作成されます。ですから署名・押印も双方で行います。契約前の約束事や契約後に、別途補足や変更の必要があった時などに交わされます。覚書の内容に契約としてみなされる約束があった場合には、覚書ではなく契約書として扱われますので、印紙の貼付が必要になります。

誓約書と念書は同じように一方が差し入れるものです。念書と同じように法的な拘束力もありません。誓約書が使われるのは会社に雇用や退職の際に、「～をしない」「～を守る」などの約束をして、会社に不利益を与えない書面としてよく使われています。

会社を辞める時に念書を提出してもらい、退職後に会社にとって不利益なトラブルを防ぎます。特に在職中に知った、社外秘の情報や顧客の個人情報の漏洩には神経を使う部分です。退職後にも秘密保持の約束を取り付けるために、念書を提出してもらいます。

交通事故を起こしてしまった時、示談金の支払いや賠償について、相手側から念書の提出を迫られる場合があります。基本的に事故を起こしてしまったら、警察や保険会社に連絡をして、交渉は保険会社に任せるのが一般的です。安易に念書を渡してしまうのはトラブルの元です。 

しかし相手側から事故の支払いに関して、強く念書の提出を求められた場合は、警察の検証が終了してから必要最小限の事項のみ記載します。  具体的な金額の支払い約束などは記入しないでください。この場合は契約書と同様に当事者を「甲」「乙」で記載します。

念書は２部作成しそれぞれが保管します。 もし1部しか作成できない場合は、コピーや写真をとって、後から改ざんされないようにします。

念書は法的な拘束力がありません。離婚の際に養育費の取り決めをする場合には、念書を公正証書にしておきましょう。もし離婚後に養育費の支払いが滞った時には、支払いを遅らせないように再度念書をもらうことも有効な手立てです。

金銭の貸し借りについても、金銭借用証書を作成するのが基本です。しかし貸した金銭の返済が滞った時に、今後の返済について念書をもらう場合があります。

建築工事などで工期が遅れてしまい、発注者から念書の提出を求められることもあります。この場合には遅れたことに対するお詫び状の役割をはたします。取引先への念書となりますので、文面に注意して作成してください。

念書は相手に約束をしてもらうための書類です。決して強制して書かせるものではありません。もし強要して書かせたものであれば、その念書は無効なものとして扱われますし、場合によっては強要罪として相手側から訴えを起こされる可能性もあります。

ここまで念書についてご案内させていただきました。念書は様々なケースがあります。インターネット上にはいろいろなケースに対応した、念書のテンプレートが用意されていますので、作成の際の参考にしてください。