答弁書とは?書き方とポイントを徹底解説
答弁書の書き方を知っている人は少ないハズ。原告の主張が正しくても、請求通り進めるのはNGだと知っていましたか?分割払いにしたいとか和解したいなどの交渉が、一切できなくなるからです。この記事では答弁書の書き方やポイントについてご紹介しているので、まずはご一読を!
答弁書とは?
答弁書とは、訴えられたときに裁判所に提出する書面のことです。
原告の主張に対して被告の意見を表明します。
裁判所から送られてくる答弁書、もしくは自作した答弁書に記入すればOKで書式は自由。
ただし自作するときはA4用紙にしましょう。
裁判所で扱う文書はA4サイズに統一されているためです。
また答弁書作成時は以下のことが推奨されています。
・文字サイズ12ポイント
・1行あたり37文字
・1ページ26行
・片面印刷
答弁書の記載事項と書き方
たとえば不貞が原因で離婚請求されたけど和解したいとか、借金の返済請求されたけど分割払いにしたいという方のために、答弁書の記載事項と書き方をご紹介します。
裁判所の書式で十分という方は、以下のURLよりダウンロードできるのでどうぞ。
答弁書の項目①事件番号と事件名を記入
事件番号と事件名を記入します。
事件番号と事件名がわからないときは、裁判所から届いた「第1回口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告状」という書類を見ればわかります。
損害賠償等請求事件や施設利用料支払等請求などが事件名です。
記入例)
令和元年(ワ)第123号
損害賠償等請求事件
答弁書の項目②原告と被告の名前を記入
原告と被告の名前を記入します。
借金相手の名前はスラスラ書けるかもですが、離婚相手の名前だと気が重いですよね…。
答弁書の項目①と②は、証拠説明書や準備書面など今後裁判で作成していく書面に書く記載事項なので覚えておきましょう。
記入例)
原告 松田太郎
被告 竹田次郎
答弁書の項目③日付を記入
和暦でも西暦でもかまいません。
どちらかというと和暦で記入する人が多いです。
和暦は令和元年5月14日で、西暦は2020年5月14日という書き方。
記入した日、裁判所に提出した日どちらでもOKです。
記入例)
令和元年5月14日
答弁書の項目④あて先を記入
あて先を記入しましょう。
あて先は「口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告状」に押してある裁判所の判子を見ればわかります。
担当部と担当の書記官が記載されているので。
裁判中に裁判所に提出するすべての文書のあて先は裁判所です。
一方、原告に送るのは副本と言われ、裁判所に宛てた文書の写しとなります。
記入例)
◯◯地方裁判所民事第○○部 御中
裁判所書記官 梅田三郎
答弁書の項目⑤住所、電話番号、送達場所を記入
住所、電話番号、送達場所を記入します。
送達場所とは、裁判に関して送られてくる郵便物の受け取り場所のことです。
送達場所が自宅の場合、住所の上に(送達場所)と記入します。
自宅以外を指定することも可能です。
裁判所のひな型を使用する場合、「送達場所の届け出」という欄にチェックすればOKです。
記入例)
(送達場所)
住所 〒◯◯◯-◯◯◯◯
東京都世田谷区~
電話番号 被告 竹田次郎 印
答弁書の項目⑥請求の趣旨に対する答弁を記入
以下のように記入します。決まり文句なので深く考えなくてOKです。
1.原告の請求を棄却する。
2.訴訟費用は原告の負担とする。
「自分の不貞が原因で離婚になったから、相手の要求を100%呑むよ」という方は「原告の請求を認める。」と記入することもできます。
記入例)
第1 請求の趣旨に対する答弁
1.原告の請求を棄却する。
2.訴訟費用は原告の負担とする。
答弁書の項目➆請求の原因に対する認否を記入
請求の原因に対する認否を記入するのですが、請求の原因に対する答弁とは訴状が事実かどうかを確認することです。
なので「すべて認める」「一部間違っている」「知らない」の3択から選びます。
具体的には、
1.請求の原因1項については認める。
2.請求の原因2項については否認する。
3.請求の原因3項については不知。
の3択です。
たとえば借金をした事実は認めるが返済した場合や、不貞により離婚は認めるが親権は渡さない場合などです。
借金や不貞が事実だとしても、一部間違っているケースがあります。
もしくは分割払いにしてほしいや和解したいといったケースも考えられます。
一度認めてしまうと原則として撤回できないので注意しましょう。
確認する時間がないときなどは「追って追認する。」でも可。
記入例)
第2 請求の原因に対する認否
追って認否する。
答弁書の項目⑧被告の主張を記入
原告の主張の認否の次はあなたの反論を主張しましょう。
注意点は原告の誹謗中傷をしないこと。
感情的にならず冷静に事実を書きます。
たとえば「原告の~という主張は事実ではない」とか「原告の主張以外にも事実がある」というふうに反論することが大切です。
答弁書は裁判官が読みます。
なので原告と被告が当たり前に知っている事実でも、裁判官は知らないということがあるので、しっかり理解してもらうためにも丁寧に説明しましょう。
記入例)
議会でお金を借りたのは事実ですが、消滅時効が成立しています。
消滅時効が成立しているため、返金する義務が消滅時効によりなくなったという認識です。
原告の主張にある「お金を貸したのは9年前」という主張ですが、議会に出席したのはちょうど11年前です。
議会開催の日付は資料が残っており証明できます。
また議会でお金を借りてから現在まで一度も請求もされていません。
よって消滅時効により返金いたしません。
答弁書の書き方のポイント
いろいろ説明してきましたが、答弁書の書き方のポイントを1つご紹介します。
それは難しく考えず、自分の言いたいことをわかりやすく書けばOKです。
弁護士ではないので、書きたいことを書いても問題ありません。
ただし読む人の視点で、端的にまとめて書くということだけを意識して書いてみてください。
答弁書の書き方に自信がなければ専門家へ相談しよう
答弁書を提出して終わりではありません。
メインは裁判です。
もし弁護士に依頼しない場合、証拠書類を自分で用意する必要があります。
しかも心細いです。
1人で原告の弁護士と立ち向かうことになるからです…。
1人で裁判する自信がないという方は、法律の専門家である弁護士や司法書士に相談するのをおすすめします。
その際は、複数の法律事務所に出向き見積もりをもらいましょう。
その中から自分に合った専門家を選べるからです。
答弁書の書き方まとめ
いかがでしたか。
答弁書を書けるイメージが湧いてきましたか。
「答弁書は原告の請求を棄却するもの」
むしろこれだけ覚えておけば十分です。
相手の主張が100%正しいとしても原告の請求は棄却しましょう。
そうしないと「分割払いにしたい」とか「和解したい」と思っていても原告の要求通りになってしまうので。
この記事のライター
松田佳祐
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