有効な借用書の書き方とは?ポイントやテンプレートも併せてご紹介
個人で友人や親戚、家族間などでお金を貸したり、ビジネスで物品をレンタルする場合に書く借用書。物品のレンタルをしている場合などはテンプレートがありますが、親戚や家族間などでの借用書の書き方はどうしたらいいのでしょう。個人で作る借用書の書き方を詳しくご説明します。
目次
借用書とは?
借用書はお金の貸し借りを証明する書類です。個人で友人や親戚などにお金を貸す時に、「よく知っている人だから」と信用してしまったり、「借用書を書いて欲しい」と言いずらかったりして、口約束のみでお金を貸してしまうと、後からトラブルになるケースが多いのも事実です。手書きの簡単なものでもいいのでトラブル防止のために、借用書の作成をお勧めします。
家や車などの物品を購入した際に、銀行や車の販売会社などからお金を借りて、分割で返済をすることも多いはずです。この時に作成する「金銭消費貸借契約書」も借用書のひとつです。借用書というと個人で友人や親戚など近しい人との貸し借りをイメージしますが、分割で物品購入の際に取り交わすことも多い書類です。
また借用書は金銭だけでなく物品を貸し借りする時に使われることもあります。物品の貸出をビジネスにしている場合には、貸出す物品に対して貸出す金額や返却を明記した借用書を作成し、物品の貸出を行います。
借用書がない場合返済義務はなくなる?
借用書が無ければ金銭のやり取りについて証拠がありません。もし返済が滞ってしまって、相手に対して返済請求をしたとしても、証拠がありませんので返済義務はなくなってします。個人間でのお金の貸し借りはあまりしたくないものですが、どうしても貸すような場合には、手書きでもいいので必ず借用書を書いてもらいましょう。
家族間や親戚など血縁関係にある人との金銭のやりとりについても、他人と同じように借用書がなければ返済義務がなくなる可能性もあります。しかし家族間の場合には返済しなかったり無利子で借りていると贈与税がかかる場合があります。家族間とはいえ借用書はやはり必要なものです。
これだけは抑えたい借用書の書き方のポイント5つ
借用書の書き方のポイント①タイトルの書き方
この書類が借用書であることをはっきりと記載します。記載がなければ「領収書」と言われてしまう可能性もあります。後日トラブルになった場合には証拠としなければならない書類ですから、タイトルには必ず「借用書」であることを記載しましょう。
借用書の書き方のポイント②借用書の日付も重要です
お金の受け渡した日が借用書の契約日です。もしわからなくなってしまったとしても、適当な日付を記載してしまうのは厳禁です。わかる範囲で貸し借りした「時期」を記載するようにしましょう。
借用書の書き方のポイント③借用書には印紙も必要
借用書は契約書のひとつですので、印紙が必要となります。印紙の金額は貸し借りした金額によって変わります。借用書は基本1部作成し貸主が保管していますが、 金銭消費貸借契約書 は通常2部作成してそれぞれが保管します。書類が2部ある場合はそれぞれに印紙を貼らなくてはなりません。
借用書に適用される印紙税額は以下の通りです。
金額 | 印紙税額 |
1万円未満 | 不要 |
1万円以上10万円未満 | 200円 |
10万円超え50万円以下 | 400円 |
50万円超え100万円以下 | 1千円 |
100万円超え500万円以下 | 2千円 |
500万円超え1千万円以下 | 1万円 |
1千万円超え5千万円以下 | 2万円 |
5千万円超え1億円以下 | 6万円 |
1億円超え5億円以下 | 10万円 |
5億円超え10億円以下 | 20万円 |
10億円超え50億円以下 | 40万円 |
50億円超 | 60万円 |
借用書の書き方のポイント④利子はどうする
金額が大きな場合には利子をつけることもあるでしょう。年利〇%と決める場合もありますし、利息〇円と決める場合もあるでしょう。金額で決める場合には法定で定められている利息の上限を超えないように注意が必要です。
また分割で返済する場合には、分割返済が元金均等か元利均等化によって、分割の返済金額が変わってきます。インターネットの計算サイトで計算することができますので、分割返済の際には活用してください。
借用書の書き方のポイント⑤返済日ははっきりと記載する
返済の日付があいまいにならないように、「〇年〇月〇日までに」や分割で返済する場合は「毎月〇日までに」のようにはっきりわかるように記載しましょう。あいまいな表示は後からトラブルになる原因です。
借用書に記載する項目
借用書に必ず記載が必要なのは以下の項目です。
借用書の項目①契約日
契約日とはお金の貸し借りを行った日付です。借用書は契約書のひとつですので、必ず日付を記載します。銀行に振り込んだ場合には通帳や振り込み明細書などで、後から日付の確認もできますが、手渡した場合には何も確認できるものがありません。
借用書の項目②契約(貸借)の詳細
誰からいくら借りたのか。契約(貸借)の詳細を記載します。借用書をで手書きで作成する場合、金額の記載は必ず漢数字を使います。パソコンなどで作成し印刷するれば、数字の改ざんはできませんが、手書きの数字は改ざんが可能です。改ざん防止のために漢数字を使いましょう。
借用書の項目③返済方法
返済方法の記載は具体的に細かく記載が必要です。
●銀行振込か持参して手渡しするか。
●返済は一括なのか分割なのか。
●一括であれば何年何月何日までに返済するのか。
●分割なのであれば毎月の返済日と返済金額。
などの詳細を記載します。
借用書の項目④借主の住所氏名
借主の住所と氏名を記載します。借用書をパソコンなどで作成したとしても、住所氏名の欄は手書きで記入してもらい、印鑑を押印します。印鑑は認印でもいいのですが実印を押印し、印鑑証明を添付してもらえば書類としての信用性が上がります。
借用書の項目⑤必ず必要ではないが決めておきたい項目
- 連帯保証人
- 利子
- 遅延損害金
- 返済期限の喪失条件
以上の項目は記載がなくて法的な借用書として成立はしますが、決めておくことで支払いが滞るなどのトラブルが発生しても、その後の手続きがスムーズになります。取り決める時は少々面倒ではありますが、決めておくと安心な項目です。
コピーして使える!借用書の例文・テンプレート
借用書は用紙の指定もありませんので、コピー用紙や手元にあるパンフレットの裏面を使って、簡単に手書きで作成しても法律上の問題はありません。個人や家族間や親戚友人などでお金の貸し借りをする時には改まって書類を作るのではなく、必要事項のみを手書きで簡単に作る場合もあるでしょう。
時間があって事前に用意ができる場合にはテンプレートを利用すれば、必要事項を漏らすことなく簡単に作成することができます。ここまでご紹介してきた項目別に例文やテンプレートをご紹介していきます。テンプレートはそのままコピーをして簡単に使うこともできます。
①個人間や家族間・親戚など一般的な借用書のテンプレート
借用書
○○ ○○ 様
金 50万円 也
本日、上記金額を借用いたしました。
令和○○年○○月○○日までに返済いたします。
(又は)
令和〇〇年○○月○○日より、毎月○○日までに○○万円ずつ元金均等払いにて支払います。
令和○○年○○月○○日
貸主 住所
氏名
借主 住所
氏名 ㊞
② 利息・遅延損害金がある場合のテンプレート
借用書
○○ ○○ 殿
金 ○○円 也
私は貴殿より上記金額を下記の約定の上、借用しました。
記
返済期限 令和○○年○○月○○日
利 息 年利 ○○%
遅延損害金 年利 ○○%
返済方法 銀行振込にて一括返済
以上
令和○○年○○月○○日
住所
氏名 ㊞
借用書があっても借金には時効がある?
借金には時効があることをご存知でしょうか。借金は借用書の有無にかかわらず10年で事項になります。時効を成立させるためには借主から貸主に対して、内容証明で「時効なのでお金を返済しない」と宣言する必要があります。
貸主が時効を成立させないためには、「時効の中断」が必要です。時効の中断は以下の手続きによって成立します。
①請求(裁判を利用した正式な請求)
②差押え、仮差押え又は仮処分
③承認
時効の中断をすることによって、時効の期限はまた新たに発生します。
借用書の書き方まとめ
借用書についてご案内してきました。個人で知り合いや親戚・家族間のお金のやり取りは避けたいものですね。特に親戚や家族間では口頭での約束だけになってしまいがちです。そんな時必要な項目のみで簡単な手書きの借用書を作ることを覚えておけば、その後のトラブルを回避できます。
簡単に作ることのできる例文やテンプレートもご紹介してきました。ご自身がお金を貸すときだけではなく、ご自身のご親戚や自分以外の家族間の場合にもアドバイスできます。ぜひ簡単に作成できるテンプレートもご活用ください。
この記事のライター
naoC
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