働き方改革とは?目的/課題/対応策を徹底解説
2019年4月1日から適用開始された働き方改革の目的は何か。働き方改革を推進していくにあたり企業や組織、個人の課題や問題点は?働き方改革の目的の根底を捉え、生産性の向上や労働力の維持に向けた働き方改革の内容と対策について解説していきます。
働き方改革とは?
働き方改革とは、 残業規制や有休消化などの多種ある項目において、大企業や中小企業問わず、柔軟な働き方を選択できたり、働く方の働きやすさを追求するために、できた法律です。2018年6月29日に働き方改革法案が成立し、2019年4月1日から改正法が適用開始されました。大企業と中小企業では異なるとの認識をもっている人もいますが、実施開始の時期が異なるだけで、実施項目は変わりません。
- 時間外労働の上限規制
- 年次有給化の取得義務
- 労働時間の把握
- フレックスタイム制度の拡充
- 高度プロフェッショナル制度
- 勤務間のインターバル制度の普及促進
- 産業医や産業保健機能の強化
- 非正規と正規社員の格差是正
上記が実施項目になりますが、表面上の項目で実施できるような簡単なオペレーションではないため、かなりの企業努力が必要となるでしょう。
働き方改革の目的とは?
大企業・中小企業に関わらず一人ひとりの意思や能力、個人の事情に応じた多様な柔軟性のある働き方の選択を可能とする社会を追求することで、労働者にとっての働きやすさを実現することでであり、個人がより良い将来の展望を持てるようにすることを目的としています。
とありますが、実際の根幹の部分の目的としては下記を払拭することが目的です。
- 長時間労働の常態化による労働者の減少及び参加率の低下
- 少子高齢化による労働力の低下による労働力(量)不足
この事項を解決する対策としては「労働の質の向上」「労働力の向上」労働力を落とさない為の「健康経営」この3つが目的としてのポイントとなるでしょう。
働き方改革の目的①労働の質の向上
労働の質とは生産性です。経営者的言葉でお伝えするならば一人当たりの労働分配率や、貢献利益の向上などが当てはまります。一人ひとりの労働の質を向上させるのであれば、少ない人数で業務を遂行し成果を出すというような設計をし、時間あたりの成果を向上させることが適切でしょう。
中小企業であれば、少数精鋭で事業を運営し、組織を円滑に回している体制の企業も多いですから、中小企業での労働の質という部分ではイメージが湧きやすいでしょう。しかし、大企業は組織も多く代表や役員陣が全てを把握していることは難しいため、体制変更など今回の法律に網羅した改革が必要な企業も多く出るでしょう。
働き方改革の目的②労働の量の維持と向上
労働量の維持をしていくには柔軟な働き方、働き方の多様性が重視されます。今の時代は出産後に復帰する女性も多くなってきましたが、産休・育休中にはポジションが空いたままという状態のケースも見受けられます。
パズルのようなピースをはめていくイメージで、残ったメンバーがその空白を埋めてフォローしていく又は復帰後のポジションをつくり、抜けた穴は短時間勤務者を雇うなどの業務負担への設計をし、量を減らさない仕組みづくりも重要です。
働き方改革の目的③健康経営
少子高齢化の影響で労働量の確保が難しくなっていく一方で、労働力の維持をすることが重要です。健康経営と一言で言っても、各個人が意識してワークライフバランスを設計していくことができなければ、宣言したところで言葉だけが先走りします。
- 個人の生活習慣の改善と働き方
- 職場環境の改善
上記で挙げた二点が健康経営のポイントであり、個人と組織の両方の立場で考え設計していかなければ健康経営とはいえません。労働力不足且つ働き方改革を進めていく上で、労働力の維持をするには健康経営の設計、仕組み作りが最優先となるでしょう。
働き方改革における大きな課題/問題点
働き方改革を推進していくにも、多くの課題が残ります。個人や職種、企業規模によっても様々な柔軟性が求められるため、国と企業側でミスマッチが発生することも少なくはないでしょう。
働き方改革の課題/問題点①長時間労働の是正
残業に対して規制がかかれば、負荷がかるのは管理職でしょう。単純に残業を減らすということになれば、業務がスケジュール通りに進まなくなりますし、スケジュール調整にも限界があります。
会社の売り上げはもちろんですが、利益は従業員を守るための重要な資源ですから、一般社員の残業をなくすことで、足りない時間は残業代の出ない管理職が請け負う可能性が非常に高くなっていきます。
働き方改革の課題/問題点②正規/非正規社員の格差是正
これは大企業ほど負荷がかかるでしょう。今まで非正規社員の人件費は抑えられていたものですから、それが正規社員との格差がなくなれば単純に人件費が高騰します。そのうえ、残業時間の規制があるために非正規社員の質の向上が求められるでしょう。
とはいえ非正規社員からの異議申し立ては多く、正規社員との格差を懸念している団体が多く存在しますし、各個人からの意見も多くあるため、実際に正規社員と非正規社員の労働力及び労働の質が同等であるのであれば、人件費を圧迫するだけです。
働き方改革の課題/問題点③プロフェッショナル制度による裁量労働制
裁量労働制による長時間労働の増加ということが考えられます。高度プロフェッショナル制度は「定時」という概念がない為、みなし労働時間の契約となるでしょう。
残業代という概念も長期労働時間という概念もないという悪しき経営者も出てくると予測されるため、IT関係のSEやプログラマーなどの職種に懸念がでる可能性があります。
生産性向上のための取り組み
様々な法改正や是正が行われる中で生産性の向上の取り組みは必須となります。単純に生産性向上といっても「企業」「組織」「個人」といったそれぞれが連携して取り組む事が重要となります。ITの推進やRPA、AIなどを駆使し、最大限のパフォーマンスを出すことが求められるでしょう。
生産性向上のための取り組み①企業の取り組み
例えば建設業ですが、ANDPADなどの導入企業が増加しています。今までの現場毎の管理を可視化することで工期遅れや工事トラブル、粗利率の改善などの業務改善や効率化を高める建設業では重要な施工管理ツールがサービスが普及しています。
従来の建設業の施工管理の仕組みを大きく改善させるIT産業であると思いますし、それにより長時間労働や休暇の取得が難しかった建設業のイメージを払拭するようなアプリ開発でしょう。
生産性向上のための取り組み②組織の取り組み
組織間での事例としては、ホテルなどの宿泊業でもIT産業を導入し、生産性の向上を実現した事例もあります。ホテルはフロントでチェックイン・アウトをしますが、客室係との連絡に時間がかかります。チェックアウトの情報が欲しくても接客中であればホテルの客室係は部屋のリメイクにとりかかないといった時間ロスがありました。
そこでタブレッドやLINEアプリを導入し、今まで客室係がフロントへチェックアウト情報を階段を往復して確認しに行くという非効率的な業務フローがなくなり、 時間ロスなくタブレットで情報を確認し、LINEで連絡を取り合うだけでホテルの客室係の連絡に費やす時間が年間146時間の削減に成功したということです。
生産性向上のための取り組み③個人の取り組み
個人としては「業務プロセスの改善」「モチベーションの維持」この二つが挙げられます。
業務プロセスの改善は、現在担当している役割や業務をプロセス毎に必要有無を判断していきます。今までの業務フローで不要なところはないか、このプロセスは必要ないので削減することで○○時間の短縮になる。といった時間管理をすることが重要です。
モチベーションの維持に対しては「工夫」が重要です。生産性を向上するうえで、オンとオフを切り替える習慣をつけたり、集中力を高めるためのマインドセット法などを業務の間に取り入れたりと、効果はあるでしょう。
働き方改の目的まとめ
働き方改革をする為の変化は必要不可欠です。IT活用などの設備投資が対策としては大きな成果を生み出します。テクノロジーの進化によって導入し、オペレーションの改善と生産性、労働力向上に成功して欲しいものです。
この記事のライター
Ryokin
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