合同会社と株式会社の違いとは?合同会社から株式会社に変更する際の流れも徹底解説!
この記事では合同会社と株式会社の違いについて解説してきました。 合同会社は株式会社に比べると信用度が低く不利な面が多くありますが、小規模事業なら有利な面もあります。 それぞれの違いを把握して株式会社のほうが有利と判断できたら株式会社に移行するのも一つの手。
合同会社と株式会社の意味の違い
一般的に「会社」というと、株式会社をイメージされる方が多いと思います。
実際、会社の多くが株式会社なのでその認識は間違っていませんが、「合同会社」という会社形態も存在します。
「チラッとは聞いたことがあるけど、具体的にどんな会社なのかわからん」という方が多いと思いますが、設立費用が抑えられるなどのメリットがあります。
この記事では株式会社と合同会社について解説を行い、合同会社から株式会社への変更手続きの流れについてもみていきます。
合同会社と株式会社の意味の違い①株式会社
株式会社は日本の会社のうち95%ほどを占めるため、「会社といえば株式会社」といっていいでしょう。
投資家が出資する見返りとして株式を取得し、持ち株比率に応じて配当があったり、議決権を持つなど、株式会社に対しての影響力を持てます。
ただし、株主が経営に直接関わることは少なく、経営者と出資者が別れていることも珍しくありません。
株主から経営を委託された経営陣・取締役は集められた資金を増やして会社の価値を高める義務があります。
資金を増やすことができたら、株主に利益を配当したり、さらに会社の価値を高めるために使われます。
合同会社と株式会社の意味の違い②合同会社
2006年の会社法改正によって、有限会社の設立が認められなくなった代わりに、合同会社の制度が作られました。
合同会社では株式会社とは異なり、社員が出資金を出すため、株主総会や取締役会はありません。
経営判断を下すためには、過半数の社員の賛成が必要で、「定款を変更したい」といった重要なものの場合は全社員の同意がなければなりません。
「合同」とありますが、必ずしも複数の社員が所属しているわけではなく、1人から設立が可能ですし、定款の認証も不要なので株式会社よりも手軽で小規模な事業に向いています。
株式会社を設立するメリット・デメリット
なんとなく株式会社と合同会社の違いが分かってきたとして、それぞれのメリット・デメリットをお伝えしていきます。
それぞれ一長一短があるので注意してくださいね。
株式会社を設立するメリット
株式会社を設立するメリット①信用度が高い
信用度が高いため、金融機関からの融資や取引先との関係性、採用活動などの面で合同会社よりも有利にすすめることができます。
株式会社を設立するメリット②資金調達しやすい
融資や補助金制度の活用の他にも、株式の発行によっても資金調達が可能です。
株式会社を設立するデメリット
株式会社を設立するデメリット①決算広告が必要
くわしくは合同会社のメリットで解説しますが、株式会社は決算公告が義務化されています。
株式会社を設立するデメリット②設立費用が高い
株式会社を設立するためには最低でも20万円以上必要なため、設立のハードルが高くなります。
合同会社を設立するメリット・デメリット
合同会社を設立するメリット
株式会社の方が一般的な認知度が高いため、社会的なイメージは良く、出資比率に応じて議決権や配当を与えることができます。
出資者が多いなら、株式会社の方がメリットが大きいと言われていますが、では「株式会社にはない合同会社ならではのメリット」とはなんでしょうか?
合同会社を設立するメリット①決算公告が不要
「決算公告」とは本決算で作成した貸借対照表を株主総会で承認されたあと、日刊新聞や官報、ホームページなどに掲載することを指します。
実際は株式会社は例外なく決算公告を行う必要があるのですが、中小企業を中心に決算公告を行わない会社も多いです。
なぜなら、決算公告をするための金銭的、業務的な負担が大きいから。
ですが、決算公告を行わない株式会社には100万円以下の罰金が課せられるときもあります。
合同会社はこの決算公告を行う必要がありませんので安心です。
合同会社を設立するメリット②設立費用が安い
株式会社を設立したいなら安く抑えたとしても20万円以上が必要になります。
なぜなら
- 法務局で設立登記を行うために15万円
- 定款を認証してもらうための手数料として5万円
が必要で、謄本も2冊購入しなければならないので2,000円かかりますし、電子定款で登記を行わないなら、収入印紙4万円が必要です。
しかし、合同会社なら設立登記の費用が15万円から6万円に、定款の認証が不要なので5万円を0円にすることができます。
これだけで14万円のコストカットで、その分を人件費や設備投資といった予算に回せます。
会社の設立当初はお金が出ていく一方なので、かなりのメリットといえるでしょう。
ただし、「定款の認証が不要」なだけであって、定款自体は作成する義務があるため、電子定款で作成しないなら合同会社の場合も収入印紙4万円の購入が必要です。
合同会社を設立するメリット③配当金を自由に決めることができる
「100株保有している株主には5万円を配当する」というように、株式会社では出資比率に応じて配当金が決まります。
しかし、合同会社では出資比率に縛られない配当が可能です。
「お金を多く出資した人に多く配当して当然じゃないの?」と思われるかもしれませんが、「出資額は少ないけど、多くの利益をもたらした社員(出資者)」にも多くの配当金を決めることができるので、柔軟性が高いと言えます。
合同会社を設立するデメリット
合同会社を設立するデメリット①信用度の低さ
合同会社の一番のデメリットと言えば社会的認知度が低く、株式会社のように決算公告を行う義務がないため、どうしても信用度は株式会社よりも劣ってしまいます。
合同会社を設立するデメリット②社員間で揉めやすい
自由度が高い反面、社員同士が揉めやすい一面もあります。
例えば、配当の分配ルールを決めるときは自分に多くの利益を配分しようと揉めやすいと言えるでしょう。
合同会社から株式会社に変更する流れ
合同会社と株式会社それぞれのメリットデメリットを比較して、株式会社の方が有利と判断できるほど成長したら株式会社への移行も可能です。
以下ではその流れについてお伝えしていきます。
合同会社から株式会社に変更する流れ①組織変更計画書を作成
まずは株式会社としての名前や事業内容などを記載した組織変更計画書を作成します。
「変更」とありますが、実際は合同会社を解散して株式会社を設立することになります。
合同会社から株式会社に変更する流れ②総社員からの同意
組織変更計画書に記載した「効力の発生日」の前日までに合同会社で働く全社員の同意を得ます。
このときの「社員」は出資した人たちであり、「従業員」とは限りません。
合同会社から株式会社に変更する流れ③債権者保護手続き
債権者は合同会社に対して組織変更への異議申し立てできる権利があり、異議申し立てがされた場合、組織変更はできなくなります。
そのため、債権者保護のために、以下の手続きを行います。
- 1ヵ月以上前に官報に公告を掲載する
- 債権者に個別勧告をする
これらの手続きは債権者がいなくても行う必要があるので注意が必要です。
合同会社から株式会社に変更する流れ④登記申請
組織変更計画書の効力が発生してから「合同会社の解散登記」と「株式会社の設立登記」を法務局で行います。
合同会社から株式会社に変更する流れ⑤登記簿謄本を取得する
法務局による登記審査は1週間程かかりますが、完了すると登記簿謄本の取得が可能になります。
ここまでで1,2ヵ月かかることも珍しくないため、あらかじめスケジュールや債権者に根回しをしておく必要があります。
合同会社と株式会社の違いまとめ
この記事では主に合同会社と株式会社の違いをお伝えしてきました。
それぞれに一長一短がありますが、株式会社の方が有利だと判断できたら合同会社から株式会社に移行するのも一つの手です。
この記事のライター
U11
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