収入印紙が必要な契約書とは?必要なケースと印紙税額を徹底解説
「契約書は2部もいらない?コピーでいい?」「印紙を貼る位置は?割印は?」「契約書のルールがよくわからない」「電子契約では印紙不要?」こういった疑問に答えていきたいと思います。この記事を読めば収入印紙のことで悩まなくなります。5分で読めますので、まずはご一読を!
収入印紙とは?
収入印紙とは政府が発行する証票で、課税文書に指定されてる書類に対して貼付・消印(割印)することで使用します。
収入印紙は郵便切手のようなものです。手紙の重さによって貼り付ける切手の料金が変わるように、契約内容によって貼り付ける収入印紙の料金が変わります。ただルールが細かいんです。切手は分かりやすいルールなのに、収入印紙のルールは細か過ぎます。
契約書に収入印紙を貼る意味とは?
「課税文書と呼ばれる書面による文書を作成するときは、税金や手数料が発生するので、収入印紙を買って貼って納税してください」ということが法律で決められています。簡単にまとめると、納税・手数料を支払うためです。
収入印紙が必要な契約書と印紙税額
数多くあるので、この記事では代表的な契約書をご紹介します。
1号書類
〇文書の種類
[不動産、鉱業権、無体財産権、船舶若しくは航空機又は営業の譲渡に関する契約書]
[地上権又は土地の賃借権の設定又は譲渡に関する契約書]
[消費貸借に関する契約書]
[運送に関する契約書(用船契約書を含む。)]
〇印紙税額(1通又は1冊につき)
以下のURLよりご確認ください。
2号書類
5号書類
〇文書の種類
[合併契約書又は吸収分割契約書若しくは新設分割計画書]
〇印紙税額(1通又は1冊につき)
4万円
7号書類
〇文書の種類
[継続的取引の基本となる契約書]
〇印紙税額(1通又は1冊につき)
4千円
収入印紙の購入方法と貼り方
「そういえば、どこで買うんだっけ?購入場所?」
「貼る位置、あれ?どこに貼ればいいんだっけ・・・。」
こういった疑問にお答えします。
印紙の購入方法
法務局や郵便局、コンビニで購入できます。ただし、コンビニだと200円の収入印紙しか売ってないことが多いです。
印紙の貼る位置
あらかじめ貼る位置が準備されていれば、その場所に貼りましょう。なければ空いている場所でOKです。貼ってさえあればOK。
契約書の印紙に関わるQ&A
よくある契約書の印紙に関わるQ&Aについてお答えいたします。
契約金額に変更になった場合の印紙はどうするの?
契約金額が増額だろうと減額だろうと収入印紙が必要です。
「変更契約書」は第2号文書(請負に関する契約書) として取り扱われるためです。そして記載方法&増額減額で必要な収入印紙が違ってきます。
・「変更前と変更後の金額」の記載がある場合
・「変更後の金額」しか記載がない場合
という2パターンで解説します。
「変更前と変更後の金額」の記載がある場合
〇 変更後増額した場合
増えた金額分の収入印紙が必要です。
例)
ーーーーーー契約金額ーーーーーー
当初契約金額 1,000万円
変更後契約金額 1,200万円
増 額 200万円
上記の場合、収入印紙400円が必要です。 (100万円を超え200万円以下→400円 )
〇変更後減額した場合
減った場合、「契約金額の記載のないもの」として扱われます。
例)
ーーーーーー契約金額ーーーーーー
当初契約金額 1,000万円
変更後契約金額 800万円
減 額 200万円
上記の場合、収入印紙200円が必要です。(契約金額の記載のないもの→200円 )
「変更後の金額」しか記載がない場合
〇変更後増額した場合
変更後の契約金額しか記載されていないと、増減額に関わらず変更後の契約金額が課税対象になります
例)
ーーーーーー契約金額ーーーーーー
変更後の契約金額は1,200万円とする。
上記の場合、収入印紙2万円が必要です。 (1千万円を超え5千万円以下→2万円)
〇変更後減額した場合
例)
ーーーーーー契約金額ーーーーーー
変更後の契約金額は800万円とする。
上記の場合、収入印紙1万円が必要です。(500万円を超え1千万円以下→1万円)
200円印紙を複数貼るのは大丈夫なのか?
大丈夫です。たとえば10,000円分の印紙が必要だったら200円×50枚貼っても全然OKです。ただし、すべてに消印(割印)が必要です。
印紙額を負担するのは誰?
印紙税は、文章を作成した人が負担します。
たとえば領収書であれば、代金を受け取ったお店の人が領収書を発行しますよね。お店の人が印紙額を負担します。
ただ契約書の場合、契約関係者が複数人いたりします。その場合は折半が一般的です。たとえば契約書が2部ある場合、双方が1部ずつ支払います。(厳密には印紙税法に誰が負担するという規定はないのですが)
印紙のコスト削減する方法はあるのか?
収入印紙を貼った契約書を2部作ってませんか?実は1部でも十分なんです。コスト削減の方法は2つあります。
・契約書に記載されてる金額の表記を変える方法
・原本を1通作成して残りはコピーを使う方法
コスト削減その1~契約書に記載されてる金額の表記を変える方法
先ほどもご紹介させていただきましたが、記載の仕方で必要な収入印紙が違ってきます。同じように消費税の記載の仕方でも支払う印紙代が2倍も違うんです。
たとえば、「請負金額1,080万円(税込)」や「消費税額等8%を含む」と記載してしまうと印紙代は2万円です。次のいずれかで記載すれば印紙代が1万円になります。
パターン①→請負金額 1,080万円(税抜価格1,000万円 消費税額等80万円)
パターン②→請負金額 1,080万円 税抜価格1,000万円
パターン③→請負金額 1,080万円 消費税額等80万円
パターン④→請負金額 1,000万円 消費税額等80万円 合計1,080万円
消費税の具体的な金額がわかればOKということです。「どうして記載方法で支払う印紙代が違ってくるの?」と思われるかもしれませんが、国税庁のHPで「消費税は印紙税の記載金額に含めないけど、しっかりと消費税を明記してね」という説明がなされているからなんです。
※「消費税は印紙税の記載金額に含めない」が適用されるのは第1号文書(不動産の譲渡等に関する契約書)、第2号文書(請負に関する契約書)、第17号文書(金銭又は有価証券の受取書)の3種類のみです。
コスト削減その2~原本を1通作成して残りはコピーを使う方法
実はコピーだとしても契約書としての効力があるんです。原本でなくても裁判で証拠能力があります。
「え?そうなの?」と思われた、あなた。僕と一緒です。僕も最初に知ったときはガツンと衝撃を受けました。
なので収入印紙が貼ってある契約書の原本を1通だけ作成しましょう。そして契約関係者にコピーを渡しましょう。そうすると収入印紙が1枚でいいので。
電子契約書では印紙税が不要になる?
実は、電子契約書だと収入印紙が不要になります。
というのは印紙税という税金は「紙の書類」に対して課される税金だからです。紙の書類には収入印紙がいるけど、電子書類には不要です。電子データは「紙ではない」ので課税の対象外、というわけなんです。このことは国税庁もコメントしています。以下にURLを貼っておきます。
収入印紙が必要な契約書まとめ
電子契約にすると契約書は2部必要?とか貼る場所や割印で悩まなくなります。それでは契約書の作成がんばってください。
この記事のライター
松田佳祐
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