株主総会の招集通知とは?送る時期や記載事項を徹底解説
株主総会の招集通知はかなりややこしいです。 公開会社か非公開会社か、取締役会を設置しているかしていないか、などの条件によっても変わってくるので、慎重な手続きが求められます。 この記事ではそんな株主総会の招集通知について解説していきます。
株主総会の招集通知とは?
株式会社における最高意思決定機関が株主総会です。
問題なく総会を終わらせるようにするには、さまざまな準備を同時進行で行わなければなりませんが「株主総会招集通知」もそんな開催に向けて必要な準備の1つです。
株主総会招集通知には株主に向けて株主総会の開催日時や場所、予定されている議案内容などが記載されています。
株主総会が開催される旨を通知するのは
- 「株主に株主総会の開催を知らせて出席を促す」
- 「株主が十分な準備をした上で株主総会に出席できるようにする」
という重要な役割があるため、会社法で株主に向けて株主総会招集通知を行うことが原則義務付けられています。
株主総会招集通知を担当するのは以下の役職の役員が行います。
- 株主に対して株主総会招集通知を担当するのは取締役
- 取締役を設置していない会社で株主総会招集通知を担当するのは代表取締役
- 委員会を設置していない会社で株主総会招集通知を担当するのは代表執行役員
株主総会の招集通知はいつ?だれに送る?方法は?
株主総会の招集通知はいつどんな方法で送るべきなのでしょうか?
それぞれについて解説していきます。
株主総会の招集通知を送る期間・期限は?
株主総会招集通知を送るする期間・期限は「公開会社」と「非公開」で異なるので注意してください。
会社法によると「公開会社」とは株式のすべてについて譲渡制限がされていない会社を指し、一方の「非公開会社」はすべての株式を定款で譲渡制限をしている会社を指します。
会社法では株主総会の招集期間・期限は招集通知を送った日を基準にする発信主義が採用されており、招集通知を発信した日と株主総会当日を含めずに招集期間・期限を1週間もしくは2週間の空ける必要があるとされています。
なお、取締役会を設置していない非公開会社ではあらかじめ定款で定めることで招集期間を1週間未満に省略することができます。
株主総会の招集通知をだれに送る?
株主総会招集通知はすべての株主に対して行う必要はなく、一定の条件を満たした株主だけが必要とされています。
たとえば、定時株主総会の招集通知を行う株主の条件には、定款で定める定時株主総会の基準日に株主名簿に記載されている株主というものがあります。
なお、招集通知が株主のもとに届かなくても安心してください。
招集通知を株主名簿に記載されている住所や通知先に送ることで本来であれば届いていたとみなされます。
ですので、規定通りに株主総会招集通知の手続きをした場合は招集通知手続きのミスがあったとは判断されません。
株主総会の招集通知を送る方法は?
株主総会招集を通知する手段としては書面のほか、条件を満たせばメールなどの電子化された方法や電話や口頭でも行うことができます。
株主総会の招集通知を送る方法は?①書面による通知方法
書面で株主総会の招集通知をするのであれば、法令上の制限はないため、用紙サイズや形状は自由で問題ありませんが、定形郵便規格封筒で送ることが多いようです。
株主総会の招集通知を送る方法は?②メールやその他の方法による通知方法
メールなどの電子化された方法を活用して株主総会招集通知する場合、あらかじめ株主の同意を得ていなければ、招集通知を送ることができません。
また、取締役会が設置されていない非公開会社が書面投票・電子化された投票をしない場合、書面やメール以外に電話や口頭でも招集通知を行うことが可能です。
株主総会の招集通知を送る方法は?③招集通知手続きの省略
株主全員の同意があり、書面投票・電子化された投票をしない場合、招集通知手続きを省略して株主総会を開催することができます。
株主総会の招集通知の記載事項
株主が必要な準備を十分に行えるように株主総会招集通知には以下の事項を記載しなければなりません。
これらの記載事項を踏まえて、最後に株主総会の招集通知の雛形・テンプレートを用意しましたのでご参考ください。
株主総会の招集通知の記載事項①株主総会の開催日時と場所に関する事項
株主総会を開催する日時と会場を記載しますが、例年と開催時期が大きく違っていたり、前年の株主総会会場と著しく離れている場合はその理由を記載しなければなりません。
株主総会の招集通知の記載事項②議題・議案に関する事項
株主過株主総会に必要な準備をできるように議題・議案を具体的に記載しなければなりません。
株主総会の招集通知の記載事項③出席できない場合の取扱いに関する事項
株主総会に出席しない、出席できない株主がいることを想定して書面投票や電子化された投票を行う場合、以下についても記載しなければなりません。
- 株主総会に出席しない株主が書面もしくは電子化された方法で議決権を行使できること
- 書面投票もしくは電子化された方法で議決権を行使できる期間・期限
- 株主総会の参考資料に記載されている事項について
- その他、議決権の代理行使や代理人、代理権の行使についての事項を定めているならその内容など
株主総会の招集通知の雛形・テンプレート
上記の内容・記載事項を踏まえて株主総会招集通知の雛形を用意したので、こちらを参考にご自由に利用ください。
株主総会の招集通知に関する注意事項
株主総会の招集通知に関して以下のことに注意しなければなりません。
株主総会の招集通知に関する注意事項①招集通知の発信日を記載する
株主総会の招集期間は「発信主義」を採用しているため、必ず招集通知の発信日時を記載しなければなりません。
株主総会の招集通知に関する注意事項②招集通知の宛名を記載する
株主総会の招集通知の宛名は「株主各位」と省略したものを使用しても問題ありませんが、株主の個人名や会社名を記載してもOKです。
株主総会の招集通知に関する注意事項③招集通知のタイトルを記載する
株主総会といっても「定時株主総会」や「臨時株主総会」があるため、招集通知には定時株主総会か臨時株主総会かわかるように記載しなければなりません。
なお、定時株主総会だった場合、「第○回」「第○期」も記載して、いつの定時株主総会か明記します。
株主総会の招集通知に関する注意事項④添付書類が義務付けられている場合がある
株主総会通知をする際、添付書類が必要になる場合がありますので注意してください。
取締役会設置の会社には添付書類が必要
取締役会を設置している会社では会社法に基づいて「計算書類」と監査報告や会計監査報告を含む「事業報告」書類を招集通知に添付しなければなりません。
この場合、事業報告の内容が修正されることも想定して、修正されたことを通知する方法もあらかじめ記載しておくと、個別に再通知を行う手間が省略されます。
書面投票するには添付書類が必要
書面投票を株主総会で実施するためには原則として「株主総会参考書類」と「議決権行使書」を添付しなければなりません。
株主総会の招集通知まとめ
株主総会をトラブルなく終わらせるためには株主総会招集通知も大切です。
公開会社か非公開会社か、取締役会を設置しているかしていないかなどの条件によって対応パターンが分かれてくるためややこしいですが、有意義な株主総会を開催するために必要です。
また、招集通知は正規の手続きを踏まえることで郵送による書類だけでなく、メールや電話などの方法で通知することもできます。
招集通知は会社法によって定められているので、忘れずに正しく行うようにしてください。
この記事のライター
U11
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