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労働者名簿とは?書き方や保存期間を徹底解説

「労働者名簿の書き方がわからない…。」という方のために「労働者名簿とは?書き方や保存期間を徹底解説」という記事をご紹介します。法律での決まりごとが多い労働者名簿。5分で網羅的に理解できるので、気軽に目を通してみてください。

労働者名簿とは?書き方や保存期間を徹底解説

目次

  1. 労働者名簿とは?
  2. 労働者名簿に記載する項目
  3. 労働者名簿の作成における注意点
  4. 労働者名簿の保存期間や保存方法は?
  5. 労働者名簿の書き方まとめ

労働者名簿とは?

労働者名簿とは、労働者の情報が記載された書類のことです。たとえば氏名、生年月日、住所などです。

指定された書式・様式があるわけではないので、自社で作成したエクセル様式でも問題はありませんが、厚生労働省のホームページからテンプレート「様式第19号」をダウンロードして使用することができます。

労働者名簿の作成は労働基準法第107条で義務付けられており、有事の際は労働基準監督署がチェックを行います。

また会社の規模に関わらず作成義務が発生します。個人、法人に関わらず作成する必要があります。

労働者名簿に記載する項目

≫ 厚生労働省「様式第十九号」

労働者名簿の書き方についてご紹介します。

記載内容については、労働基準法第107条と労働基準法施行規則第53条で決まっています。

労働者名簿の項目①氏名

戸籍上の氏名を記入しましょう。

結婚や離婚など氏名が変わった際は、速やかに変更する必要があります。

労働基準法第107条2項に「遅滞なく訂正しなければならない」との記載があるためです。

記入例)

山田 花子

労働者名簿の項目②生年月日

生年月日を記入します。

和暦と西暦どちらでもOKですが、書類作成時のルールとして、統一しておきましょう。

ちなみに西暦で作成する会社が多いようです。昭和、平成、令和でごちゃごちゃするのを避けたいという理由からです。

記入例)

1996年8月3日

労働者名簿の項目③従事する業務の種類

従事している業務内容を記入します。

たとえば建設業であれば土木作業員、営業、現場監督など業務内容が分かるように記入しましょう。

ですが必ず記入しなければならない、というわけではありません。

1人で複数の業務に対応しているなど、業務内容を特定するのが難しい場合があるからです。

記入例)

営業

労働者名簿の項目④住所

ここに記入されている住所から会社までの距離を計算して、交通費を支給します。

住民票に記載されている住所と実際の住所が違う場合は、実際に居住している住所を記入しましょう。

また引っ越しなどで住所が変わった場合はすぐに修正しましょう。

労働基準法第107条2項に「遅滞なく訂正しなければならない」との記載があるからです。  

労働者名簿の項目⑤雇入の年月日

採用が決定した日ではなく、雇用した日を記入します。

年次有給休暇の発生日に関係してくるので正確な日付を記入しましょう。

「生年月日」の項目同様、和暦と西暦どちらでもOKですが、書類の日付は統一するのがルールです。

労働者名簿の項目⑥性別

性別を記入します。

男もしくは女と記入するだけなので、特に悩む項目ではないと思います。

労働者名簿の項目➆退職または死亡の年月日

退職日を記入します。

和暦と西暦でちらでもOKですが、書類作成時のルールで統一しましょう。

「生年月日」と「雇入の年月日」と「退職の年月日」を同じ記入方法で揃えます。

労働者名簿の項目⑧退職または死亡の事由(解雇時も)

退職時のトラブルを未然に防ぐために、理由を記入しておきましょう。

労働者が病気や事故などで死亡した場合、労災に関係してくるからです。

労働者自身の都合で退職した場合は、理由がなくてもOKです。

労働者名簿の項目⑨履歴

この「履歴」の項目に法的な決まりはありません。

なので最終学歴や、社内で異動した履歴を記入しておけば問題ないです。

たとえば〇〇大学卒業や営業部配属といった履歴を記入しておきましょう。

記入例)

2020年3月 早稲田大学卒業

2020年4月 入社

2030年3月 自己都合により退職

労働者名簿の作成における注意点

注意点をいくつかご紹介します。

労働者名簿の注意点①個人情報

労働者名簿は個人情報です。

氏名や住所のみならず、会社によっては電話番号が記入されている労働者名簿の場合もあるかと思います。

なのでもしその個人情報が流出してしまうと、個人情報保護法に違反したとして、損害賠償請求をされてします。

個人情報を扱うときは、そういったリスクがあることを十分考慮して取り扱いましょう。

労働者名簿の注意点②各事業所で作成

労働者名簿は各事業所で作成しましょう。

たとえば支社や支店、営業所などです。

本社の人事部や総務部がまとめて管理するものではありません。

同じ場所で作業していれば一つの事業所とみなされますが、同じ場所でも労働状態が違えば別の事業所とみなされる場合があるので注意が必要です。

労働者名簿の注意点③労働者名簿の対象者

労働者名簿の注意点の3つめは、誰が対象者になるのかという点です。

「え?働いている人全員じゃないの?」と思われるかもしれませんが、全員ではありません。

というのは、さまざまな労働形態があるからです。

たとえば正社員やパート、アルバイト、派遣社員、日雇い労働といった労働形態があるからです。

ここでは労働者名簿がいる場合と、いらない場合の4パターンをご紹介します。

短時間労働のパートやアルバイトの場合

短時間労働のパートやアルバイトの場合、労働者名簿は必要です。

労働基準法第107条で名簿の対象は「各労働者(日々雇い入れられる者を除く)」となっており、同法第9条によれば「(各労働者とは)事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」となっているからです。

なので賃金を支払っている労働者がいる会社は、労働者名簿の作成義務があります。

派遣労働者の場合

派遣労働者の場合、名簿の作成は派遣会社が行います。

前項の「短時間労働のパートやアルバイトの場合」で、労働者名簿の作成義務は賃金を支払っている会社にある、ということでした。

なので賃金を支払っている派遣会社に、名簿作成の義務があります。

言い換えると、派遣先の会社は名簿作成する必要はありません。

日雇い労働者の場合

日雇い労働者の場合、労働者名簿は必要ありません。

日雇い労働者とは、一日単位の雇用契約で一日単位で働く労働者のことです。

労働基準法第107条では「各労働者(日々雇い入れられる者を除く)」と記載されており、日雇い労働者にはこの法律が適用されません。

なので日雇い労働者は、従業員名簿へ記載しなくても問題なしです。 

代表者や役員の場合

代表者や役員の場合、必要ありません。

代表者や役員は「各労働者(日々雇い入れられる者を除く)」に含まれないため、名簿の作成義務は発生しないからです。

ですが社会保険事務所の調査で、会社役員も社会保険の被保険者となるため、一般労働者と同じように労働者名簿の提出を求められます。

労働者名簿の保存期間や保存方法は?

労働者名簿の保存期間や保存方法についてご紹介します。

保存期間は?

3年間です。

労働基準法第109条で「使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を三年間保存しなければならない」と定められています。

いつから3年間なのか?

それは退職・解雇・死亡などの理由で、従業員がいなくなった日から3年間です。

保存方法は?

最近ではペーパーレス化により、書類を電子データで保存している会社も少なくありません。

労働者名簿を紙面ではなくデータで管理できるのかどうかは、労働基準法上では明らかにされていません。

ですが行政解釈によると名簿がPDFやエクセルなどの電子データで保管されている場合、PDFやエクセルなどの電子データがすぐに表示・印刷できる状態であれば「労働基準法の要件を満たすもの」として取り扱うとしています。

労働基準監督署から従業員名簿の提出を求められたときに備えて、PDFやエクセルなどの電子データからプリントアウトできるように準備しておきましょう。 

労働者名簿の書き方まとめ

いかがでしたか。労働者名簿についての理解は深まりましたでしょうか。

会社運営は法律で決まっていることが多く、知らないと違法行為をしてしまうことも考えられます。

法律に触れないように、労働者名簿を作成してみてください。

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松田佳祐

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