ストレスチェック義務化に罰則はある?!ストレスチェック制度について徹底解説
ストレスチェックが義務化されているという話を聞いたことないですか。実はこのストレスチェックを怠ると、最大50万円の罰則金の支払い責任が発生するんです!この記事では、ストレスチェック義務化についてご紹介していますので、読んでみてください。
目次
ストレスチェック義務化とはそもそも何?
ストレスチェックは、2014年6月25日公布の「労働安全衛生法の一部を改正する法律」の成立で義務化となりました。
その目的は、労働者がストレスからメンタルヘルス不調を引き起こすリスクを未然に防止すること、より働きやすい職場環境を作り出すことにあります。
精神を病む人を減らしたいという目的です。
過酷な仕事、超過勤務、パワハラ上司etc…。ストレスで精神がボロボロな人が増え続けています。
なんとなくイメージできるという人も多いのではないでしょうか。
イメージだけでなく、それを裏付けるデータもあります。以下のURL先の表を見てわかるように、右肩上がりで増えています。
こういった経緯から「企業の皆さん!従業員のメンタルに気を配ってくださいね!」という政策を国が行っています。
ストレスチェックの対象は誰?
ストレスチェックの対象は「常時使用する労働者」です。
これは厚生労働省が定めた基準で、次の要件を満たす労働者です。
①雇用契約が1年以上
②通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分3以上
これらの要件を満たす労働者であれば、ストレスチェックの対象者です。
具体例を挙げると、正社員やアルバイトは対象で、経営者は対象になりません。
ストレスチェックの頻度は?
ストレスチェックの頻度は、50人以上の労働者がいる会社では1年に1回が義務付けられています。
50人未満の場合は努力義務なので、正確な頻度は公表されていません。
1年に1回という少ない頻度なので、忘れず実施しましょう。
高ストレス者の選び方
何点以上が高ストレス者である、という決まりはありません。
厚生労働省が提供している「ストレス簡易調査票」では判別が解説されていますが、会社ごと部署ごとで変更することが可能です。
企業によって労働環境が違うため、選定基準の最終判断は実施者ではなく会社が行います。
ストレスチェック義務化による罰則となるケースとは?
「義務」という言葉を聞くと納税が思い浮かびます。
誰もが嫌いな納税の義務。
払いたくないからと脱税すると違法になってしまいます。
ではストレスチェックを怠ると、どうなるのでしょうか。
ストレスチェック義務化による罰則となるケース①ストレスチェックを実施していない
もしストレスチェックを実施していなかったら?
実は実施しないことによる直接の罰則はありません。
「なんだ、よかったー。義務化というのは建前なんだね。」と思ったら大間違いです。
労働基準監督署への報告を怠ると、最大50万円の罰則金が発生するからです。
実施には罰則がありませんが、未報告には罰則があるので注意しておきましょう。
ストレスチェック義務化による罰則となるケース②守秘義務の違反
ストレスチェックの結果は個人情報です。
もし情報が流出した場合、労働安全衛生法の罰則が適用されます。
罰則内容は、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金となります。
ストレスチェック実施時の面接指導員や実施事務従事者など、すべての関係者に適用される罰則なので、しっかりとした管理が必要です。
ストレスチェック義務化による罰則となるケース③安全配慮義務違反の可能性
ストレスチェックが行われていないと、安全配慮義務違反に当たる可能性があります。
安全配慮義務とは 、2008年施行の労働契約法により「労働者が安全で健康的に働けるよう、企業側が配慮すべき義務」のことです。
安全配慮義務違反で訴えられて企業側に損害賠償責任ありの判決が出た、という事例もあります。
ストレスチェックの実施の構成
ストレスチェックの実施についてご紹介します。
ストレスチェックの実施の構成①ストレスチェック担当者
ストレスチェックを行うにあたり、「実施者」と「実施事務スタッフ」が必要です 。
ストレスチェック実施者と実施事務スタッフについては後述していますが、人事権を持った人は実施者と実施事務従事者にはなれません。
そりゃそうですよね。
社長に向かって「職場の環境が悪いです」なんて言えないですよね。
どれだけ不満が溜まっていても「左遷よりはまし!」って思いますよね。
ただし必ずしも「人事部=実施者・実施事務スタッフになれない」というわけではありません。
人事部に所属していても、社員の解雇や昇進、または異動に関して権限を持っていなければ、実施者と実施事務スタッフになれます。
ストレスチェックの実施の構成②相談窓口
・いつまでに何を実施すればいいのですか?
- ・自社オリジナルのストレスチェック調査票でも大丈夫ですか?
- ・ストレスチェックのデータを事業者が取得しても問題ないですか?
- 上記のようなQ&Aのために「ストレスチェック制度サポートダイヤル」が開設されています。
- 労働者健康安全機構によるストレスチェック制度に関する電話相談窓口です。
- また全国47箇所にある産業保健総合支援センターでも、ストレスチェック制度の導入の手助けの支援を行っています。
- ストレスチェック制度導入のための研修やセミナーの開催を行っています。
- ≫ ストレスチェック制度サポートダイヤル:0570-031050
- ≫ 産業保健総合支援センター
ストレスチェックの実施の構成③ストレスチェック実施者
実施者は、 ストレスチェックを企画担当して結果の評価をします。
医師や看護師、保健師、精神保健福祉士などが主な実施者です。
ストレスチェックの結果から、面接指導が必要な社員の選定も実施者が行います。
厚生労働省のURLを貼っておくので「ストレスチェック実施者についてもっと詳しく知りたい」という方はどうぞ。
≫ 労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル
ちなみにストレスチェックの実施者は、外部に委託することが可能です。
外部委託する場合は、自社企業のことを良く知っている産業医、または自社に合った産業医を探して依頼しましょう。
ストレスチェックの実施の構成④ストレスチェック実施事務スタッフ
ストレスチェック実施者の補助をする人のことです。
たとえば、ストレスチェック用紙の配布や回収、結果報告、面接指導対象者への呼びかけ、ストレスチェック未診断者への声かけなどです。
ストレスチェック実施者と同じように、外部機関に委託することができます。
ストレスチェック義務化まとめ
「アメとムチ」の効果を調べた、マウスを使った有名な実験があります。
右に向かえばエサがあり、左に向かうと電気ショックという実験です。
電気ショックによりストレスが強いと、マウスは一歩も動けなくなったのだとか。
ストレスチェックを実施したところで直接の利益にはなりません。
むしろ準備にかかる時間や人件費などのコストが発生します。
ですがストレスのある環境下では、マウスもヒトも行動力が下がります。
ストレスチェックにより目には見えない間接的な利益へと繋がるかもなので、しっかりとしたストレスチェックを行ってみてはどうでしょうか。
この記事のライター
松田佳祐
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